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インフレの有効な対策はある? 老後は「運用しながら取り崩す」プランの現実味

MONEYPLUS / 2024年7月2日 7時30分

インフレの有効な対策はある? 老後は「運用しながら取り崩す」プランの現実味

インフレの有効な対策はある? 老後は「運用しながら取り崩す」プランの現実味

「これからの資産形成を考える上で、インフレはどの程度進むと思っていたら良いでしょうか?」こんなご質問を頻繁にいただくようになりました。インフレが今後どうなるのかは誰にも分かりませんが、有効な対策にはどういうものがあるのか考えてみましょう。


インフレになると物の値段はいくらになる?

みなさんもご存じのように、日本銀行は物価安定の目標を2%としています。つまり、これからは2%程度の物価上昇が継続することも私たちは考えておかなければいけないと解釈することもできます。

もちろん、将来のことなどだれも予測することはできませんが、ある程度のインフレを加味しなが資産形成をしていくことはとても重要です。

例えば、老後の夫婦の生活費は30万円と考えている方がいらっしゃったとしましょう。夫婦の年金が月25万円だとすると、不足する金額は毎月5万円となります。老後が35年とすると、月5万円の赤字の累積は2100万円です。つまり、この場合老後資金として2100万円の準備がないと老後破綻することになります。

では、仮に2%のインフレが継続すると、30万円の生活費は一体いくらになるのでしょうか? これは電卓で簡単に計算ができるので、併せてご紹介しておきます。もしかしたら機種によって異なるかも知れませんが、筆者はCASIOの電卓を使っていますので、こちらでご説明します。

最初に1.02と数字を置きます。これは1+インフレ率2%という意味です。次に×キーを2回押します。すると画面にKというアルファベットが表示されます。その後は=を複数回押します。今回は30年後なので29回押します。ここは〇年後の〇-1となります。

では、やってみましょう。

1.02 ⇒ ×× ⇒ ====(29回)すると、液晶画面には1.81136158396と表示がされるでしょう。その数字を30万円にかけます。

1.81136158396 × 300000=543,408円

30万円の生活費はインフレが2%で継続すると30年後は約55万円になるという結果となりました。

公的年金もある程度物価に連動しますが、残念ながら年金財源の収支を調整する関係でマクロ経済スライド率という年金額を抑制する仕組みがしばらく続く予定です。将来的にいつまで継続するのかははっきり分らないので、ここでは年金額は物価上昇率の半分の1%ずつ増えるという仮定で計算してみます。すると年金額は336,962円となりました。

ここまでで55万円の生活費をまかなうには、年金だけでは月21万円ほど不足することが分かります。前述のようにこの赤字額が35年継続すると8820万円もの老後資金が必要になるということです。もうここまで大きな数字になると、資産形成に取り組む気持ちも失せ絶望的な気持ちになってしまいそうです。

40歳の方が65歳までに8820万円もの老後資金を作ろうと思うと毎月294,000万円の積立を実行しなければなりません。運用利回りが3%だと月の積立額は197,755円、5%だと148,109円、7%だと108,880円です。(金融庁つみたてシミュレーターを使用)

運用利回りという力があれば、毎月必要な積立額もずいぶん小さくなってきました。しかし、7%という運用利回りが現実的なのか、毎月10万円もの積立が継続できるのかと考えると、もう少し選択肢を増やしたいところです。

運用しながら取り崩すと現実的な金額になっていく

では65歳から資産を「運用しながら取り崩す」とどうなるでしょうか? 先ほどは65歳時点で8820万円もの資産を作ることをゴールにした場合でも、運用利回りの違いで積立額が変わるということをお伝えしましたが、資産を取り崩す際も運用利回りの違いで資産の持ちが変わってきます。

8820万円を65歳から毎月21万円ずつ取り崩すと運用利回りが0%であれば、100歳時点で残高0円となります。しかし運用利回り3%で取り崩すと、毎月339,000円もの資金を取り崩せることが分かります。(大和アセットマネジメント人生100年時代シミュレーションを使用)

すると今回の設定では、毎月の取り崩しは21万円で良いので、65歳時点で持つべき資産は8820万円も必要ないということも分かります。

では思い切って65歳時点の資産を5000万円、月々の取り崩しを21万円としてシミュレーションしてみましょう。すると0%の運用利回りだと19年で資産が底をつきます。84歳になると老後破綻です。

しかし3%で運用ができると資産は95歳までゼロにはなりません。4%運用であれば104歳まで資産が尽きることがないことが分かりました。

運用利回り3%~4%を目標とすると私たちの年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用実績が参考になります。基本のポートフォリオは、日本の債券に25%、日本の株式に25%、外国の債券に25%、外国の株式に25%ですから、同じように基本の4資産に均等で投資をするバランス型ファンドなどの選択も考えられます。

もし65歳時点の資産が8820万円ではなく5000万円だとなると、これからの積立額も変わってきます。仮に5%の運用を考えるのであれば、毎月の積立額は83,962円となり、7%であれば61,723万円となります。

まだまだ簡単な積立額とは言えませんが、夫婦共働きでしっかりと家計管理に取り組まれているご家庭であれば、だいぶ道筋も見えてくるかも知れません。

資産形成の計画は随時見直していくことが重要

もちろん資産の取り崩しを65歳からではなく70歳からと5年遅らすだけでも目標とする金額が変わります。取り崩しを遅らせるためには、長く働くことも必要になるでしょうから、今のうちからこれからの自分のキャリアについても考えておく必要も出てくるでしょう。

いずれにしても「机上の空論!」と言ってしまえばそれまでですが、私たちが将来に備えるとすればこのようにいくつかの仮定を元に今できる最善のことをしていくしかないのではないかと思います。

大切なことは、適時ご自身の計画を世の中の動きに合わせて見直し、軌道修正をしていくことではないでしょうか? 資産形成は長い道のりではありますが、信頼できるファイナンシャルプランナーなどに伴走してもらいながらぜひ継続していくと良いと思います。

将来のインフレ対策として、iDeCoやNISAを活用している方も少なくないでしょう。その行動は間違っていませんが、現在の運用状況がご自身の思い描く軌道に乗っているのかどうかのチェックをなさるとより良いと考えます。

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(山中 伸枝)

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