自己破産から復活の56歳男性「年金の追納かNISA、どちらがいいですか?」
MONEYPLUS / 2024年7月11日 7時30分
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自己破産から復活の56歳男性「年金の追納かNISA、どちらがいいですか?」
50代後半に突入すると、老後のことを気にし始める人も多いことでしょう。最大の関心事は、老後のお金が足りるかどうか。実際のところ、お金があれば選択肢は増えますから、老後資金の積み重ねに向けてラストスパートをかけたいところです。今あるお金をどこにかけたら良いのか? と頭を悩ます人もいます。
自己破産から復活、老後資金を作りたい
今回は、数年前に自己破産をしたAさんの事例から考えてみましょう。ある日のこと筆者の元へ相談に来られたAさん。身辺整理も終わり、自営業として再始動、貯蓄ができる状態までになったとのこと。最低でも70歳になるまでは頑張って働き続けるつもりではあるものの、「人生、いつ何が起こるかはわからない」を自己破産で痛感した。将来のことを考え、少しでも老後資金を作っておきたい、一度しっかりと自分のお金についてFPに相談して助言が欲しいとのことでした。
ここで少しAさんの状況についてお伝えしておくと、Aさんは、現在シングルの56歳、85歳のお母様と実家暮らしです。元々、実家ではお父様の生前中、事業を営んでいました。お父様が遺した2つの賃貸物件があり、お母様の生活は賃料収入と年金で賄えています。息子であるAさんが自己破産したことから、お母様の進言を受け入れ、Aさんは実家に戻り、お母様の生活のサポートをしつつ暮らしています。実家、賃貸物件を含めた不動産についてはAさんが相続予定とのことです。
また、Aさんには妹が一人いますが、結婚して持ち家があります。妹夫婦は共働きで、今のところ経済的に問題もありません。Aさんが母と同居してくれるのであれば、不動産をAさんが相続しても異存はないと母経由で聞いています。将来は不確定ですが、今回は相続については深掘りせず、まずはAさんの老後資金について検討することにしました。
国民年金保険料の追納で受けられるメリットを確認
話を聞き進めていくと、自己破産していた時に年金の免除を受けていたというのです。ここで年金の免除制度についてお伝えしておきましょう。経済的な理由で保険料を納めることができないときは、申請することで保険料を免除する制度を利用できます。
免除制度には、全額免除と一部免除(4分の3、半額、4分の1)の4種類があります。Aさんが利用できた全額免除は、保険料の全額が免除となり、その期間については保険料を全額納めた場合の年金額の2分の1(※平成21年3月分までは3分の1)が支給されます。
年金事務所で調べてもらったところ、全額免除の期間は33ヶ月、追納額は約55万円とのことです。追納をすると、年金額が増えると聞いたが、自分の場合はどうなるのかを教えてほしいというのです。そこで、追納して受けられる主なメリットを3つお伝えしました。
2. 社会保険料控除が受けられる
3. 障害年金を受給できる
Aさんのケースで追納するメリットは?
Aさんの場合、このままでも60歳時点で老齢基礎年金を受け取るための要件をクリアしています。そして、追納を行うことで増える受給額は約2.75万円(年額)です。単純に考えると、約55万円を支払い、20年以上受け取れば元が取れる計算になります。全額免除の場合、追納しなくても年金額の2分の1はもらえるため、増額効果はあまり感じられないかもしれません。
次に、社会保険料控除が受けられることについては、自営業で確定申告をしており経費部分が多いため、追納をして控除を受けるメリットはあまりないということです。
最後に、障害年金を受給できるかについては、しっかりと確認する必要があります。というのも保険料納付要件の原則があるからです。具体的な目安は、保険料納付済期間と免除期間の合計期間が加入期間の3分の2以上あること。これについてAさんの年金記録を確認したところ、納付要件をクリアしていました。
つまり、Aさんが追納をすることで得られるメリットは1つ、老齢基礎年金の受給額が増えること、ただし20年以上受け取れば、になります。
追納額をNISAで投資に回した方がいいのか?
考え方によりますが、追納しないで投資をするとどうなるのでしょうか? 例えば、追納保険料を積立投資に回した場合で試算してみました。
Aさんは毎月納付を行う予定でしたから、その予定で積立投資を行った場合、年利3%で試算すると33ヶ月後には投資額約55万円に対して57.5万円ほどに増えます。33ヶ月後に59歳になったAさんが、仮に65歳になるまで同じ年利で運用を行えたとしたら68.6万円ほどになります。
年金を追納した場合と比べてみましょう。
仮に、年額2.75万円ずつ受け取ると約25年になります。つまり、86歳より長く生きれば、追納した方がよかったということになります。ただし、これはあくまでも机上の計算。必ず、年利3%で運用できるかは不明なこと、また、投資額の取り崩しを行うなどの金銭管理能力が衰える可能性もあります。どちらが正しいかは現時点ではわかりません。ただ、重要なのは自分のケースで試算を行い確認してみることです。
なお、追納ができる目安は、追納が承認された月の前10年以内の免除期間というルールがあります。今回の試算結果を見て、Aさんは、投資と追納の併用を目指す目標ができたようです。
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(三原由紀)
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