老後資産も【新NISA】で運用した方がいい? 必ずしもそうとはいえない理由とは
MONEYPLUS / 2024年7月25日 7時30分
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老後資産も【新NISA】で運用した方がいい? 必ずしもそうとはいえない理由とは
2024年に新NISAがスタートして、ブームが起こりました。「とにかく新NISAを使って運用した方がよい!使わないと損」という話も聞きます。
定年後のお金についても、退職金や老後資産も新NISAを使って活用を勧める記事が多くあります。しかし、定年後の資産運用に本当に新NISAを使った方がよいのでしょうか?
今回は、新NISAを使わない定年後の資産運用を紹介いたします。
新NISAで運用しても数年しか資産寿命は延びない!
新NISAは、とてもよい制度です。60代までの資産形成においても役に立ちます。私もそれについては異論ありません。
しかし、60代以降の資産形成で貯めたお金を少しずつ取り崩す段階、つまり資産活用のステージでは、新NISAを使わなくてもよいと考えます。
60代以降は、新NISAは資産寿命を延ばす役割として使うという考え方もあります。貯まった老後資金を運用することで、資産寿命を延ばすことができるからです。たしかに老後資金を運用しないよりも、運用した方が資産寿命は延ばすことができます。とはいっても、資産寿命を延ばすことができても数年です。
たとえば老後資金が1200万円ある場合のシミュレーションをしてみましょう。
シミュレーションの条件は、単身者で、60歳から65歳までは再雇用で年収360万円、65歳から70歳までは週2日の継続雇用になり年収60万円で働き、70歳以降は年金のみでの生活とします。65歳からの年金は200万円、年間の支出は280万円とすると、年間の赤字額は65歳から70歳までは20万円、70歳以降は80万円。この赤字は、老後資金から取り崩して補います。
結果は、運用など何もしない場合には、60歳から65歳までは、年間80万円ずつ貯蓄できるので、65歳の時点では1600万円の貯蓄ができます。しかし、70歳以降は年間80万円の取り崩しになるので、88歳の時点で老後資金はゼロになります。
次に新NISAで運用した場合です。老後資金は、貯蓄400万円、新NISAで800万円と仮定します。800万円は、4年間に分けて新NISAで積み立てをします。平均2%で運用したと仮定すると、65歳の時点では運用益を含めて1641万円になります。それから取り崩しになりますが、まずは新NISAから取り崩します。81歳で新NISAの残高がゼロになり、貯蓄を取り崩します。その貯蓄も91歳の時点で老後資金はゼロになります。運用しないよりも約3年間延びました。
ただし、投資は元本割れのリスクがあるため、あくまでシミュレーションです。
繰下げ受給をすると収支のバランスがとれる
では、老後資金を運用しないで、生活費で使ってしまうケースを考えてみましょう。
どういうことかというと、老後資金を生活費に使っている間、年金の繰下げ受給をするのです。
年金の繰下げ受給を70歳までおこなって、70歳以降に受給開始するのです。年金は受給繰り下げを1年することで、8.4%増額できます。65歳から70歳まで5年繰り下げることで、年金は42%の増額になります(年額200万円が年額284万円に)。
年金を増額することで、老後のお金の収支のバランスを取るのです。収支のバランスが合えば、老後資金を取り崩す必要もなくなります。
先ほどと同じ条件でシミュレーションをします。
60歳から65歳までは再雇用で年収360万円、65歳から70歳までは週2日の継続雇用になり年収60万円で働くとします。年間の支出を280万円とすると、60歳から65歳までの5年間で400万円貯蓄することができ、65歳の時点で貯蓄額は1600万円です。
65歳から70歳までの収入は年収60万円なので、足りない分の年間220万円を貯蓄で補塡します。5年間で合計1100万円かかるため、70歳の時点で貯蓄残高は500万円に減ってしまいます。
しかし70歳以降は、年金が受け取れます。増額になって284万円です。年間の支出は280万円なので、4万円の余裕が出ます。
これで「収支のバランス」が取れることになるので、老後資金の残り500万円を取り崩すことがなくなりました。逆にプラス4万円です。
この500万円は、介護になったときやトラブルに遭遇したときの余裕資金として活用できます。
「繰下げ受給」+「新NISA」
このシミュレーションでわかるように、老後資金の運用で新NISAを使うのがもっともよいというわけではありません。今回は2%と設定しましたが、もし3%で運用ができたならばもっと資産寿命は延びるはずです。とは言っても、年金の繰下げ受給は、年8.4%です。この年8.4%というのは変動ではありません。年金は金融商品ではありませんが、運用商品として考えれば、こんなに確実でよい商品はありません。
ここであげた例は、老後資金が1200万円のケースですが、もっと資金がある場合には、年金の繰下げ受給と新NISAの両方を行うことができます。この方法だとダブルで安心です。組み合わせながら、資産寿命を延ばしてはいかがでしょうか。
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( 長尾義弘)
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