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空き家急増なのに、借りる家がない…老後の賃貸はどうすべきか?

MONEYPLUS / 2024年7月14日 7時30分

空き家急増なのに、借りる家がない…老後の賃貸はどうすべきか?

空き家急増なのに、借りる家がない…老後の賃貸はどうすべきか?

超高齢社会となった日本において、住まいに関する問題が日々深刻になっています。バリアフリー問題や、路線バス廃止等による地方交通の衰退など、高齢者が快適に暮らす上での課題は山積です。

その中でも、この記事では「高齢者が賃貸物件を借りることの大変さ」をテーマに取り上げたいと思います。

もともと持ち家がある場合や、資金に余裕があり新たに住宅を購入できる環境にある場合ならば、それほど不安が生じることはないでしょう。一方、家族構成の変化等の事情で、高齢者本人が新たに住まいを探す際、賃貸物件を探すとなると大変です。

そこで、今回は「どうして高齢者は賃貸物件を借りるのが大変なのか」を見ながら、「高齢者が賃貸を借りるための選択肢や方法」について考えてみたいと思います。


高齢者が直面する賃貸物件の厳しさ

高齢者が賃貸物件を借りることは容易ではありません。貸主としては、より長く、トラブルなく住んでくれる入居者を好みます。学生、社会人、ファミリーなど、さまざまな入居者候補がいる中で、高齢者に対する印象は、

・バリアフリーが不十分で、室内でケガをしないか不安
・年金など、収入が限定的になることから、家賃滞納が生じる不安
・孤独死が起こった際の諸リスクの観点から、入居者の健康上の不安

といった、ネガティブな想像が膨らみやすくなりがちです。

そのため、定年退職を迎える60代以降は、特に入居審査が通りにくくなると言われており、貸主審査だけでなく、近年利用がメジャーになっている家賃保証会社(連帯保証人と同様に、家賃滞納等が起こった際に入居者に代わって家賃支払いを立て替えてくれる専門会社)の審査も通りにくくなる傾向にあります。高齢者の一人暮らしでの部屋探しになると、その難易度はさらに高まります。
 

空き家はあるが、住める家がない。

2024年4月30日に総務省が公表した住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は900万戸にのぼり、過去最多となりました。総住宅数に占める空き家率も13.8%と過去最高を記録しています。その点では、「家はたくさん余っているのに、住める家はない」という、歯がゆい状況になっているとも言えます。

高齢者が借りられる家はないのか?

ここからは、高齢者が賃貸を借りられる”確率を上げる”方法をご紹介します。

①家族や親族に協力を仰ぐ
例えば子供など、比較的年齢も若く、一定の収入がある家族に保証人を依頼することで、審査が通りやすくなることがあります。特に、近くに住む家族や親族であれば、貸主にとっては、家賃の支払いの面だけでなく、本人の健康など、日常生活の面でもサポートしてもらえる安心感が高まるのです。

②高齢者向けの制度を利用する
高齢者向けの入居支援制度を利用する方法もあります。例えば、高齢者向けに家賃保証(滞納時の連帯保証)してくれる団体やサービスが徐々に登場してきています。このような制度を利用することで、審査のハードルは大きく下げられるでしょう。

ただし、仮に入居者として高齢者向けの家賃保証制度を利用できる条件に当てはまっている場合でも、貸主が「制度利用可能」と物件を登録している、またはこういった制度の利用を相談して、承諾してくれる物件に限られるため、全国すべての賃貸物件から自由に選べるわけではありません。

傾向としては、駅から遠く、主に路線バス等での移動が不可避となる築年数が古めのアパートなど、社会人等では部屋が埋まらずに空室率が高く、なんとか入居率を上げたい物件が中心になってしまうため、物件選びの際にある程度の妥協を強いられることも少なくありません。

③高齢者歓迎の賃貸住宅を選ぶ
少しずつですが、高齢者の入居を歓迎している賃貸住宅も増えてきています。この背景には、貸主が社会貢献の目的であったり、入居率アップ等戦略的な目的であったりとさまざまですが、これ自体は賃貸物件を探す側としても非常に喜ばしいことです。実際に、大手の不動産検索サイトの中には、高齢者向けの賃貸物件を絞って検索できたり、高齢者歓迎の物件を特集していたりすることもあります。

ただし、募集上は「高齢者歓迎」と謳っていても、実際には審査が厳しかったり、期待を裏切られてしまったりすることも少なくないようです。それでも、物件のプロフィールや入居条件に高齢者を優遇しているような記載がある物件には果敢にチャレンジしていくことで、良い物件に出会える可能性が高まります。

また、一般個人や民間の不動産会社が貸主の物件だけでなく、公営住宅やUR都市機構などが、公共性の高い貸主により提供されている賃貸物件もあります。比較的家賃も安く抑えられているために競争倍率が高く、入りたくても入れないといったケースもあるようですが、有力な選択肢として考えられるでしょう。

④高齢者専用の住まい
賃貸物件とは少し性質が異なりますが、高齢者専用の住宅もあります。まず多くの人が思い浮かぶのは有料老人ホームだと思いますが、その他にも「サービス付き高齢者住宅」や「高齢者向け優良賃貸住宅」という住まいもあります。

有料老人ホームが、主に介護を必要としている高齢者を対象にしており、介護サービスや食事の提供がセットになっているのに対し、サービス付き高齢者住宅は、介護を必要としない高齢者向けに、掃除や買物代行、安否確認といった生活支援サービスの提供のある住宅で、契約形態も賃貸借契約となります。また、高齢者向け優良賃貸住宅は、介護や生活支援サービスはないものの、一定のバリアフリー基準を満たした住宅で、段差が少なく室内に緊急通報装置が付いている等、安心して住むことができます。

特にサービス付き高齢者住宅は、一般的な賃貸アパート等と比べると家賃は高額であったり、高齢者向け優良賃貸住宅は、自治体によっては家賃補助制度がある等で人気が高く、なかなか空室がなかったりするなど、必ずしも気軽に誰でも入居できるわけではありません。しかし、これらの住まいも選択肢の一つとして検討の余地があるでしょう。

早めのうちから、情報収集を

いかがでしたか。今回の記事で挙げた選択肢は、それぞれ長短所があり、本人の健康状態、希望エリア、予算、難易度(競争倍率など)によっても、最適な住まいは異なります。

そして、これは高齢者向けの物件に限りませんが、やはり立地や諸条件が魅力的なほど、なかなか空室が出ずに退去待ちが続くなど、なかなか希望通りの物件に出会えないこと少なくありません。

そのためにも、賃貸物件が必要になってから探すのではなく、必要になる前の早いうちから、どんな物件があるか、それぞれの選択肢にはどんな条件があるか、どんな準備が必要かなどを調べておくことが重要です。選択肢によっては、家族等で話し合いが必要な場合もあるでしょう。そうして、いざという時にすぐ行動できるようにしておけば、よりスムーズに、よりよいチャンスを掴める確率が上がっていきます。

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(小林弘典)

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