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【4資産分散】が長期投資成功の鍵?運用収益過去最高のGPIFに学ぶリスク管理

MONEYPLUS / 2024年7月15日 7時30分

【4資産分散】が長期投資成功の鍵?運用収益過去最高のGPIFに学ぶリスク管理

【4資産分散】が長期投資成功の鍵?運用収益過去最高のGPIFに学ぶリスク管理

GPIF (年金積立金管理運用独立行政法人)による2023年度の運用状況が7月12日に発表されました。資料によると昨年度の全体の年間収益額は45兆4,135億円で過去最高となりました。収益率はプラス22.67%でこちらは2020年に次ぐ過去2番目の状況です。


国内外の株式収益が好調

GPIFとは2001年から年金積立金を運用している公的な機関で、世界中の資産に投資運用して資金を増やすことが仕事です。2023年度の年間収益額の内訳を見ると以下のようになっています。

国内債券=-1兆1,421億円(-2%)
外国債券=7兆8,694億円(15.83%)
国内株式=19兆3,928億円(41.41%)
外国株式=19兆2,952億円(40.06%)

これらを見ると、国内外の株式収益が際立って高かったことが分かります。
年金積立金の市場運用を開始した2001年度から2023年度までの累積収益額は、+153兆7,976億円、2023年度末のGPIFの運用資産額は245兆9,815億円です。市場運用を開始した2001年度以降の23年間の平均は+4.24%で、2015年度以降の長期的な運用目標は+1.7%ですので目標を大きく上回っています。

GPIFの投資法

GPIFの収益は、利子や配当金によるインカムゲインと価格変動による損益キャピタルゲインに分けることができます。2023年度のインカムゲインは4兆1,374億円で収益率は1.68%で、運用を開始した2001年度以降の23年間の累積額は51兆1,901億円で収益率は1.65%でした。累積収益額の内訳は以下の通りです。

国内債券=15兆9,720億円(収益率1.16%)
外国債券=11兆5,386億円(収益率2.99%)
国内株式=11兆6,642億円(収益率1.73%)
外国株式=12兆7億円(収益率2.16%)

GPIFでは保有する資産から得られるインカムゲインをキャッシュ(現金)のまま保有せず、再投資しています。理由は長い期間で見れば再投資した方が大きな複利効果が得られるためです。

現在の投資先は国内債券、海外債券、国内株式、外国株式の4つの項目にそれぞれ約25%ずつ均等に資金を振り分け運用しています。均等にしたのは2020年4月からで、過去のポートフォリオでは4資産にバラつきがありました。国内債券の比率が2006年~2014年まではとても高く約60%、2014年~2020年3月までは35%を占めていました。国内の金利低下によって国内債券の利回りが低下している状況等に伴い国内債券の割合を減らし、金利が高い外国債券の割合を増加させました。また運用目標(利回り1.7%)を満たしつつ、最もリスクの小さいポートフォリオを選定しました。その戦略が功を奏して2019年度の累積収益額は57兆5,377億円でしたが、2020年度は95兆3,363億円で1.65倍になり、2023年度は153兆7,976億円で約2.67倍になりました。

パッシブ運用とアクティブ運用

運用比率はパッシブ運用が82.31%、アクティブ運用が17.12%で圧倒的にパッシブ運用の比率が高い状況です。パッシブ運用とは、投資信託等の運用手法による分類のひとつで、運用目標とされるベンチマーク(日経平均株価やTOPIX等の指標)に連動する運用成果を目指す運用手法のことをいいます。

一方、ベンチマークを上回る運用成果を目指す運用手法のことを「アクティブ運用」といいます。株式に限定して見てみると国内株式のパッシブ運用は23.90%、外国株式のパッシブ運用は22.49%です。一方国内のアクティブ運用は1.12%、外国株式のアクティブ運用は3.08%となっています。国内株ではTOPIX、外国株ではMSCIに連動するインデックス売買が主流です。

リスク管理の哲学

リスクに関してGPIFで重視しているのは「年金財政上必要とされている長期的な収益が得られないリスク」です。したがって市場の一時的な変動による短期的なリスクについてはあまり問題視しておらず、「長期の運用実績の大半は基本ポートフォリオによって決まるとされていることから見ても、基本ポートフォリオが運用リスク管理の根幹である」としています。4つのリスク(市場リスク、流動性リスク、信用リスク、カントリーリスク)を適切に管理するとともに、各種リスク指標を適時把握し、長期的なリスク・リターンを勘案した適切な措置を講じている、としています。

ここまでお伝えしてきた通り2020年度以降、特に2023年度は見事なまでの運用成績のGPIFですが何故かニュースなどでは、それ程大きく報道されていません。マイナスの年には通常の報道に加えワイドショーなどで連日報じられる事もあり、情報の扱いに不平等さを感じます。一般的には良い時も悪い時もあるのが相場の世界です。このまま好調でプラス推移してほしいと思いますが、好パフォーマンスばかりを望むのは難しいと思います。これまで2001年、02年、07年、08年、10年、15年、19年(度)はマイナスでした。個人的には今後マイナス報道の年があったとしても躍起にならず、2023年度のような好パフォーマンスの年を思い出し、少し広い目線で行く末を見守りたいと思います。

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(たけぞう)

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