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株主優待廃止で株価急落の「サイゼリヤ」、過去に廃止した企業のその後の株価はどうなっている?

MONEYPLUS / 2024年7月18日 7時30分

株主優待廃止で株価急落の「サイゼリヤ」、過去に廃止した企業のその後の株価はどうなっている?

株主優待廃止で株価急落の「サイゼリヤ」、過去に廃止した企業のその後の株価はどうなっている?

新NISAのスタートで、ますます株主優待に注目が集まっています。

株主優待とは、企業が一定数の株式を保有する株主に対して、自社商品やサービス、割引券などを提供することで、株主に対して感謝の意を示すとともに、長期的な株式保有を促進する目的で行われています。じつは株主優待制度は、日本独特のもので、たとえばアメリカ株で株主優待がつくことはありません。


サイゼリヤ優待廃止の理由とは

日本の上場企業約3,800社のうち1,500社程度が株主優待制度を実施しており、全体の約40%程度にあたります。冒頭でも述べましたが、新NISAで個人投資家を取り込む施作として優待をあらたに創設する企業は、増加傾向にあります。

ところがこの流れに逆行して、先日7月10日(水)に、サイゼリヤが2024年8月期第3四半期決算発表のタイミングで、株主優待の廃止を行いました。サイゼリヤの優待内容は、100株以上で500円の食事券4枚、500株以上で20枚、1,000株以上で40枚(いずれも1年以上継続保有の株主のみ)です。会社四季報オンラインによると、株主総数54,848名中、単元株主数49,517名と個人投資家の比率が高いことが窺われますので、優待目的で保有していた人も多かったことでしょう。

優待廃止の理由は「株主の皆様への公平な利益還元のあり方という観点から、配当による利益還元に集約することが適切であると判断し」とあります。当社の場合、サイゼリヤの食事券が優待品なので、近くに店舗がないと利用できません。たとえば海外投資家が受け取ったとしても、使う術がなく、無駄になってしまいます。そういった不公平をなくすために、優待での還元を廃止し、その分を配当金として還元するということです。

ちなみに年間配当金は、当初の発表予想18円から25円に引き上げられています。株主優待に充てる引当金は5月末で約2億5,000万円で、配当の引き上げ金はこれを上回る金額になりますから、実質的には株主還元が拡充したことになります。

ところがこの発表があった翌日、サイゼリヤの株価は一時8.69%安の5,250円まで下落。その後は買い戻され、-2.3%安の5,620円まで戻りましたが、優待廃止のショックは大きかったようです。

画像:サイゼリヤ「2024年8月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

業績はどうかというと、①売上高163,270(百万円)、②前年比23.6%、③営業利益10,065(百万円)、④前年比182%と決して悪くありません。営業利益の通期予想13,100(百万円)に対する進捗率も、76.8%と順調です。

株主優待を廃止した企業のその後

株主優待は、長期保有の個人投資家の割合を増やす効果があり、個人投資家が増えるとアクティビストに狙われにくいというメリットもあります。たとえば個人投資家の比率が32.5%と高いイオン(8267)に対しては、アクティビストからのツッコミはほとんどありません。一方、個人投資家の比率が9.33%とかなり少ないセブン&アイHD(3382)は、アクティビストからの圧力がかなりかかっています。となると株主優待は、廃止するより、むしろ拡充させたほうがいいのではないか、とも思います。

過去、株主優待を廃止した企業のその後はどうなっているのでしょう? 2022年6月に廃止したカルビー(2229)は、サイゼリヤと同様に、株主還元を配当金に一本化することを決定。一時的に株価は下落しましたが、その後は、安定しています。

2020年3月に同様の理由で株主優待を廃止したユニ・チャーム(8113)も、発表直後に短期的な株価の下落はありましたが、その後は、企業の成長性や配当方針に対する評価が高まり、長期的には株価の回復が見られています。

カタログギフト方式の優待が非常に人気だったオリックス(8591)は、2024年3月をもって優待制度を廃止。配当などによる利益還元に集約すると発表し、こちらも発表直後は株価が下落しましたが、現在は、上場来高値近くまで株価を伸ばしており、優待ショックからは完全に復活しています。

といったように、株主優待廃止は、短期的には株価の下落要因になりますが、業績が好調で、安定した配当を行うことができれば、株価は回復する可能性が高いようです。今回の、サイゼリヤの優待廃止ショックもあとから見ると、投資のチャンスだったとなるかもしれません。

また優待廃止で個人投資家比率が下がれば、アクティビストのせっつきにより株価が上昇する期待も高まります。

個人投資家比率の高い企業

これらのことから、個人投資家に人気の優待銘柄企業が、優待を廃止した直後の株価下落を狙う逆張り投資戦略が有効と考えられます。現状の流れとしては、どちらかというと優待を拡充させる企業が増えているため、あまり効率がよいとは言えませんが、もし今後、サイゼリヤのように優待を廃止する企業のニュースがあったときは、素早く拾えるように準備しておきたいものです。

個人投資家比率が高い人気優待銘柄は

・イオン(8267)
・スカイラークホールディングス(3197)
・吉野家ホールディングス(9861)
・日本マクドナルドホールディングス(2702)

などが挙げられます。優待廃止を気長に待ってみるのもおもしろいと思います。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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(藤川 里絵)

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