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3カ月・10カ月・3年…相続の【3つの期限】過ぎたらどうなる?

MONEYPLUS / 2024年7月28日 18時0分

3カ月・10カ月・3年…相続の【3つの期限】過ぎたらどうなる?

3カ月・10カ月・3年…相続の【3つの期限】過ぎたらどうなる?

人が亡くなると相続が発生します。そして、相続人が2人以上いる場合は遺産を分ける話し合い(遺産分割協議)を行わなければ、亡くなった人の財産を引き継ぐことはできません。遺産分割協議に期限の定めはありません。ただし、相続手続きにはさまざまな期限があります。そのため、早めに遺産分割協議を行なうほうが良いでしょう。

今回は、相続にかかわる以下の3つの期限について説明しましょう。

【1】3カ月:相続放棄
【2】10カ月:相続税申告
【3】3年:相続登記(不動産の名義変更)


3カ月:相続放棄

相続放棄は、原則として相続の開始があったことを知った日から3カ月以内に、家庭裁判所へ「相続放棄の申述」を行わなければなりません。相続放棄の申述が受理されれば、申述した人は相続が起こったときから相続人ではないことになります。

たとえば、父親が亡くなり、相続人は、母親と子供2人だとします。子供の1人が相続放棄をすると初めから相続人ではないことになるので、父親の相続人は母親と子供1人ということになり、この2人で遺産分割協議をすることになります。

なお、家庭裁判所へ相続放棄の申述をせず、遺産分割協議で財産を一切引き継がないとして判を押すことで相続放棄をしたと勘違いすることがあります。この場合、財産を一切引き継いでいなくても相続人としての地位を失うわけではありません。将来、債務が発覚した際は、債権者に対抗することができませんので、返済の督促が来る可能性があることに注意が必要です。

相続放棄を選択するのであれば、相続の開始があったことを知った日から3カ月以内に、家庭裁判所へ申述しましょう。この申述が受理されれば、相続人ではなくなりますので遺産分割協議への参加も必要なくなります。

10カ月:相続税申告

基礎控除を超える財産を相続した場合、相続税の申告および納付をする必要があります。 その期限は、被相続人が亡くなったことを知った翌日から10カ月以内です。 10カ月以内に、戸籍等を取得して相続人を確定させ、相続財産を確認するために各種資料を収集します。その後、相続財産について相続税申告用の評価を行う必要があります。これらの資料から申告書を作成し「誰が」「何を」引き継ぐのかを決めた遺産分割協議書とあわせて申告をします。つまり、10カ月以内に遺産分割協議を終える必要があるのです。

しかし、家族の状況によっては10カ月以内に遺産分割協議が終えられない場合もあります。その場合、一旦は法定相続分で相続したと仮定して相続税申告を行い、各相続人が相続税を納税する必要があります。この段階では、相続税を減額できる特例(小規模宅地の特例、配偶者控除の特例など)は使用することができません。このような場合には「3年以内の分割見込み書」を提出することにより、遺産分割協議が終わった際に特例を受けることが可能です。

ただし、相続税の修正申告を行う必要があることや、当初申告時の相続税額が高額になるなど、手間や負担が増えることになるので注意が必要です。

3年以内:相続登記(不動産名義変更)

不動産を相続した場合、法務局に登録している所有者名義の変更をします。これを「相続登記 」と呼びます。以前、この相続登記に期限はありませんでした。しかし、民法が改正され2024年4月1日から、相続により不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記をしなければ、罰則(10万円以下の過料)の対象となりました。これまでは期限がなかったことや相続登記に費用ががかることなどから、相続登記ができていない不動産が増えていました。これにより、何代も前から相続登記ができておらず、所有者が不明となっている土地が九州の土地面積よりも広いといわれています。

このような状況からこの制度が導入されることとなり、遺産分割協議が期限内にまとまらない場合でも「相続人申告登記」を申請期限内に法務局へ申し出ることが義務化されました。その後に遺産分割協議が成立した場合には、その3年以内に相続登記を行わなければならなくなりました。

不動産の遺産分割協議を先延ばしにすることで、相続人の一人が亡くなると相続関係が複雑になる可能性があります。また、不動産は財産となる一方で、維持費がかかる点にも注意が必要です。相続した不動産が自宅であれば問題ありませんが、賃貸物件や空き家となった場合、固定資産税や管理費などの維持費を支払う必要があります。そのまま放置すれば維持費はどんどん膨れ上がり、負債となる可能性もあります。特に遠方に住んでいる場合や、すぐに売却先が見つからない場合は、維持費がかさむことを考慮して、早めに遺産分割協議を行うことを検討する必要があります。

生前に話し合うメリット

このように、相続にはさまざまな期限があります。これについておすすめの対策方法は、生前に財産の分け方を話し合っておくことです。

財産の分け方は、人が亡くなってから考えるものと思われがちです。しかし、いざ相続が発生してからでは、感情的になって冷静な判断ができなくなったり、相続人同士で意見が食い違ったりする可能性が高いです。これを生前に話し合っておくことで、よりスムーズな遺産分割協議ができるようになります。

生前に話し合っておくことのメリットとしては、以下のようなことがあります。

・相続人全員の意思を確認できる
・相続財産を把握できる
・相続税対策を検討できる
・遺言書の作成を検討できる

特に、相続財産に不動産が含まれている場合、売却や賃貸などを含め今後の方針を決めておく必要があります。また、相続税対策も早めに対策を講じておくことで、節税効果を高めることができます。

財産を分ける話し合いの主役は、財産を所有している本人です。ただ、相続人全員が参加して、お互いの意見を出し合って進めることも時には必要です。亡くなった後では、できることが限られてしまうからです。

家族だけでの話し合いが難しい場合には、相続の専門家に相談することも検討しましょう。

相続診断士・行政書士 藤井利江子

(アクセス相続センター)

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