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非正規雇用・退職金なし…老後資金はどう準備する?

MONEYPLUS / 2024年7月24日 11時30分

非正規雇用・退職金なし…老後資金はどう準備する?

非正規雇用・退職金なし…老後資金はどう準備する?

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、退職金制度がある企業の割合は74.9%です。退職金制度があったとしても、非正規雇用の場合、退職金が支給されないケースが依然として多い状況です。

会社の就業規則や退職金規定次第で、非正規雇用の退職金の有無が決まるため、どう定められているのかを一度確認してみることをおすすめします。

老後資金を考える際、退職金は大きな収入源の一つとなりますが、その退職金がないとなると、自分自身で計画的に老後資金を準備する必要があります。よく耳にするのは、iDeCoやNISAを活用して資金を貯める方法でしょう。ただ、中には投資に怖いイメージをもっている方もいるはずです。そこで今回は非正規雇用、退職金なしの方に向けて、iDeCoやNISA、そしてそれ以外の老後資金の準備方法についてFPが解説します。


準備したい老後資金はいくら?

まずは受け取れる年金を把握した上で、準備したい老後資金を試算しましょう。2024年度の国民年金(老齢基礎年金(満額))の支給額は月額6万8,000円です。厚生年金への加入期間がある場合は収入や加入期間に応じて、さらに支給額が上乗せされます。ご自身が年金をいくら受け取れるのかは、毎年誕生月に送られてくるねんきん定期便で確認することができます。また、ねんきんネットを利用すると将来の年金受給額を試算できます。

次に、老後にかかる生活費はどれくらいでしょうか。総務省が公表している「家計調査報告 (2023)」では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均支出は28万2,497円、65歳以上の単身無職世帯では15万7,673円となっています。

例えば、現在非正規雇用で働いている単身世帯で、厚生年金の対象とならない(国民年金だけ)場合は、支出が15万7,673円なのに対し、収入は6万8,000円です。つまり、月約9万円、年間で約108万円の不足となります。

厚生労働省が発表した令和4年簡易生命表では、日本人の男性の平均寿命は81.05年、女性は87.09年です。この平均寿命から考えると、65歳から年金で生活するとして、16年~22年分の資金が必要なことになります。16年では108万円×16年で1,728万円、22年では108万円×22年で2,376万円の不足となります。

受け取れる年金額はこれまでの働き方や収入、加入期間によって変わります。また、生活スタイルや持ち家の有無などによって、必要な生活費も人によって大きく異なります。今回はシンプルに生活費だけを計算しましたが、孫へのお年玉や帰省費用、趣味のお金など他にも余暇費が必要な場合は、その分の金額も上乗せして準備する必要があります。自分にはいくらの老後資金が必要なのか、具体的な金額を試算し準備を始めましょう。

iDeCoやNISAで老後資金を準備する

老後資金を準備する手段としてまず挙げられるのが、iDeCoやNISAといった投資を活用する方法です。投資は余剰資金で行うことが基本ですが、自分の家計からいくら拠出すればいいか不安な場合にはライフプラン作成が有効です。また、投資自体のリスクが不安な場合には「長期投資」「分散投資」「積立投資」を意識することで、リスクを抑えやすくなります。そのため、すでにある程度の貯蓄があり毎月の掛金を安定して拠出できる人や、投資期間を長く確保できる人はこれから紹介する投資を活用した老後資金準備が向いているといえます。

iDeCoは自分で掛金を運用しながら積み立てていく「個人型確定拠出年金」です。積み立てた資産を60歳以降に一時金または年金として受け取ります。掛金を積み立てるとき、掛金を運用するとき、拠出した資金を受け取るときに税制面で優遇されるのがiDeCoのメリットです。ただし、掛金額には上限がある点や原則60歳になるまで引き出すことができない点には注意が必要です。また、加入期間が10年未満の場合、受け取ることができる年齢が引き上げられます。金融商品の選定によっては、元本割れのリスクがあることにも注意が必要です。

60歳までに資金が必要になる可能性がある人、iDeCoの掛金上限額を超えて積み立てをしたい人は、NISAを活用してみましょう。NISAは、通常だと投資の利益に対して20.315%の税金がかかるのに対して、非課税になるのがメリットです。

2024年から始まった新NISAでは、利益に対して非課税のまま保有できる期間が無期限となり、長期的な資産運用も可能になりました。iDeCoのような税制優遇はありませんが、利益が無期限に非課税というだけでも大きなメリットです。

NISAはiDeCoと違い、途中で引き出すことができるので、お金が必要になった時には、一部もしくは全部を売却して引き出して使うことができます。目的を老後資金準備とするならば、引き出せることがデメリットになる可能性もありますが、これからライフイベントが多く控えていて資金の見通しがあまり立っていないような方には使い勝手が良いでしょう。
ただし、NISAの対象となっている株式や投資信託には元本保証がありません。リスクを理解した上で始めることをおすすめします。

ここまでをまとめると、老後まで強制的にお金を貯める環境を作りたい人にはiDeCoが、途中で引き出せる自由度がほしい人にはNISAを選ぶといいでしょう。

iDeCoやNISA以外で老後資金を準備する

ここからが今日の本題です。「投資はよくわからない。損をしそうで怖い」という場合には、他の方法を取り入れてみましょう。実際に筆者もFPの勉強をする前は投資が怖いというイメージがあり、これから紹介する方法で資産形成をしていました。

強制力のある方法で老後資金を貯めたい人は定額個人年金

民間保険会社の個人年金保険に加入することも公的年金を補うための一つです。60歳や65歳といった契約時に定めた年齢まで保険料を積み立て、一定期間または終身にわたって保険金を年金形式で受け取ることができます。払い込んだ保険料は、一定の条件を満たせば生命保険料控除の対象となります。老後資金を貯めながら、現役時代の所得税や住民税が軽減されるのは有難いですね。

定額個人年金保険は、契約した時点で将来受け取ることができる年金額が決まります。将来の受け取り額が決まっているということは、将来的な資金計画を立てやすいというメリットがあります。

途中解約をすると解約返戻金が払込保険料の総額より少なくなる場合や、まったく戻ってこない場合もある点に注意が必要です。解約しにくいので、強制力のある貯め方ともいえます。長期的な資金準備に強制力が欲しい人や節税効果を期待する人には選択肢の一つになるでしょう。

絶対に元本割れをしたくない人は積立定期預金

積立定期預金は長い時間をかけて地道に貯めることができます。現在の低金利では、増やすというよりは、日常で使ってしまわないように、老後資金用として他の資金と分けて管理するためのものと捉えるといいでしょう。

少額から始めることができ、余裕のある時には増額することも可能です。預け入れた元本は保証されているため、安全性の高さがメリットです。

貯金が苦手な人には、給料が振り込まれる普通預金の口座から積立定期預金の口座に自動で振り替えられるようにするのがおススメです。積立日を給料日の次の日に設定することで、給料から毎月自動的に効率よく先取貯蓄をすることができます。

金利を重視したい場合は、一般的に、メガバンクよりも地方銀行やネット銀行の方が金利は高い傾向にあります。あえてすぐに引き出すことができない金融機関を選ぶのも、コツコツ貯めていくには効果的です。まずは貯蓄の習慣を身につけたい人、元本割れへの抵抗感が強い人は積立定期預金を始めてみましょう。

一生涯受け取れる安心感がほしい人は国民年金基金

自営業やフリーランスなど国民年金の第1号被保険者が加入できる公的な年金制度が「国民年金基金」です。加入した時点で、掛金も将来受け取る年金額も確定するため、資金計画が立てやすいといえます。

加入は口数単位となっていて、1口目は65歳から死亡するまで受け取れる終身年金です。2口目からは7種類のタイプから自由に組み合わせて選ぶことができます。掛金は月額6万8,000円が上限で、掛金全額が社会保険料控除の対象となります。

ただし、一度加入すると解約や途中脱退はできません。加入口数の増減はできるので、支払いが難しくなったときには掛金を減額できます。余裕がある場合は、掛金を前納すると割引を受けることもできます。安定した年金を一生涯受け取りたい人、節税しながら老後資金の準備をしたい人に向いている制度です。

今回紹介した3つの選択肢は、利率より物価上昇率が高くなった場合、資産の価値が目減りする可能性があります。NISAやiDeCoに限らず、どんな選択肢にも何かしらのリスクはあります。自分はどんなリスクであれば許容しやすいのか、リスクを分散するにはどうすればいいのかを考えてみることも大切です。

何も始めないことが一番のリスク

iDeCoやNISA以外にも老後資金を準備する方法はあります。それぞれの制度や特徴、リスクを理解した上で、それらをうまく組み合わせ、自分に合った方法を見つけましょう。老後資金としてどれくらいの資金を準備したいかは、個人の状況によって異なりますが、どの方法も期間が長いほど効果を得られるので、資金作りを始めるならば早ければ早い方がいいといえます。何も始めないことが一番のリスクです。まずはできることから、将来に備えた準備をさっそく進めていきましょう。

【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)

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(阿部 瞳)

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