1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

なぜ?株主優待廃止を発表した4社 それぞれの理由を比較

MONEYPLUS / 2024年8月5日 7時30分

なぜ?株主優待廃止を発表した4社 それぞれの理由を比較

なぜ?株主優待廃止を発表した4社 それぞれの理由を比較

突然ですがクイズです。
ケンタッキーフライドチキン、お茶漬けの永谷園、イタリア料理チェーン店のサイゼリヤ、化粧品やサプリメントを扱うファンケル、これらに共通する事がありますが、それはなんでしょうか。ヒントは株です。…そう、株主優待制度の廃止を決定した企業です。


上場廃止の2社

ケンタッキーフライドチキンを展開する日本KFCホールディングス(9873)は今年5月にアメリカの投資ファンド『カーライル・グループ』による普通株式に対する公開買付け(TOB)が成立することを条件に、株主優待制度を廃止することを決定しました。9月中に上場廃止になる予定です。

これまでは100~299株の保有で年に2回、500円分(3年以上の保有で1,000円分)の優待券を贈呈していました。300~499株の保有で1,500円分(3年以上で3,000円分)、500~999株の保有で2,500円分(3年以上で5,000円分)、1000株以上の保有で5,000円分(3年以上で1万円分)の優待券が贈呈されていました。

永谷園ホールディングス(2899)は丸の内キャピタル(東京・千代田)と実施したMBO(自社買収)が成立し、9月下旬の臨時株主総会を経て上場廃止となる見通しです。これまでは100株以上の保有で1,000円相当の自社商品(ふりかけ、お茶漬けのもと、インスタント味噌汁など)を進呈していました。

“公平な株主還元”を目指す

サイゼリヤ(7581)は7月10日、「株主の皆様への公平な利益還元のあり方という観点から、(中略)配当による利益還元に集約することが適切であると判断し、株主優待制度を廃止することといたしました」と発表しました。これまでは100株以上の保有で2,000円分の食事券、500株以上の保有で10,000円分、1000株以上の保有で2万円分の内容でした。

買収により子会社化

ファンケル(4921)はキリンホールディングス(2503)に買収される事が決まり、TOB(株式公開買付け)が実施され完全子会社化される方針と発表しました。7月末現在ファンケル株を巡っては、香港の投資ファンド、エムワイ・アルファ・マネジメントが買い増す動きもあり、キリンHDによるTOBが始まって以降、エムワイはTOB価格を上回る水準で株式を取得しています。

19日に提出された変更報告書ではファンケル株7.94%を保有していて、今後の動向が気になります。これまでファンケルは100株以上200株未満で3,000円相当の自社製品など、200株以上で6,000円相当の自社製品などを進呈していました(ともに6カ月以上の継続保有が条件)。

ケンタッキーフライドチキン、永谷園、サイゼリヤは日本では馴染み深い企業だけに長年、優待を楽しみにしていた株主にとっては残念な気持ちが強いかもしれません。サイゼリヤは優待廃止と共に2024年8月期(今期)の配当を従来予想の18円から7円増の25円にすると発表しました。7月10日の発表以降、株価は一旦急落しましたが現在は堅調に推移しています。

背景に東証の市場再編の影響

優待廃止は2022年4月の東京証券取引所の市場再編で、株主数の規定がプライム市場で従来の2,200人以上から 800人以上と緩和されたことがひとつの要因です。また、2023年3月、東証による全上場会社を対象に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」と題して、中⻑期的な企業価値向上と持続的な成⻑の実現を目指すよう促しています。海外投資家などは優待を活用できず、公平な株主還元と言えなくなっているためです。また上場規定の株主数が緩められたので、優待制度の必要性は薄まり廃止の傾向も頷けます。

東証は2022年4月の市場再編時に、TOPIXの算出方法も変更し見直しを実施しています。TOPIX構成銘柄は2,146銘柄(2024年4月現在)から25年1月には基準をクリア出来なかった銘柄を除外し、約1,700銘柄になります。最終的には2028年10月に1,200銘柄まで絞り込む計画です。また、TOPIXはこれまで、プライム市場からの採用のみでしたが、スタンダード市場とグロース市場からも約50銘柄が採用される見込みです。TOPIX銘柄に採用されるのであれば、必ずしも市場という枠に縛られる必要がなくなる事を意味しています。

東証による市場再編の規制がジワジワと迫る一方で企業側はこれまでよりも、自由度を制限されているように感じます。株主は短期的目線で利益を追求する点に反し、中長期的視点で経営を行いたい企業も多く存在するはずです。今後もMBOを行う企業が発表されたり、振るいにかけられながらも、生き残りをかけて斬新な株主還元を発表する企業も現れそうです。株主としては企業の底堅い体力的な部分にも大いに着目していく必要があると思います。

投資管理もマネーフォワード MEで完結!複数の証券口座から配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward] ※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

(たけぞう)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください