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57歳独身女性「自由にお金を使ってきたけど、老後も変わらず暮らしたい…」定年前後から始める資産形成に必要なこと

MONEYPLUS / 2024年8月7日 7時30分

57歳独身女性「自由にお金を使ってきたけど、老後も変わらず暮らしたい…」定年前後から始める資産形成に必要なこと

57歳独身女性「自由にお金を使ってきたけど、老後も変わらず暮らしたい…」定年前後から始める資産形成に必要なこと

会社員のAさん(57歳)は定年となる60歳が近づいてきたことで、今後の暮らしや老後資金への不安が大きくなってきました。このままで老後資金は大丈夫なのかを確認したい、何か対策が必要であれば始めたい、とFPである筆者のもとに相談に来られました。


【相談内容】
ひとり暮らしだったこともあり、これまでは割と自由にお金を使ってきました。できれば老後も今と変わらない暮らしがしたいけれど、それは可能なのでしょうか。今後の働き方も含め、老後資金について相談したいと思っています。銀行にお金を預けていても増えないし、老後に備えてNISAを始めた方がいいのかも伺いたいです。

【相談者プロフィール】
・性別:女性
・年齢:57歳
・職業:会社員
・家族構成:独身
・住居:関東(持ち家)

【収入】手取り収入合計:年間約526万円
・毎月の手取り金額:約39万円
・年間の手取りボーナス額:約58万円

【支出】
・毎月の支出目安:33万円
(内訳)
・住居費:8万2千円(住宅ローン、管理費)
・食費:7万5千円
・水道光熱費:2万円
・保険料:1万8千円
・通信費:1万5千円
・車両費:2万5千円
・美容・被服費:4万円
・趣味・娯楽:4万円(団体活動費、交通費他)
・その他:1万5千円(日用品、医療費他)

【資産状況】
・現在の預貯金総額:600万円
(年間貯蓄額:65万円)
・現在の投資総額:なし
・現在の負債:157万円(住宅ローン)

ライフプランでゴールを決める

Aさんに現状確認とともに、今後の働き方、老後生活において優先させたいことなどのヒアリングを行いました。

老後生活において優先したいこととして、生活レベルの維持、年1回の旅行、趣味の活動を続けることを挙げられました。その上で、老後資金が足りるようであれば60歳で退職し、仕事のペースを落としてパートなどで働くことも考えているそうです。

ヒアリングを行った内容を元に、60歳で退職し、65歳まで現在の収入の4割程度の水準で働く場合のライフプランを作成したところ、70歳で貯蓄が底をつき、老後資金が不足することがわかりました。

そこでAさんは、現在の職場で65歳まで継続雇用制度を利用して働くことを決めました。60歳以降は雇用条件が変わるため、給与水準は現状の約7割に低下するものの、働く期間を5年延長すると、資産寿命を81歳まで延ばすことができます。それでもAさんの希望する老後生活を叶えるには、なお老後資金が不足しているため、対策が必要です。

目標を叶えるには「無理なくできる金額」よりも「やるべき金額」に目を向ける

Aさん自身もお考えのように、必要な老後資金を準備するためには、NISA等を活用した資産形成が欠かせません。

どのような対策を行うか検討を進める上で、Aさんが自身の考えをお話しされました。

「手元にある預金600万円のうち、半分の300万円を原資にNISAで運用しようと思っています。月5万円を積立すれば年間60万円、5年分になります。資産運用は初めてだし、それくらいのペースならできそうかな。5年後にはまた運用に回した額と同じくらいは貯金もできていると思うから、そのタイミングでまたどうしていくか考えるつもりです」

Aさんがお考えのプランで運用した場合(月5万円を5年間積立)、3%/年での運用を想定してシミュレーションを行うと、赤字に転落するタイミングは86歳に延びますが、それだけでは老後資金の不足額を補いきれないことがわかりました。

初めて資産運用を行うAさんにとって、NISAを活用して積立投資を行うのは適した選択だと言えるでしょう。運用利益が非課税となることで投資効率が上がるうえ、積立投資は投資のリスクを減らす分散投資が可能だからです。しかしながら、Aさんが希望する老後生活を叶えるには、投資の「期間」と「金額」の再検討が必要でした。

複利の恩恵を受けるには投資期間と金額を適切に

すでに手元にまとまった資金がある場合、早めに成長性が期待できる資産に移した方が「複利」の恩恵を受けやすくなります。複利は、運用で得た利益を元本にプラスした合計額に対して利子がつきます。

たとえばNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用して投資信託を購入する際に再投資型を選択すると、運用益や分配金を受け取らずに元本に含めて投資をするため、効率よく資産を増やせるのが複利の効果です。複利の場合、運用期間が長くなるほど発生する利益は大きくなります。

一括投資の方がまとまった金額で運用期間を長く取れることから、積立よりも利益が増える可能性があります。ただし、一括投資を行った時点よりも価格が上がれば利益は増えますが、タイミングによっては購入後に価格が下がり、損失を抱える可能性もあります。投資初心者にとって一括投資を行うタイミングを選択することは簡単ではありません。

積立投資の場合、資金が積立に回るまでの間預金に置いたままになることで利益を生む機会の損失に繋がる可能性はありますが、購入タイミングを分散することでリスクを軽減できるため、投資初心者に適した方法です。

ただし、預金のまま置いておくことはインフレリスクもありますので、適切な期間と金額で積立投資を進めることが必要です。

また、定年後に収入が下がる場合、月々入ってくるお金から投資に回せる金額も減り、手元資金を使うことへの不安感も増すのではないでしょうか。定年前の収入レベルが維持されている期間にまとまった額を運用し、投資の土台をつくっておくことが、運用効果の面でも、心理的負担の面でも有効です。

安心の老後生活を実現するための対策

新しいことに取り組むときには「できる金額」からはじめがちです。けれども、負担なくできることを重視するあまり、目標が達成できなくなることは避けたいはずです。

希望の老後生活を実現するためには、「できる金額」ではなく「やるべき金額」を知り、必要な対策を進めることが欠かせません。

Aさんのケースでも、ライフプランを元に必要となる対策を検討しました。

Aさんは65歳まで現在の会社で働くと決めたため、税負担の軽減効果も得られるiDeCoの利用を提案しました。企業型確定拠出年金制度がない企業にお勤めであったため、定年退職までは掛金の拠出上限額である23,000円/月を拠出することになりました。

iDeCoの利用だけでは目標とする老後資金には不足するため、さらにNISAを利用して積立金額を上乗せします。

当初2年間は月20万円を積立し、年間240万円のペースで投資します。つみたて投資枠(年間投資枠:120万円)で月10万円、残りを成長投資枠(年間投資枠:240万円)で月10万円の積立を行うことを提案しました。

成長投資枠では一括投資や、つみたて投資枠では対象外の株式などへの投資も可能ですが、つみたて投資枠と同じ商品を選択して積立をすることも可能です。2年が経過した後、60歳から65歳で退職するまでは、つみたて投資枠で月3万円の積立を継続することになりました。

つみたて投資枠、成長投資枠のいずれも3%/年で運用できたと想定した場合、90歳時点までキャッシュフローが赤字に転落することなく、希望の老後生活を送ることが可能となるシミュレーション結果となりました。

意外と短い老後資金準備ができる期間

定年の節目となる60歳が近づいてくると、自身の老後の生活や老後資金について、より実感を持って意識するようになってくるのではないでしょうか。

定年やリタイアまであと数年という方は、老後資金を貯めるための期間は思ったよりも長くありません。

何歳まで働くのか、定年前後の給与条件はどう変化するのかによって、老後資金準備にかけられる期間や必要な金額も変わります。まずは、自身の働き方や理想の老後の暮らし方を具体化しましょう。そのためにも、ライフプランを作り、現状把握をして老後生活のシミュレーションをすることが欠かせません。

シミュレーションの結果、目標達成には対策が必要と判明したら、ゆっくりと対策を進める時間はありません。

「自分にできる範囲で無理なく進めていきたい」と思う気持ちもわかりますが、ご自身が理想とする老後生活の実現のためには「できる範囲」を広げることも必要です。目標実現のために適切な運用期間と金額で対策を進めることで、安心の老後生活を実現しましょう。

【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)

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(伊藤寛子)

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