30年以上金融市場を見続けた筆者も初体験…未曾有の暴落相場を分析する
MONEYPLUS / 2024年8月12日 7時30分
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30年以上金融市場を見続けた筆者も初体験…未曾有の暴落相場を分析する
8月5日の株式市場は日経平均株価660円安で始まり、売りが売りを呼ぶ全面安の展開となりました。日経平均株価の下げ幅は一時4700円を超え、前週末比の終値からマイナス4451円、3万1458円で年初来安値を更新しました。
ブラックマンデーを超えた8月5日
1987年に起きた米国の「ブラックマンデー」翌日に記録したマイナス3836円を超え、史上最大の下げ幅となりました。下落率は歴代2番目、ストップ安銘柄は全市場で801銘柄と過去に例を見ない多さでした。
個人投資家に人気の三井住友フィナンシャルG(8361)やソフトバンクG(9984)、JT(2914)、伊藤忠(8001)、東電(9501)、商船三井(9104)、三越伊勢丹(3099)また半導体銘柄のディスコ(6146)、アドバンテスト(6857)、防衛関連のIHI(7013)川崎重工(7012)などがストップ安となりました。
日経平均株価採用の225銘柄全てが下落し、プライム市場の99%の銘柄が下落、また6割の銘柄が10%を超える暴落と報じられました。
証券取引所では取引を一時的に制限・中断する、サーキットブレーカーが日経平均先物、TOPIX先物で発動(上下8%を超えると発動)しました。TOPIXは9時16分、14時19分から、日経平均先物は13時26分、14時27分からそれぞれ10分間の売買停止措置が取られました。サーキットブレーカーが1日に2回以上発動されるのは稀な事です。
日経VIX(日経平均ボラティリティ・インデックス:恐怖指数)は14時53分に85.38になりリーマンショック時を彷彿とさせました。VIXとは投資家が日経平均株価の将来の変動をどのように想定しているかを表した指数です。指数値が高いほど、今後相場が大きく変動すると見込んでいることを意味しています。
7月11日の日経平均株価最高値から約25%の下落となり、わずか16営業日を経た時点での予想できない暴落でした。プライム市場の値下がり銘柄数は1625銘柄(総合数1644銘柄)で売買代金は7兆9675億円だったと報じられています。
翌6日は過去最大の上げ幅に
翌6日は日経平均株価は619円高で始まり、上げ幅はプラス3217円(10.2%)で過去最大となりました。一時は東証プライム銘柄の98%以上が値上がりしたとされています。上限によるサーキットブレーカーが初めて発動され、日経平均先物が8時45分、8時56分、TOPIX先物が9時56分、グロース250先物が8時47分、9時6分からそれぞれ10分間の売買停止措置が取られました。円相場では対ドルで円高方向に戻し一時146円台に達しました。日経VIXは51.19で依然として高水準をキープし、プライム市場の値上がり銘柄数は1575銘柄、売買代金は7兆7500億円でした。
翌7日、日経平均株価は553円安で始まり、その後プラス浮上しました。日経平均株価は3万5089円で終了、プラス414円で引けました。売買代金は7兆3745億円で3日連続の7兆円超えでした。日経VIXは45.02で前日よりは低下してきたものの予断を許さぬ状況です。
利上げが暴落のシグナルに?
今回の暴落のシグナルは日銀の金融決定会合の会見が大きかったように思います。日銀は7月31日、政策金利を0.25%程度に引き上げる追加の利上げを発表しました。さらに総裁記者会見において「日本の政策金利がこのところ0.5%を超えたことがない」と指摘されたのに対し「経済・物価の情勢が私どもの見通しに沿って動いていけば(中略)、引き続き金利を上げていく考え」と回答しました。
また政府の動きとして、7月17日河野デジタル相は円安是正のため利上げを単独インタビューで考えを示し、7月22日、自民党の茂木幹事長は「段階的な利上げの検討も含めて金融政策を正常化する方針をもっと明確に打ち出す必要がある」と語り、過度な円安の是正へ分かりやすい情報発信を求めました。
このような発言から総合的に市場の空気感が悪化し、円安ドル高の後退などの懸念から売りが加速していったと思われます。実は8月1日から株価の急落は始まっていて、1日と2日で日経平均株価を3192円も押し下げました。この下げで信用取引の追証が発生し、週明けは個人投資家による投げ売りも多くあったように思います。5日は先述の通り、売りが売りを呼ぶように暴落し、3日間合計で7643円(19.5%)の下落に至りました。
高配当株狙いはチャンス?
一方で海外投資家の動向を見ると6月第4週から7月第2週までは現物、先物共に買い越していますが、7月第3週から第4週(5週は不明)は一転大幅に売り越しているので、毎度の事ながら日本市場の状況を司っているのは海外勢の思惑によるところが大きいです。
暴落時はなかなか市場に手を出しにくいですが高配当銘柄や株主優待銘柄を狙っている方にはチャンス到来といえるでしょう。またオプション取引(今回は詳しい説明は控えます)を活用することも有効です。
ここまでの暴落は市場に長く身を置いている私も経験したことがない状況で、非常に驚きました。アルゴリズムによる売買が主流になっていることも要因のひとつと思われます。その辺の状況も折り込んで、今後に役立てたい貴重な経験となりました。
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(たけぞう)
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