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投資信託は純資産総額の大きなファンドを選ぶのがいい?

MONEYPLUS / 2024年8月14日 7時30分

投資信託は純資産総額の大きなファンドを選ぶのがいい?

投資信託は純資産総額の大きなファンドを選ぶのがいい?

「投資信託を買う時は、純資産総額の大きなファンドを選ぶようにしましょう」と言われます。ある意味、正しいのですが、何にも適正水準というものがあります。それは投資信託も例外ではありません。


純資産総額は大きい方が良い?

投資信託の純資産総額とは、ファンドに組み入れられている株式や債券などの時価総額を合計したものです。したがって、組入資産の値動きと、資金の流出入によって、純資産総額は変動します。

つまり、純資産総額はファンドの規模を示すのですが、基本的にその額は大きいほど良いと言われています。純資産総額の規模が大きいほど良いとされる理由は、いくつか考えられます。

まず、より多くの資産、銘柄に分散投資できることです。運用に回せる資産の額が大きいのですから、運用方針に合致した範囲内でさまざまな資産クラス、銘柄にポートフォリオの中身を分散できます。

次に多少の解約が生じたとしても、運用のクオリティを維持できることです。純資産総額が10億円しかないファンドで5億円の解約が生じたら、ポートフォリオの半分を崩さなければなりませんが、純資産総額が1000億円あれば、5億円の解約などポートフォリオのごく一部を取り崩すだけで対応できます。

そして、繰上償還リスクが無くなることも、純資産総額が大きいことのメリットです。投資信託には「繰上償還条項」があらかじめ決められていて、受益権口数の残存額が一定水準を下回ると、償還日まで期間が残っていたとしても、その時点の基準価額で償還されることがあります。繰上償還されると、長期投資を前提にして購入したファンドも、それ以上の運用はできなくなりますから、一定の純資産総額を持ったファンドを選んだ方が無難、ということになります。

ファンドには適正規模がある

しかし、純資産総額が大きければ大きいほど良い、というのは明らかに間違いです。なぜなら、ファンドの投資先によって適正な市場規模があるからです。

先日、三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」が、信託金の上限額をそれまでの5兆円から20兆円に引き上げました。実は2024年の1月19日に、それ以前の2兆円から5兆円に引き上げたばかりで、それから半年で20兆円に引き上げたのですから、人気の高さが伺われます。

なぜ、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は信託金の上限を20兆円にまで引き上げることができるのかというと、それだけの資金を吸収できる資産に投資しているからです。何しろ全世界の株式市場を投資対象にしている投資信託ですから、運用資産の規模が20兆円になったとしても、十分に運用できると考えているのでしょう。

対して、日本の中小型株式を中心に組み入れて運用するファンドになると、20兆円もの資金が集まったら、ほとんど運用できなくなります。なぜなら中小型株は時価総額自体が小さいことに加え、株式市場での売買も総じて少ないからです。

中小型株ファンドの適正規模は300億円

仮に、日本の中小型株式を投資対象とするファンドの純資産総額が1000億円になったとしましょう。そのうち3%をある銘柄に投資したとすると、投資する金額は30億円になります。

時価総額で言うと、中型株は1000億円以上2000億円未満、小型株は1000億円未満とされていますが、小型株のうち大半は時価総額が500億円以下と言われています。

仮に時価総額が500億円しかないような銘柄に30億円もの買いが入ったら、その時点で株価が急騰してしまいますし、逆にポートフォリオから外すとしたら、株価が急落してしまいます。

また、買うにしても売るにしても、それを吸収するに十分な売りや買いが無かったら、売買そのものが成立しません。結果、ファンドの売り買いで株価が乱高下してしまい、それが運用成績にとってマイナスになる恐れが生じてしまうのです。

このように、市場規模や流動性の小さいマーケットを投資対象にしたファンドで純資産総額の規模が大きくなると、それが運用するうえでの足かせになってしまう恐れがあります。ちなみにかつて中小型株式のファンドを運用している担当者5人に、その適正規模を聞いたところ、5人とも300億円前後と答えました。

日本で数兆円規模のアクティブファンドは運用できるか?

もちろん、純資産総額が10億円前後の小規模ファンドは論外で、この手の小規模ファンドはさっさと償還させるべきだと思うのですが、ともかく大事なのは投資先である市場の規模感に合った純資産総額のファンドを選ぶことです。

特にアクティブ型ファンドはこの点が重要で、余りたくさんの資金が集まり過ぎて組入銘柄を増やさざるを得なくなると、今度は運用成績がインデックスファンドとあまり変わらなくなるケースもあります。

米国の株式市場のように、その時価総額が世界の株式市場の50%を占めるような巨大マーケットであれば、恐らくアクティブファンドでもかなりの資金を吸収できると思います。

ちなみに米国で最大級のアクティブファンドである「ザ・グロース・ファンド・オブ・アメリカ」の純資産規模は、日本円にして41兆円ですが、米国株式市場の時価総額は約7700兆円ですから、41兆円のアクティブファンドでも十分に運用できるはずです。

これに対して、日本の株式市場の時価総額は931兆円です。割合で考えれば、日本でも4兆円規模のアクティブファンドは運用できそうな気もするのですが、日本企業の時価総額は、米国企業のそれに比べてかなり小粒です。その点を考慮すると、日本株を対象にした数兆円規模のアクティブファンドを運用するのは、かなり難しいと言わざるを得ないのかも知れません。

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(鈴木雅光)

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