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コストが割高になりやすい「ペアローン団信」、メリットはある? 契約前にチェックしたいポイント

MONEYPLUS / 2024年8月16日 7時30分

コストが割高になりやすい「ペアローン団信」、メリットはある? 契約前にチェックしたいポイント

コストが割高になりやすい「ペアローン団信」、メリットはある? 契約前にチェックしたいポイント

リクルート「2023年首都圏新築マンション契約者動向調査」では、「世帯主と配偶者のペアローン」の割合は34%で、「2018年以降で最も高くなった」となっており、ペアローンを利用する方が増えていることが分かります。くわえて住宅ローンを検討する際、団体信用生命保険(以下、団信)に注目する方も増えています。そのような中、新たにペアローンでパートナーの万が一に一緒に備えることができる、いわゆる「ペアローン団信」が登場しました。


ペアローン団信の基本

ペアローン団信とは、ペアローンを利用する場合に限り利用できる団信です。一般的な団信であればローン契約者が被保険者となり、保険金額は契約者本人の借入金額となりますが、ペアローン団信ではご自身とペアとなる方の借入金額の合計額をそれぞれの保険金額として、被保険者となります。これにより、ご自身(ペアローン団信契約者)に万が一があった際、ご自身の住宅ローンのみならず、残されたパートナーの住宅ローンも完済されます。

ペアローン団信にはメリット・デメリットがあります。それぞれ見ていきましょう。

ペアローン団信の3つのメリット

1. 万が一の時には住宅ローンが完済される安心感

ペアローン団信はパートナーが加入していれば、パートナーが万が一の時、自分の住宅ローンも完済されます。保障の対象となる「万が一」は契約内容によって異なりますが、基本となるのは死亡時と高度障害時です。共働き家庭は家計の支え手が2人いるとはいえ、一方の支え手を失う損失は大きいです。万が一の時に住宅ローンが完済される安心感は大きいでしょう。

2. パートナーの万が一に一緒に手厚く備えることができる

ペアローン団信を提供する金融機関は少ないですが、各社基本の保障(死亡・高度障害保障)に加え、がんやその他の疾病の保障など、保障を上乗せできるメニューを用意しています。上乗せにあたっては、例えば年齢が50歳以下など一定の条件はあるものの、手厚い保障を夫婦で一緒に準備することができます。

3. 着実に万が一に備えることができる

ペアローンでは、パートナーが万が一の時にも残された方のローン残高は残るため、万が一のとき家計は厳しい状況に陥るケースもあります。しかし万が一の対策が必要、と認識している方は少なく、対策をしようにも住宅ローン取得時はさまざまな契約ごとのタスクがある中、手が回らずそのままになってしまう、というケースは見受けられます。ペアローン団信を活用することにより、このような事態を避け、スムーズに対策を取ることができるでしょう。

ペアローン団信の3つのデメリット

1. コストが割高となる可能性

ペアローン団信は、各社内容は違うものの、共通して金利の上乗せが必要となります。上乗せする金利は年0.2%~0.4%です。金利上乗せをすると、以下のとおり、総返済額は大きくなります。

著者作成。フラット35ローンシミュレーションで試算

もう少し踏み込んでご説明すると、夫婦でペアローンを利用してあわせて6,000万円借り入れる場合、ペアローン団信を使わない場合の金利が年0.6%なら、総返済額は6,653万円(全期間固定金利、元利均等返済の場合)で毎月の返済額は158,417円です。一方、ペアローン団信に加入し、年金利が0.2%上乗せになると金利は年0.8%となりますから、総返済額は6,881万円で毎月の返済額は163,836 円となります。その結果、夫婦合わせた総返済額は約228万円、毎月返済額は5,419円増加します。

パートナー急逝時の住宅ローン返済の保障を用意したいという本来の目的に照らし合わせるなら、生命保険に加入する方法もあります。例えば万が一の時に年金形式で給付を受け取れる収入保障保険なら、残されたパートナーの住宅ローンの毎月返済額の分、加入することも可能でしょう。加入時の年齢や性別等に応じて保険料は異なるものの、以下のとおり月2,000円台から加入できるものもあります。

保険に別途加入する形なら途中で解約することも可能です。状況に応じて保障の見直しもしやすいでしょう。

なお、夫婦で協力して住宅ローンを組む方法として、収入合算して連帯債務で組む、という方法があります。この場合、一定の加入条件はあるものの「夫婦連生団信」に加入することにより、パートナー万が一の際住宅ローン残高をお互いにゼロとすることが可能です。取り扱いのある金融機関は限られますが、年0.1%~0.18%など、一般的に年0.2%未満の金利上乗せで利用できます。

2. 選択肢が少ない

ペアローン団信を取り扱っている金融機関は少ないです。筆者が調べたところ、取り扱いを現在確認できたのは以下の金融機関のみでした。比較検討はしづらいでしょう。

  • Paypay銀行・みずほ銀行
  • (10月以降)りそな銀行・埼玉りそな銀行

3. 万が一のあと、納税が必要となる可能性

パートナーが万が一のとき、ご自身の住宅ローンが完済されるのは心強いですが、住宅ローンが返済されたことにより経済的な利益を得たとして、所得税(一時所得)の対象となることには注意しましょう。税金額はそれぞれの所得状況や住宅ローン残高によって異なりますが、納税が必要となる場合には、手元にお金を受け取っていないのに、手持ち資金から納税しなければいけない事態となることが予想されます。

契約前にチェックしよう

ペアローン団信はメリットもありますがデメリットもあります。契約前にはぜひ、以下のポイントについて確認しながら、ペアローン団信がご自身にとってよい選択となるのか考えてみてください。

1. 生命保険の加入状況

もしすでに生命保険に加入し手厚い死亡保障を持っているなら、新たにペアローンを契約するメリットは小さいかもしれません。受け取る死亡保険金によって住宅ローン返済の原資を確保できることが期待されるためです。なお、受け取った死亡保険金で住宅ローンを完済する場合は、一時所得の対象とはなりません。

すでに加入している生命保険では保障が不足する場合、前述のとおり万が一の住宅ローン完済が目的なら生命保険に加入し、死亡保障を上乗せするという選択肢もあります。必要な分上乗せすれば、家計からの新たな支出を避けることができるでしょう。

2. 望まない資金流出になっていないか

ペアローン団信に加入する場合、夫婦ともに金利の上乗せが必要になり、着実に団信のコストを家計に織り込んでいくことになります。住宅取得後長期の家計の負担感を確認しておくことが大切です。保険は「不幸の宝くじ」とも言われますが、「万が一」がなかった場合は、金利支払いの分、家計に残せるお金は着実に減っていることでしょう。

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(内田英子)

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