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資産価値がほとんどないからこその問題も。「負動産」の相続手続きって、なにが大変?

MONEYPLUS / 2024年8月18日 7時30分

資産価値がほとんどないからこその問題も。「負動産」の相続手続きって、なにが大変?

資産価値がほとんどないからこその問題も。「負動産」の相続手続きって、なにが大変?

2024年4月から始まった相続登記義務化により、故人名義の不動産は、存命の相続人の名義に変更しないと、罰則が科せられようになりました。

特に不動産の登記(所有者の登録)は、義務ではなかったこともあり、何代も前の先祖の名義のままになっているケースも珍しくなく、相続手続きの重要性と大変さが再認識されています。

ところで、相続にまつわる問題といえば、「財産をどうやって分けるか」という財産分与、遺産分割の問題、「多額の税金を納めなければならない?」という相続税の問題などは、メディア等でもよく取り上げられ、イメージも湧きやすいものだと思います。一方、相続手続きそのものについては、「なんとなく大変そう、面倒くさそう」といった漠然とした印象はあっても、それがどれほど大変かは、あまり具体的に触れる機会がないと思います。

そこで、今回は不動産——その中でも、住宅や賃貸アパート、市街地の宅地といった資産価値のある不動産ではなく、山林や農地、長らく放置状態の空き家といった、資産価値がほぼなく、売却も困難と思われる”負動産”の相続手続きに注目して、どんな大変なことがあるのかを見ていきたいと思います。


相続手続きの概要

不動産の相続手続きは、おおまかにいって

1. 遺言の有無の確認
2. 相続人の確定
3. 相続財産の把握
4. 遺産の分け方の話し合い
5. 相続登記の申請
6. (必要に応じ)相続税の申告・納付

という流れを取ることが一般的です。

ここで、負動産の相続手続きの場合に大変になりやすいポイントが、

2. 相続人の確定
4. 遺産の分け方の話し合い

の2点です。

これは、資産価値のある不動産ではなかなか起こらない、非常に特殊な問題です。それでは、これらにはどのような特殊な問題がはらんでいるのでしょうか。

相続人の確定


多くの場合、相続人といえば、故人の配偶者と子供が対象となり、家族構成によっては故人の親や兄弟、稀に冠婚葬祭で時々会うような親戚が対象になるケースもある程度です。

資産価値の高さから興味関心が保たれやすい一般的な不動産であれば、相続人同士で不動産の取り合い状態になって揉める場合を除いて、誰が相続するかの協議が速やかに進み、手続きが放置されることなく相続登記へと進んでいきます。これが代々繰り返されるため、所有者が亡くなっても、常に新たな相続人を確定し、随時相続登記を進められます。

一方、負動産の場合、資産価値の低さからくる興味関心の低さ、手続きの優先度が後回しになりがちであることが作用して、例えば「祖父母の代から相続登記をしないで今に至っている」ケースが珍しくありません。中には、曾祖父母(ひいおじいちゃん・おばあちゃん)の代や、さらにその前の代の名義で手続きが止まっているケースもあるほどです。
  
この場合、相続人の確定をするのは大変です。そもそも、相続人の確定をするには、故人が生まれた時の戸籍~死亡するまでの戸籍をすべて確認し、法律上相続人になる人をすべて洗い出す必要があります。

そのため、例えばAさんが「祖父名義の山林の相続登記をしよう」と思い立っても、そのための相続人の確定には、祖父の出生~死亡までの戸籍を見て相続人を把握して(多くの場合は配偶者(Aさんの祖母)と子(Aさんの親やおじ・おば))、その相続人で亡くなっている人がいれば、さらにその相続人(Aさんのいとこなど)まで特定しなければならないのです。

年齢にもよりますが、昔は多くの子供や兄弟がいる方もいますし、さまざまな社会背景からくる養子縁組、再婚等により、家族や親戚からも聞いたことのない相続人が見つかる場合もあるのです。

遺産の分け方の話し合い

資産価値のある一般的な不動産であれば、比較的建設的な話し合いを通して相続人が決まるか、相続人同士で”奪い合い”になるケースもあるかもしれません。

一方、資産価値のない負動産の場合、この先の固定資産税等の負担や所有者リスク等を負う点で、欲しい人がほぼいない「負債」ともいえるため、多くの場合は”押し付け合い”になります。そのため、同じ不動産でも、資産価値の有無によってその分け方の話し合いは対極的な展開になります。

なお、相続手続きにおいては、資産価値のある不動産は相続し、資産価値のない不動産は相続放棄するといった都合のいい取捨選択はできず、すべて相続するか、すべて相続しないかの二択となります。

そのため、多くの場合は「負動産を相続せざる得ないが、かといってその活用策や処分方法もアテがない」という現実に直面し、誰も相続したがらず、話し合いが難航してしまうのです。

ただし、2023年からは相続土地国庫帰属制度(国が有料で不要な土地を引き取ってくれる制度)や、不要な土地を有料で引き取ってくれるサービスを展開している民間の不動産会社も徐々に増えてきており、以前に比べれば、処分策の選択肢が増えています。押し付け合いで話が頓挫してしまいそうな人にとっては、希望の光といえるかもしれません。

手続き準備はお早めに!

今は「終活」という言葉もメジャーになり、昔ほど“相続準備=不謹慎”といったイメージも薄らいできています。自分自身の相続はもちろん、家族の相続に備えた準備や話し合いは、早めのうちに着手しておきましょう。

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(小林弘典)

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