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新NISAで積立投資を始めた方へ 日経平均大暴落から改めて考えるやってはいけない投資行動

MONEYPLUS / 2024年8月21日 7時30分

新NISAで積立投資を始めた方へ 日経平均大暴落から改めて考えるやってはいけない投資行動

新NISAで積立投資を始めた方へ 日経平均大暴落から改めて考えるやってはいけない投資行動

新NISA開始を機に積立投資を始めた人にとって、2024年8月に初めての試練が訪れました。8月2日・5日と日経平均株価が大暴落し、2日間で6668円も下落してしまいました。わずか2日間で2024年の値上がり分が一気になくなった計算です。

米国株も米国景気が後退する可能性が懸念されて株価下落、加えて、為替が約10円円高となりました。「オルカン」の愛称で有名な「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」などの全世界株式インデックスファンドや「S&P500」「NASDAQ100」など米国株価指数に連動するインデックスファンドに投資する人も、大きな資産下落になったことでしょう。
筆者も「オルカン」や「NASDAQ100」に積立投資しているので、含み益が消し飛びました。

こうした激しい下落に驚き、慌てて売却してしまった人もいるかもしれません。QUICK資産運用研究所によれば、8月7日時点で、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は推計で226億円の資金流出(=売却)、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は78億円の資金流出があったようです。

はたして売却したほうがよかったのでしょうか。大暴落を経験した今こそ見直したいことや今後の投資行動に活かしたいことを一緒に考えていきます。


新NISAを始めた多くの人の含み益が一気になくなった「8月の暴落」

2024年7月までの株式市場は絶好調でした。日経平均株価は34年ぶりに史上最高値を更新し一時4万円を突破。NYダウ・S&P500といった米国株価指数も史上最高値を更新。

そんな好調な相場から一転、8月に日経平均株価は暴落しました。

<日経平均株価の推移(2024年1月〜2024年8月16日)>

(株)Money&You作成

8月1日終値が3万8126円。2日・5日に大暴落し、5日の終値は3万1458円で、わずか2日間で6668円も下落してしまいました。2023年末終値は3万3464円だったので、2日間で新NISAスタート以来の値上がり分が一気になくなり、マイナスに転じてしまった計算です。

日経平均株価が大暴落した原因は、米国景気の先行き不安から米国株価下落、7月末に日銀の追加利上げ発表によりドル安円高が加速したことなどから、投資家心理が一気に冷え込んだためです。

S&P500は、7月末時点で5522ポイントでしたが、8月5日の安値で5119ポイントと400ポイント以上も下落しました。ドル円の為替レートも1ドル=152円台から一時1ドル=141円台と、急激に円高が進みました。

実際、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の基準価額を見ると、7月31日の2万9851円から8月6日の2万7091円まで、ほぼ一直線に2700円以上も下落しています。

新NISAを機に投資を始めた人の多くが、大きな資産下落を初経験したことでしょう。

暴落時にやってはいけないこと①NISAの資産を売却する

暴落時にNISAの資産を売却することは、やめたほうがいいでしょう。

その理由は、いつまでも下がり続ける市場はないからです。

暴落に動揺して売却してしまうと、その時点で利益(または損失)が確定し、その後の資産回復・上昇の恩恵を一切受けられなくなります。

<S&P500の推移(1980年1月〜2024年7月)>

(株)Money&You作成

たとえばS&P500の推移を見ると、途中ブラックマンデー、リーマンショック、コロナショック、ロシアのウクライナ侵攻といった出来事を受けて下落していることがわかります。市場に暴落はつきもので、およそ数年に1度のタイミングで発生しています。

しかし、暴落してそのまま下がり続けたのかといえば、そんなことはありません。以下は、暴落時の株価の下落率と回復までの期間を筆者が計算してまとめたものです。

<暴落から回復するまでの期間の目安(S&P500)>

(株)Money&You作成

暴落が起きても数ヶ月から数年で回復し、以後はそれ以前の水準を超えて値上がりしています。暴落が起きてから、慌てて売ることはやめたほうがいいでしょう。

実際、日経平均株価の暴落も、5日には底をうち、8月16日の終値は3万8062円と大幅に株価が回復しています。とはいえ、乱高下はまだ続いているので安心はできません。

今後の株式市場の動向ですが、新たな暴落が途中で起こるにしろ、10年・20年・30年と長いスパンで考えれば、今よりも上昇していく可能性が高いと考えられます。

世界経済は、人口増大に伴い確実に成長していきます。当然、企業収益も上昇し、今よりも、もっと株価水準は高いだろうと予想ができるからです。

2024年の世界人口は80億を超えています。国連「世界人口推計(2022年)」によると、2058年に100億人を突破すると推計されています。人口が増えれば、消費が増え、その消費を支えるために生産も増え、経済は拡大していきます。

NISAの資産を売却したところで、今そのお金は必要ないはずです。10年後・20年後・30年後に必要な金額を貯めるために資産形成をしているという目的に立ち返って、コツコツと続けていきましょう。

暴落時にやってはいけないこと②NISAの積立投資をやめる

株式市場が将来的に値上がりする可能性が高いならば、「積立投資を継続した方が良い」ということもわかります。

また、積立投資は暴落をチャンスに変えることができる投資方法です。一括投資の場合、暴落が起きたら市場の回復をただ待つことしかできません。精神的にも厳しいでしょう。その負担を和らげてくれるのが積立投資です。

積立投資をすると、「ドルコスト平均法」の効果を味方につけることができます。ドルコスト平均法とは、定期的に定額購入する方法です。金融商品の価格は長期的に右肩上がりでも、短期的には上下に変動しながら推移します。よって、金融商品の価格が安いときにはたくさん購入し、価格が高いときには少しだけ購入することになります。これにより、自然と平均購入単価が下がり、価格が上昇したときに利益を得やすくできます。

たとえば、100年に1度の大暴落といわれた「リーマンショック」が起こった2008年9月から2024年7月まで、毎月1万円ずつ、S&P500と連動する投資信託に積立投資した場合の資産推移を見てみましょう。

<2008年9月から2024年7月まで毎月1万円S&P500に投資した場合の資産推移>

(株)Money&You作成

積立元本191万円に対して、資産総額は約829万円と4倍以上に増えています。

概ね右肩上がりで資産額は増えていますが、一直線というわけではありません。2020年2月のコロナショックや2022年2月のロシアのウクライナ侵攻のときには、資産下落が起きています。しかし、それを気にせずに、淡々と積立投資を続けることで「ドルコスト平均法」の効果が得られ、着実に資産を築けていることがわかります。

下落相場や暴落の期間を含めて、元本割れせずに資産を増やしていくには「15年」以上継続して投資を続けたほうがいいという分析結果もあります。

投資に関する世界的名著である『ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第13版>』(バートン・マルキール著)によれば、1950年から2020年のデータにおいて、15年以上継続して投資を続けることで、元本割れがゼロであったと分析されています。

また、金融庁発行の「つみたてNISA早わかりガイドブック」および「NISA早わかりガイドブック」でも、1985年以降の期間で積立・分散投資を20年続けていれば、元本割れしていないという分析結果が公表されています。

これらはあくまでも過去の実績で、将来の投資成果を予測・保証するものではありませんが、積立・分散投資を「15年」「20年」以上続けることで、元本割れリスクを減らしながら堅実にお金を増やせる可能性は高いといえるでしょう。

次の暴落に備えてやっておくべきこと①無リスク資産とリスク資産の割合を確認

暴落が来ても投資・運用を継続するためには、「売りたくなる状況を無くす」のがベストです。

日々生活するためのお金、ケガや病気で働けない時のお金、数年以内に訪れるようなライフイベントのお金については、NISAではなく、「元本割れしにくい&少しでもお金を増やせる」金融商品が適しています。現預金や個人向け国債などの無リスク資産が候補です。

自分のポートフォリオの中で、無リスク資産(現預金・個人向け国債)とリスク資産(株式・投資信託など)の割合を確認し、無リスク資産を十分に確保するようにしましょう。

リスク許容度(いくらまで損に耐えられるかの度合い)は人によって異なるので、参考情報になりますが、無リスク資産とリスク資産の割合は、「自分の年齢」と「120から自分の年齢を引いた数字」を対応させるのがひとつの目安です。

例えば、自分の年齢が40歳であれば、無リスク資産:リスク資産の割合は40:80くらいの割合で持っておくということです。
資産が840万円ならば、無リスク資産は840万円×40/120=280万円、リスク資産は840万円×80/120=560万円という具合です。

なお、一般的な「120-年齢」の法則は、算出される数字が株式の比率とするものです。40歳ならば、80%を株式に配分し、20%を債券など株式よりもリスクの低い資産に配分します。預貯金などの無リスク資産はこの法則とは別で考えるというもので、正直使いづらいです。無リスク資産とリスク資産の割合目安は、筆者が使いやすくアレンジを加えたものです。

ただし、総資産が少ない場合は、この法則を使わないほうが良いです。例えば、総資産が120万円などと少ない場合、無リスク資産40万円、リスク資産80万円でも良いということになります。無リスク資産40万円では、ケガや病気で働けないなどのもしもの場合に心配な金額です。数年以内に訪れるようなライフイベントのお金を用意する必要であれば、無リスク資産の金額はもっと必要です。

預貯金などの無リスク資産は、最低でも生活費6ヶ月から1年分、金額目安としては150〜300万円は持っておきましょう。

暴落で精神的なダメージを負った人は、無リスク資産とリスク資産の割合を確認しましょう。毎月の積立金額がリスク資産に回りすぎているならば、無リスク資産に回す金額を増やすことをおすすめします。

次の暴落に備えてやっておくべきこと②リスク許容度に合わせて投資資産を見直す

リスク許容度に見合わない、リスク(値動き)の大きな投資をしていると、暴落局面では値下がり幅も大きくなります。

今回の暴落による資産下落が、精神的にキツかったということであれば、投資資産を見直しても良いかもしれません。今後もっと大きな暴落が起こった時に耐えられないのではと思います。

新NISAで人気のある投資先「オルカン」をはじめとする全世界株型インデックスファンドや「S&P500」をはじめとする米国株型インデックスファンドは、いずれも100%株に投資する投資信託ですのでリスクが大きい商品です。

リスクを抑えるならば、
・債券に投資する投資信託
・REIT(リート・不動産投資信託)に投資する投資信託
・債券やREITなど複数資産に投資するバランス型投資信託
などに入れ替えることで、リスクを軽減する期待ができます。

「オルカン」の愛称で親しまれる全世界株式インデックスファンド「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の5年リターン(年率)は18.94%ですが、5年リスク(年率)は20.00%です。S&P500に連動するインデックスファンド「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の5年リターン(年率)は22.63%、5年リスク(年率)は20.86%です。

国内外の株と債券の4資産に均等投資しているバランスファンド「ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)」の5年リターン(年率)は9.35%、5年リスク(年率)は10.40%となっています。数字はいずれも2024年8月9日時点です。

4資産バランスファンドのリターンは、全世界株型や米国株型のインデックスファンドと比べて半分になっていますが、リスクも半分に抑えられていることがわかります。ここでいう「リスク」は「リターンの標準偏差(変動幅)」です。

高配当株ファンドや連続増配株ファンドに入れ替えるのも一つの手です。暴落中や下落相場でも、高配当株や連続増配株は安定的に配当を出す傾向があるので、値下がり局面になると投資家からの需要が大きくなります。相場全体の下落に強く、また下落から一足早く抜け出す傾向にあります。暴落中や下落相場でも、定期的に分配金をもらうことができれば、回復を待ちやすいですよね。

本稿が皆様の投資行動のご参考になれば幸いです。

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(頼藤太希)

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