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「独身に保険は不要」は真に受けていい?

MONEYPLUS / 2024年8月28日 11時30分

「独身に保険は不要」は真に受けていい?

「独身に保険は不要」は真に受けていい?

「おひとりさまに保険は不要」といった意見もありますが、独身だからこそ備えておきたいリスクがあります。いざという時に困らないように、どんなリスクに、どのように備えるべきかを解説します。


独身に死亡保障は不要

筆者のところに家計相談に来られた40代の独身女性お2人。それぞれのライフプランを作成している際に、1人は3つの終身保険に1人は2つの定期死亡保険に入っていることがわかりました。

ケース1: Aさん 年間払込保険料総額 45万2,000円
終身保険1: 保険料年額 12万7,000円 死亡保障 400万円
終身保険2: 保険料年額 11万5,000円 死亡保障 350万円
終身保険3: 保険料年額 21万円    死亡保障 750万円
ケース 2: Bさん 年間払込保険料総額 14万1,000円
定期保険 1: 保険料年額 10万8,000円 死亡保障 252万円
定期保険 2: 保険料年額 3万3,000円  死亡保障 1,600万円

2人とも、毎月保険料を払っているものの、保険証券の中身をしっかり確認したことはないとのことでした。一見すると、払い込む保険料に対して、大きな保障が得られるように感じるかもしれません。けれども、まず考えるべきは、その大きな保障自体が必要かどうかです。ご自身が亡くなった時に経済的に困るご家族がいない限りは、死亡保障は必要ありません。

独身の方に必要なのは、亡くなった時にかかる費用です。亡くなった時にかかる費用としては、主に葬儀費用や死後の整理費用が挙げられます。鎌倉新書の「第6回お葬式に関する全国調査」によると、葬儀にかかる平均総額は118万5,000円となっています。葬儀費用や死後の整理費用として300万円程度を準備できていると安心ですが、保険ではなく貯蓄でも備えが可能な額といえます。

上記のお2人は本来必要性が低い複数の保険に、毎月多くの保険料を支払い続けていたことになります。

では、独身の方にとって必要性の高い保険とは、どんな保険なのでしょうか。

必要なのは自分自身のリスクへの備え

独身の場合、何かあった時にすべてを自分で対処しなくてはなりません。そのため、必要なのは、誰かにお金を残すための保険ではなく、自分自身のリスクに備えるための保険です。そして、リスクには優先順位をつける必要があります。起こりうるリスクと、どのような備えで対応できるのかを知ることで、ご自身にとっての優先順位が見えてきます。

そもそも保険は、公的な保障や貯蓄でカバーできないリスクに備えるためのものです。そして、働き方によって受けられる公的保障は異なります。貯蓄の多寡によっても保険の必要性は変わります。

ご自身の受けられる公的保障や貯蓄を確認した上で、さらに保険で備える必要があるかを考えましょう。

働けなくなることが一番のリスク

一番困るのは働けなくなることです。病気やケガで長期間仕事を休むことになると、収入が途絶えてしまいます。経済的に頼れるご家族がいない場合は、生活費を自分で工面しなくてはなりません。その際の生活保障を考えておくことが最重要です。

働けなくなった時の公的保障

公的医療保険には、会社員や公務員などとその扶養家族が加入する健康保険と、フリーランスや自営業者が加入する国民健康保険があります。

病気やケガで働けなくなった場合に、健康保険に加入している方は「傷病手当金」を受け取ることができます。連続して3日間連続して欠勤すると、4日目以降、標準報酬月額の3分の2が通算して1年6カ月支給されます。賞与を除く毎月のお給料の3分の2程度とイメージしていただければ分かりやすいかと思います。ただし、それ以上の休養が必要な場合には介護認定等されない場合、手当はなくなってしまいますので、どのように補填するかを元気なうちに考えておく必要があります。

またフリーランスや自営業者が加入する国民健康保険には「傷病手当金」の制度自体がありません。そのため会社員や公務員よりも、生活保障の必要性があること押さえておいてくださいね。

公的保障でカバーできない部分に備えるなら

公的保障でカバーできないリスクに備えるなら、「就業不能保険」や「所得補償保険」に入ることも選択肢の一つです。どちらも病気やケガなどで一定期間働けなくなったとき、毎月給付金を受け取ることができる保険です。

就業不能保険は、保険期間が60歳までや65歳までと長期間です。保険料は所得補償保険より少し高くなりますが、就業不能状態が続く限り、保険期間の間ずっと保険金を受け取ることができます。給付金の月額は、10万円から50万円までが一般的ですが、申し込み時の収入によって上限が設定されます。注意点としては、30日・60日・180日といった支払対象外期間が設定されているため、働けなくなったときにすぐに給付金を受け取ることができません。

所得補償保険の保険期間は主に1年、最大で2年と短い期間になっています。保険金額には上限があり、加入直前の1年間の収入を平均した金額の50%から70%程度です。支払対象外期間は7日など短く設定されているため、保険金がすぐに支払われます。

働けなくなった時の備えをどれくらいの期間準備したいか、働けなくなった時にどれくらい早く給付を受け始めたいかが保険を選ぶ目安となります。保険金がすぐに支払われるという点で、傷病手当金のない国民健康保険加入者には所得補償保険が、会社員や公務員で傷病手当金は受け取れるものの、それだけでは不安な方には就業不能保険が向いているといえます。

病気やケガは高額療養費があれば大丈夫?

一人暮らしの場合、もし突然病気やケガをしたらどうしよう?手術や入院をすることになったら?と健康面で不安を感じることがあるかもしれません。治療費や入院費も独身の方が考えておきたいリスクです。病院への交通費、入院に必要なものを揃える費用、入院中の収入減への対応なども自分で備えなくてはなりません。

病気やケガになった時の公的保障

公的医療保険では、病気やケガで医療機関にかかった場合、病院や薬局の窓口で支払う医療費の自己負担は原則3割です。

また、公的医療保険には「高額療養費制度」があるため、同一月にかかった医療費について、自己負担限度額を超えた部分が払い戻されます。そのため、自己負担額は一般的に一カ月4万円〜9万円程度に抑えられます(※ただし、所得により自己負担限度額は異なります)。

ただし、「高額療養費」に含まれるのは、保険適用の医療費のみです。たとえば、先進医療による治療の費用、個室などに入院した場合の差額ベッド代、入院中の食事代や日用品代などは健康保険適用外になります。

公的保障でカバーできない部分を補うなら

入院をすることになったら、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。生命保険文化センターの「4年度 生活保障に関する調査」によると、入院時の自己負担費用の平均は19万8,000円、10~20万円未満が33.7%と最も多くなっています。

また、入院時の自己負担費用の1日あたりの平均は2万700円、1万円~1万5,000円未満が23.3%で最も多くなっています。

入院中の自己負担分をカバーできる貯蓄がない場合、最低限の医療保険に入っておくことが有効な選択肢です。医療保険は、入院した日数に応じて、契約時に決めた日額給付金を受け取れるものが一般的です。上記のデータから、入院給付金日額1万円~2万円を目安に設定してみましょう。

また、特に年齢に比例して罹患率の増えるがんへの備えを手厚くしたい場合は、医療保険にがん特約をつけて備える、がん専用の保険で備えるといった方法が考えられます。

必要な保障の優先順位をつける

保険ですべてのリスクをカバーすることはできません。「絶対に備えるべきリスク」と「備えられると安心なリスク」に分け、必要な保障の優先順位を決めましょう。

冒頭でご紹介したお2人も、ご自身にとって備えるべきリスクについて見直し、必要な保障に優先順位をつけました。その結果、加入していた保険を解約し、新たに医療保険に入り直すことになりました。今まで支払っていた保険料との差額を貯蓄にまわせるようになり、Aさんは月々の貯蓄額を2万円、Bさんは9,000円アップすることができました。

独身の方がリスクに備えるためには、必要な保障に優先順位をつけること、ご自身が受けられる公的保障や貯蓄を確認することからはじめましょう。

【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)

保険料を払いすぎていませんか? お金のプロがあなたにあった保険を診断 [by MoneyForward]

(阿部 瞳)

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