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分配金ランキングで投資信託を選んではダメ? 高い分配金を支払うファンドは優秀という誤解

MONEYPLUS / 2024年8月28日 7時30分

分配金ランキングで投資信託を選んではダメ? 高い分配金を支払うファンドは優秀という誤解

分配金ランキングで投資信託を選んではダメ? 高い分配金を支払うファンドは優秀という誤解

高額分配を出している投資信託を見ると、「きっと優れた運用をしているのだろうな」と思われるかも知れません。でも、「分配金と(預貯金の)利息は違う」ことをまず理解しておきましょう。そうすれば「高い分配金を支払うファンドは優秀」といった誤解をせずに済みます。


定期預金の利息と投資信託の分配金との違い

何となく「利息的なもの」というイメージで考えてしまいがちなのが、投資信託の分配金です。

決算日が訪れる度に、前回の決算日からの期間中に発生した運用収益の一部を受け取れるのは、預貯金の利息に酷似しています。しかも、分配金額が預貯金の利息に比べてはるかに大きいファンドも少なくなく、少しでも高いリターンを求める個人としては、関心を持たない方が無理というものでしょう。

では、投資信託の分配金と、預貯金の利息では何が違うのでしょうか。整理してみましょう。

銀行は、預貯金を通じて集めたお金を、企業融資や個人向け住宅ローンなどとして貸し付け、その金利差の一部を、預貯金にお金を預けてくれた人に、利息として支払います。時々、貸倒れなども生じますが、それを織り込んだ融資金利で貸し付けているので、銀行預金は元本が保証されますし、利息も預入時に表示された通りに支払われます。

これに対して投資信託の分配金は、ファンドに組み入れられている株式や債券などから得られる運用収益、つまり有価証券の値上がり益に加え、株式から得られる配当金、債券から得られる利金が原資になります。

投資信託は決算日が年1回、ないし複数回設けられており、前回の決算日の翌営業日から今回の決算日までの運用収益が分配金の原資になるわけですが、分配金に回せる運用収益が1億円あったとしても、それを全額分配しなければならない、というルールはありません。次回以降、安定した分配支払を行うため、内部留保させることもできるのです。

この内部留保分を含め、前決算日の翌営業日から今決算日までの運用で得られた運用収益が、正確な意味での分配原資であり、今決算日にいくら分配するかについては、運用会社が好きなように決めることができます。

分配金の根拠は不透明

ここが実はブラックボックスで、何を根拠にしてこの分配金額になるのかが、受益者としても今ひとつよく分からないのが現実です。

たとえば、これは外国株式に投資する投資信託の決算日における分配原資の内訳ですが、

【2023年12月8日~2024年3月7日】
当期分配金:1200円(当期の収益:768円、当期の収益以外:431円)
【2024年3月8日~2024年6月7日】
当期分配金:950円(当期の収益:950円、当期の収益以外:-円)

とあります。

今期の分配金が950円で、前期の1200円に比べて減額されていますが、前期は768円の当期の収益に加え、当期の収益以外が431円も計上されています。ちなみに「当期の収益」は運用によって得られた収益であり、「当期の収益以外」は前述した内部留保に該当します。

上記の数字を眺めていると、なぜ今期は内部留保を使わず、前期は431円も取り崩したのか、という疑問が浮かんできます。

しかし、その理由は運用報告書にも記載されていません。なぜその分配金額になったのかについては、よく分からないままなのです。

つまり分配金は、なぜその額になったのかの根拠が、やや不透明なのです。上記の事例で言うと、「当期の収益」は文字通り、当期の運用期間中に得られた組入有価証券の値上がり益や配当金、利金をベースにしているのは分かりますが、「当期の収益以外」から回した分が、なぜその金額になったのかの明確な説明がなされていないからです。

分配金ランキングで投資信託を選んではダメ

分配金が、前決算日の翌営業日から今決算日までの運用で得られた運用収益と、内部留保によって構成されていることは、ご理解いただけたかと思います。

では、もし決算日までに運用収益がまったく得られていない場合は、どうなるでしょうか。

もちろん、分配をしないという手はあります。運用収益が得られていない、もしくは運用に失敗して、ポートフォリオの評価額が前決算日に比べて値下がりしているのであれば、「今期はポートフォリオに損失が生じたので分配金の支払いは見送らせていただきます」とするのが、妥当なところでしょう。

でも、そうしないケースもあります。なぜなら、前述した内部留保を活用すれば、運用収益が得られなかった期であったとしても、分配金を支払うことができるからです。

だとすると、分配金の額は運用成績の良し悪しと、必ずしも一致しないことになります。

時々、インターネットの投信情報サイトなどで、「投資信託の分配利回りランキング」といったものが掲載されていますが、この利回りの高低だけで購入する投資信託を選んでも、高いリターンで運用できるとは限りません。投資信託を選ぶに際して、分配金額の多寡は、優れた運用を行っているかどうかの判断基準にはならない、と考えておくべきでしょう。

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(鈴木雅光)

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