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人気ファンドでNISAを始めた方にこそ知ってほしい、株価の乱高下に動じないための備えとは

MONEYPLUS / 2024年8月27日 7時30分

人気ファンドでNISAを始めた方にこそ知ってほしい、株価の乱高下に動じないための備えとは

人気ファンドでNISAを始めた方にこそ知ってほしい、株価の乱高下に動じないための備えとは

令和のブラックマンデーとも呼ばれるように、8月の株価は大きく乱高下しました。株価の行方が心配で眠れぬ夜を過ごしたという方もいらっしゃるでしょう。しかし、長期運用に株価の変動はつきものですから、今後の心構えとして今回の出来事を学びに変えていきましょう。


株価の乱高下

2024年8月5日の日経平均は4451円安と、7月11日の最高値4万2224円から一気に25%も下落してしまいました。翌6日には3217円戻し1営業日の下落額・上昇額として過去最大を記録しました。さらには国会に日銀総裁が召喚され説明を求められるなど異常な事態となりました。

ネット上では様々な情報が飛び交いましたが、結局どうしてよいか分らずオロオロしてしまい何もできなかったという方も少なくありません。長期投資で言えば「何もしない」も正解の一つと言えるのでしょうけれど、やはりこの経験を学びに活かしたいものです。

先日「自分の保有する投資信託が過去どの位下がったのかを把握しておくといざと言うときに慌てずに済む」といった新聞記事を読みました。なるほどそれも一理あるのかなと思って記事を読み進めると、農林中金<パートナーズ>長期厳選投資「おおぶね」がランキング第1位だったとされていました。

このランキングは、主に海外株式に投資をするファンドでかつ新NISAのつみたて投資枠で購入できるものを選別し、その中で過去5年の最大下落率が小さいものを比較したそうです。

もちろんどんな投資信託の基準価格も株価が低迷すれば下落しないわけはありませんから、この「おおぶね」でさえ最大下落率は27.7%でした。もっとも下落が小さかったファンドでこのくらい落ちるのですから、今回のように株価が25%一気に落ちたくらいで心が折れていては、本当の意味で長期投資をする覚悟ができていなかったといえるのかも知れません。

ちなみに第2位は、セゾン資産形成の達人ファンドで最大下落率は29.7%、第3位はニッセイ・インデックス・パッケージと、eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)でどちらも最大下落率は30%でした。そして第5位はニッセイSDGsグローバルセレクトファンドの30.3%でした。

興味深いところとしては、過去5年間の最大下落率が最も小さいところが上位5商品の中ではもっともリターンも大きかったという点、しかし必ずしもその特徴がすべての商品に当てはまらないという点です。

詳しく申し上げると、農林中金の「おおぶね」の5年リターンは111.6%、セゾン資産形成の達人ファンドは96.7%、ニッセイ・インデックスパッケージは98.3%、eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)は100.9%、ニッセイSDGsグローバルセレクトファンドは105.3%とリターンについては結構ばらついている印象を受けました。

この5商品のみで考えると、「おおぶね」の過去5年の実績は下げ幅も小さくかつリターンが大きかったということがわかり、その他については下げ幅もリターンもあまり大きな差は生じなかったとも言えるのではないでしょうか?

「eMAXIS Slim 全世界株式(3資産均等型)」と「オルカン」で差が出た理由

ちなみにeMAXIS Slim 全世界株式(3資産均等型)は、ネットなどで話題となっているいわゆる「オール・カントリー(オルカン)」とは異なります。どちらもファンドの目的として、「日本を含む先進国および新興国の株式市場の値動きに連動する投資成果をめざします」としていますが、中身が違います。

まず、オール・カントリーの方は、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)をベンチマークとし、先進国23カ国、新興国24カ国に上場する株式に投資をしています。

組み入れされている国・地域を見るとアメリカが62.7%、日本が5.4%、イギリスが3.3%、以下カナダ、フランス、スイス、インドと続きます。組み入れ上位銘柄は、アップル、マイクロソフト、NVIDIA、Amazon、アルファベットと主にアメリカのおなじみの企業が並んでおり、組み入れ銘柄は全部で2,703銘柄です。(2024年7月31日現在の月次レポートより)

一方3地域均等型の方は、日本の株式についてはTOPIX、先進国株式についてはMSCIコクサイ・インデックス、新興国株式についてはMSCIエマージング・マーケット・インデックスをそれぞれベンチマークとし、1/3ずつ均等に投資をするファンドと説明されています。

組み入れされている国・地域を見ると、日本が33.4%、アメリカが24.3%、インドが6.4%、以下台湾、ケイマン諸島、韓国、中国と続きます。組み入れ上位銘柄は、台湾のセミコンダクターマニュファクチャリング(TSMC)がアップル、マイクロソフトを抑えて第1位、第4位がトヨタ自動車、そしてNDVIAと続き、組み入れ銘柄は全部で4,637銘柄です。やはり均等となっているので、アメリカの会社への投資比率がずいぶん少ないことが分ります。(2024年7月31日現在の月次レポートより)

信託報酬はいずれもコストを抑えたeMAXIS Slimシリーズなので0.05775%以内とされています。設定は3地域均等型が半年早い2018年4月です。設定来のファンドの騰落率を比較すると3地域均等型が101.2%(ベンチマークは109.2%)、オール・カントリーが150.3%(ベンチマークは149.2%)です。また直近1年を比較すると前者が21%で若干ベンチマークを下回り、後者が25.1%でこちらはベンチマークを上回っています。

純資産総額は、オール・カントリーが圧倒的に大きく38,374.63億で3地域均等型は169.68億円と前者の知名度の高さがよく分かる結果となっています。

今回ご紹介した過去の下げ幅でみると3地域均等型の方がオール・カントリーよりも優れていたと言えますが、恐らくそれは日本への投資比率が高く、アメリカへの投資比率が低かったことが寄与したのではないかと考えられます。

つまり、今後も世界中の株式に広く分散投資を行いたい方は、今まで通りのオール・カントリーで良いと思いますし、もしアメリカへの投資比率を下げて、日本と新興国の割合を上げたいという方は、3地域均等型を検討するということで良いのではないかと思います。

もちろんeMAXIS Slimシリーズのファンであれば、日本株式インデックス、新興国株式インデックスを追加することで投資対象の割合を調整することも可能です。

人気ファンドを買って終わりにしないことが大切

いずれにしても、盲目的に人気の投資信託を購入し続けるのではなく、折に触れ他ファンドとの違いを比較検証してみることは有効です。その中で改めて優位性を見いだすことができればご自身の選択にさらに自信が持てるようになり、多少の株価の変動にも動じる事無く長期投資が実現できるようになるでしょう。

今回ご紹介したランキングのデータはQUICK資産運用研究所の2024年7月末時点でのものなので、今回の下げについては含まれていません。さらに7月までの5年間については、株価は堅調であったといえるので、この度の株価の乱高下においてそれぞれのファンドがどう反応したかの評価をするのはまだ早いのかも知れません。

筆者個人的には、アクティブファンドの運用者たちが、緊急レポートを発信していたのが、とても勉強になりました。先ほどのランキング1位の「おおぶね」はファンドマネージャーの奥野氏と直接対話ができるメンバーズカンファレンスを適時開催されていますが、他にもつみたて投資枠の対象銘柄としては、セゾン投信、コモンズ投信、レオスキャピタルワークスなどがレポートを発信していました。

投資家としては、株価が大きく変動した際に、自分の大切なお金を託している運用者がどういう考えでいるのかをいち早く知る機会があることは、長期運用を継続するにあたり非常に重要なことでもあるように思います。

投資は詳しくないので、とりあえず人気ファンドでNISAを始めましたという声もよく聞きます。投資デビューはそれでも良いのかも知れませんが、ご自身の選択を迷い無く継続できるように、折に触れ様々な角度から学びを深めていただくことは重要かと考えます。

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(山中 伸枝)

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