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「日経平均6667円安」未曽有の大暴落…その背景と今後の懸念材料となる円高のリスクとは

MONEYPLUS / 2024年8月30日 7時30分

「日経平均6667円安」未曽有の大暴落…その背景と今後の懸念材料となる円高のリスクとは

「日経平均6667円安」未曽有の大暴落…その背景と今後の懸念材料となる円高のリスクとは

いよいよ8月相場も終わりですが、この8月は歴史に残る月となりました。5日には1987年10月のブラックマンデー翌日の下げを超える、史上最大の下げ幅を記録しました。その前営業日、2日の大幅安も含めれば2日間合計で日経平均は6667円安という未曽有の暴落劇を演じたのでした。


しかし、史上最大の下げとなった8月5日の翌日、6日には史上最大の上げ幅を記録。その後も順調に回復基調を辿って、日経平均は7月につけた高値から5日につけた安値までの下げ幅に対して、半値戻しを達成。その後もさらに上昇し、8月29日現在は3万8000円近辺でほぼ横ばいの推移が続いています。

【日経平均チャート】

出所:マネックス証券サイト

この値動きを見ると、2日、5日に記録した2日間合計で6667円安という下げをすべて取り戻したことがわかります。やはり、「2日間で6667円安」という下げは異常で、異常なことはすぐに修正されたのだと思います。

下げを加速させたのは投資家の心理か

この8月の暴落の背景を振り返ると、概ね以下のようなものであったと思われます。

今回の暴落は複合的な要因が絡み合って起きたものだといえますが、いちばん根本的なものは日銀のタカ派姿勢がサプライズとなり、為替を筆頭とする様々なキャリートレードの急な巻き戻しを誘発したことです。そこに米国の景気指標の悪化で景気後退懸念が強まったことが拍車をかけました。

下落基調が鮮明になったことで、トレンドフォロー戦略(トレンドに追随して先物を売買する戦略)をとるCTAなどマクロ系ヘッジファンドからの売りが急増しました。

さらに下落度合いが一定の水準を超えたため、機関投資家のロスカット、リスクパリティの調整売り、デリバティブ取引に絡む証券会社のヘッジ売り、信用取引で追加証拠金の差し入れを迫られた個人投資家によるロスカットの売り-など様々な売りが一斉に出てきました。

それらの売りは、リスク管理上のルールなどに基づく強制的な売りですが、下げを加速させたのは投資家の心理-恐怖や狼狽による売りが大きかったと思われます。そこには日銀の利上げも米国景気の後退懸念も、もはや関係ありません。ただ下げの大きさだけが取引の誘因です。下がるから売る、売るから下がるという悪循環になり、まさに「下げが下げを呼ぶ」展開となったのです。

したがって、「2日間合計で6667円安」という日経平均の暴落は、ファンダメンタルズから乖離した異常値であり、だからこそ、すでに修正され、その下げは取り戻されているのです。

今後のリスクは「円高による業績下方修正」

そもそも日本株は7月に高値をつけた時点で、PER(株価収益率)が過去平均に対して大きく上振れて割高感がありました。現在のPERは日経平均・TOPIXとも15倍台で過去平均並み、割高感は払しょくされています。こう考えると日本株は、フェアバリューに戻り、居心地のよい水準にあるといえるのではないでしょうか。

バリュエーション面で過去平均にあり、だからフェアバリューだと述べましたが、問題は今後の業績下方修正のリスクです。懸念材料はいうまでもなく円高です。

ただ、現行の140円台半ば程度までの円高であれば、下方修正のリスクは少ないでしょう。円高による業績下方修正のリスクというのには少々、誤解があります。たしかにここまで円高に戻れば、この先の「円安による業績上振れ期待」は消滅したとみてよいでしょう。

しかし、企業の想定為替レートは145円程度であり、実勢レートが想定レートに一致しただけです。また、昨年度の期中平均も145円であり、したがって145円を想定している現在の企業業績予想には、そもそも円安によるかさ上げは織り込まれていないのです。こうしたことから、現行の140円台半ば程度までの円高であれば、下方修正のリスクは少ないと考えます。では、次の問題は円高がここまでか、130円台まで、さらにその先まで進むのか、という問題ですが、筆者は現状近辺でいいところだと考えます。理由は以下の通りです。

1)急激な円高を招いた背景にあったキャリートレードですが、キャリーを積み上げた未曽有の投機は解消されています。CFTC(米商品先物取引委員会)がまとめた投機筋(非商業部門)の週次ポジション動向をみると、対ドルの円の売り越しは解消され、むしろ円買い越しに転じている状況です。つまり巻き戻るようなキャリートレードが積み上がっていないのです。

2)円高を予想する大きな理由となっているのが日米金利差縮小ですが、そのシナリオはほぼ市場に織り込まれていて、これからさらに相場を動かす材料になるか疑問です。また、金利差が向かうのは縮小ですが、水準という意味では絶対的に大きな金利差が残り続ける点も一本調子に円高が進まないと考える理由です。

3)為替レートを決定するのは金利差だけでなく、経常収支などのフローを考える必要もあります。日本がすでに貿易立国ではないことや日本の産業競争力の衰退など「構造変化」による円安要因は残り続けることになります。

以上のことからドル円相場は今後、現在の水準で落ち着きどころを探る展開だと考えられ、企業業績への影響は限定的になるとおもわれます。

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(広木 隆)

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