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相場暴落後の反転タイミングはわかる?「相場大底」の目安を知るための5つの指標

MONEYPLUS / 2024年9月4日 7時30分

相場暴落後の反転タイミングはわかる?「相場大底」の目安を知るための5つの指標

相場暴落後の反転タイミングはわかる?「相場大底」の目安を知るための5つの指標

2024年8月5日、株式相場を未曽有の暴落が襲いました。2024年から株式投資を始めた投資家からは、「株式投資は危ない」「もう投資は止める」といった声が相次いでいます。その後、相場は回復基調にありますが、この先、再び株式相場が大きく下がる可能性を指摘する見方が少なくありません。

相場の急落は転じて安い価格で株を買えるチャンスでもあります。とはいえ、あの暴落を目の当たりにしてしまうと、なかなか「急落はチャンス」と捉えづらいかもしれません。ただ、ある程度「大底の目安」となる水準を知っていれば、一歩を踏み出す勇気が生まれるのは間違いないでしょう。今回は、相場の暴落過程における「大底の目安」について考えていきましょう。


株式相場に「ショック安」はつきもの

8月5日と6日の2日間で、日本の株式相場は「史上最大の下落幅」と「史上最大の上昇幅」という歴史的な乱高下相場を記録しました。業界関係者や著名投資家からは、「こんな相場は見たことがない」という声が続出。ベテラン投資家も、固唾を飲んで見守るしかないといった雰囲気でした。植田和男日銀総裁による利上げがこの乱高下の発端になったとの見方が支配的であるため、市場では「植田ショック」と呼ばれています。

2000年以降の株式相場を振り返ると、ITバブル崩壊(2000年)、米同時多発テロ(2001年)、リーマンショック(2008年)、東日本大震災(2011年)、チャイナショック(2015年)、コロナショック(2020年)など、数々の「ショック安」が発生しています。ほかにも、バーナンキショックやアップルショック、ブレグジットショックなど、規模の小さいショック安を含めると10件前後に上るでしょう。

こう見ると、株式相場は2~5年程度の間隔でショック安に見舞われていることになります。植田ショックは史上最大の値幅を記録したため、当面は人々の記憶に深く刻まれるものになるでしょう。とはいえ、値幅の差こそあれ、ショック安自体は決して珍しいものではないのです。

2020年3月のコロナショックでは、まだ相場が下落している3月中旬頃から、逆張り(相場の流れとは反対の売買)で買い向かい、その結果、大きな利益を得る投資家が少なくありませんでした。正確な統計はありませんが、当時、筆者は個人投資家のブログやX(当時はツイッター)などを逐一チェックしていたため、逆張りで大勝ちした投資家の声を実際に目にしています。こうした投資家たちは、過去の相場急落の経験を生かして、やがて相場が反転に向かうことを予想し、買いに向かったのでしょう。

といっても、相場の一番安い点、いわゆる「大底」を正確に予想することは、相場の神様でもない限り不可能です。どんなベテラン投資家や百戦錬磨のプロたちでも、大底を正確に言い当てることはできません(逆に、「正確に言い当てられる」などという人がいれば、うさん臭いと思っていいでしょう)。彼らは、「相場が下がり続けることはなく、いつかは反転する」という前提のもと、「だいたいこのあたりが底になるだろう」、あるいは「大底にはならないかもしれないが、買い下がる(下落したら再び買うこと)つもりで打診買い(様子を見ながら小口で買いを入れること)する」といった考えで相場に臨んでいるはずです。

複数の指標を織り交ぜて大底のタイミングを計る!

では、ショック安相場における「大底」の目安になる指標はあるのでしょうか。ショック安といっても中身はさまざまで、その当時の経済状況や下落幅、下落期間などがバラバラなので、残念ながら「この指標だけを見ていれば底を見分けられる」という指標はありません。しかし、複数の指標をチェックすることで、「そろそろ相場が底打ちするかも」という“雰囲気”を感じ取ることは可能です。

以下に、いくつかそうした目安になりうる指標を紹介しておきましょう。

①日経平均株価全体のPER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)
②信用取引の評価損益率
③VIX指数
④移動平均線からの下方乖離率
⑤各種テクニカル指標(RSIやボリンジャーバンドなど)

①の「日経平均全体のPER・PBR」から見ていきましょう。PERは、株価を1株当たり利益で割って算出される、株式投資の基本といえる指標。基本的には個別銘柄について、同業他社や同じセクターの企業と比較した際に割安や割高を計るための指標ですが、相場全体や日経平均採用の225銘柄でも算出することが可能。PBRについても同様です。

PERは、日本企業の利益が増えればPERの水準は下がりますし、逆に利益が減れば水準は上がります。過去の「日経平均株価のPER」の推移を見ると、おおむね12倍台半ば~15倍台程度の範囲内。ただ、80年代後半のバブル時の日経平均PERは60倍程度、ITバブル時は70倍程度まで上昇しました。一方、リーマンショック直後は9倍台、コロナショック時は10.8倍台まで下がっています。このように、“瞬間風速”では上下に大きくブレる指標ではありますが、相場が落ち着けば、おおむね先ほどの12~15という水準に回帰する傾向があります。ちなみに、植田ショック時のPERは13倍台でした。

もう一つの「日経平均のPBR」は、リーマンショック時、コロナショック時とも、0.8倍台で下げ止まっています。今回の「植田ショック」では、日経平均のPBRは1.15倍から反騰しており、PBRの観点から考えると、日経平均は「まだ下値リスクがあった」と見ることができます。日経平均のPERとPBRでは、日経平均PERの11倍割れ、PBRの0.9倍割れあたりで、「そろそろ大底が近そう」と判断することができるでしょう。

②の「信用取引の評価損益率」とは、信用取引で株を売買している人の損益の割合のこと。基本的にはマイナス(損失を抱えている状態)状態の指標で、日本経済新聞社が毎週の第3営業日に公表しています。一般的には、この指標が「マイナス20%」を割り込むと底が近く、0%に近付くと天井が近いとされますが、リーマンショック時には最大でマイナス40%近くまで、コロナショック時にはマイナス30%超まで悪化しました。この点で、「ショック安」ではマイナス30%、あるいはここからさらに悪化した段階で、相場の転換点が近付いていると考えることができるでしょう。

③のVIX指数は米シカゴの取引所が算出している米S&P500種指数のオプション取引に関連する指標で、「ボラティリティインデックス」の略。別名「恐怖指数」とも呼ばれ、相場の先行きに対する投資家の不安が高まれば上がり、落ち着けば下がります。リーマンショック時には、一時VIX指数が96ポイント台、コロナショック時には85ポイントまで上がりました(今回の植田ショック時は65ポイントまで上昇)。40ポイントが1つの節目とされており、ここを上回ると、相場は「ショック状態」に陥っていて、乱高下しやすい状況にあると言えるでしょう。今回の植田ショックでは、VIX指数が65ポイントまで急上昇した後、数日で20ポイントまで下がったことで、「ひとまずパニック状態からは抜け出した」と考えることができます。「VIX指数」で検索すれば、すぐに調べることが可能です。

④と⑤について詳細は割愛しますが、いわゆる「テクニカル分析」と呼ばれる分析手法です。たとえば、RSI(アールエスアイ)という相場の「売られ過ぎ・買われ過ぎ」を見る指標では、月足ベースで見た場合、2000年以降で20%を割り込んだのは5回のみ。多くは40%を割り込んだ時点で、相場は反転しています。「移動平均線からの下方乖離」については、株価の時価が13週、26週などの中期移動平均線から大きく下離れした際、率の大きさで相場の底を探る手法です。

もっとも、これはテクニカル分析全般についていえることですが、テクニカル分析は「過去の値動きのデータから読み取れる傾向」であり、「これからも同じような動きになる」とは断言できません。とはいえ、「過去、相場がどの時点で下げ止まったのか」を見ることで、「もしかしたら今回も同じポイントで下げ止まるかも」と考えることはできます。短期間のテクニカル分析については、今回の「植田ショック」のような暴落局面では当てにならないケースが少なくありませんが、長期のものであれば、過去の水準と照らし合わせることで、大まかな底打ちのタイミングを計ることができるでしょう。

ここで取り上げた数々の指標やデータを、1点だけで売買するのはハイリスクです。しかし、複数を織り交ぜれば、相場の下落が続く中で「勇気ある一歩」を踏み出すための判断基準になることは間違いありません。常に意識しておく必要はありませんが、相場がショック状態に陥った時、パニックにならず、まずは落ち着いてこれらの指標をチェックしてみるべきです。

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(新井奈央)

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