2期連続で減益…負け組だった「ワークマン」が復活? 株価上昇は円高、異常気象が要因か
MONEYPLUS / 2024年9月5日 7時30分
2期連続で減益…負け組だった「ワークマン」が復活? 株価上昇は円高、異常気象が要因か
2024年の夏のゲリラ豪雨には、ほとほと嫌気が差しました。さっきまでギラついていた空が一転、怒り狂ったように雷を落とし、容赦ない量の雨を降らせます。こうなれば、傘などなんの役にも立たず、全身びちょびちょ。とくに足元は靴のままプールにでも入ったような惨状です。しかも、突然やってきますので、長靴で備えることも難しくやっかいです。
そんなとき、SNSで「ワークマンの濡れない靴がすごかった!」という投稿が流れてきました。土砂降りでも、まったく靴の中に水が浸水しなかったというのです。さっそくワークマンの公式サイトで調べてみるとありました! 防水シューズハイバウンスレイン(2,900円)。なるほど、これは夏のマストアイテムになりそうです。
今期予想はパッとしないが株価は上昇…?
ワークマンといえば、以前、アパレルの負け組として取り上げており、23年3月期、24年3月期は2期連続で減益が続いています。(参考記事:良品計画とアダストリア…明暗分けたアパレル決算、勝ち・負けの境目はどこにあるのか?)
要因は、原材料費の価格高騰、急激な円安進行ですが、当社の場合は、低価格が売りということもあり、頑なに値上げを行わなかったことも利益率低下をもたらしました。
画像:ワークマン「2025年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)」
今期25年3月期予想は①営業総収入138,564(百万円)、②前年比+4.5%、③営業利益23,632(百万円)、④前年比+2.1%と、かろうじて増収増益といった感じでパっとしません。
画像:TradingViewより
ところが株価推移を見てみると、2022年にピークをつけたあと、長期的な下降トレンドが続いていましたが、2024年に入って反転し、上昇トレンドが発生しつつあるように見えます。また、75日移動平均線(青)を、25日移動平均線(赤)が下から突き抜けるゴールデンクロスも発生しており、テクニカル的には買いのサインです。出来高も増加傾向にありますので、新しい投資家が参入し始めた可能性も考えられます。株価は、実態を先読みする傾向がありますので、今後の業績改善を予見しているのかもしれません。
株価上昇の要因は天候か
直近に8月5日に発表された2025年3月期第1四半期決算を見てみましょう。
画像:ワークマン「2025年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)」
①営業総収入37,049(百万円)、②前年比+4.9%、③営業利益7,034(百万円)、④前年比-1.1%。営業利益が前年割れしていますので、劇的な改善はまだ起きていないようです。これだと株価上昇をもたらすようなカタリストはあまり感じません。
画像:ワークマン「2025 年3月期 月次前年比速報に関するお知らせ」
もう少し細かい変化を見るために、月次速報を確認します。こういった月次の売上データは、まず既存店を確認します。売上高は、6、7、8月と3ヶ月連続で前年を上回っています。同じく客単価に関しても3ヶ月連続で前年比プラスです。直近8月に関しては、客数も前年比で4%増えていますので、店舗全体での集客力が強化されていることがわかります。
8月度の売上を牽引したのは夏物衣料や防暑小物、レインウエア、防水シューズなどであり、特に天候要因が売上に大きく寄与したことがわかります。やはり夏のゲリラ豪雨が当社にとっては追い風だったようです。
もうひとつの株価上昇要因
画像:TradingViewより
もうひとつワークマンの株価を押し上げているのに円高進行があります。株価が明らかに上昇に転じたのは、7月の半ばで、ちょうどそのあたりから円高が進行しています。ワークマンの利益が伸び悩んでいたのは、円安による仕入れ高が大きかったので、円高に触れるのは、当社にとっては大きなメリットです。円高メリット銘柄としては、ニトリや神戸物産なども物色され、メディアでも取り上げられることが増えていたので、投資家からの視聴率が高まったのでしょう。
決算説明書によると、当社の通期想定レートは1ドル145.50円です。円安の進行に伴い、値上げなども実施予定で、おそらくこれは、今後円高に触れたとしても実行されると思います。となれば、利益率の改善が期待されますので、業績は当初予想より上振れるかもしれません。
ワークマンは、2018年から2020年の3年間で株価は7倍上昇したスター銘柄でした。ワークマン女子という言葉がバズり、経済番組で取り上げられることもしばしば。コロナ以降は、エネルギー価格や材料費の高騰にも関わらず、値上げしないことにこだわり、それが業績を悪化させ株価の低迷をもたらしていました。ここからふたたびスターの座へ返り咲くのか、見守っていきたいと思います。
※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。
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(藤川 里絵)
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