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40歳会社員の女性、「55歳で退職して海外で暮らしたい…」貯金だけで大丈夫?

MONEYPLUS / 2024年9月27日 7時30分

40歳会社員の女性、「55歳で退職して海外で暮らしたい…」貯金だけで大丈夫?

40歳会社員の女性、「55歳で退職して海外で暮らしたい…」貯金だけで大丈夫?

相談者の女性Aさんは40歳になったことをきっかけに、「海外で暮らす」というご自身の長年の夢を叶えたいと思うようになったそうです。堅実にお金を貯めてきてはいるものの、相談者が夢を実現するためには、これからどのように資金を準備していけばいいかというご相談です。


【相談内容】
55歳で退職して2年間カナダで生活する夢を叶えたいと思っています。今までと同じように貯金を続けることで夢を実現することは可能でしょうか。投資は損をしてしまいそうで怖いのですが、貯金だけで足りないのであれば、今後どのように資金を増やしていけばいいのかを知りたいです。

【相談者プロフィール】
性別:女性
年齢:40歳
職業:会社員
家族構成:独身
住居:実家

【収入】
・年間の手取収入合計:436万(額面収入約570万)
・毎月の手取金額:30万
・年間の手取ボーナス額:76万

【毎月の支出の内訳】
・生活費合計:20万
・住居費・水道光熱費:毎月6万を実家に入れる
・食費:4万
・保険料:1万
・通信費:1万
・車両費:3万
・被服費:3万
・趣味・娯楽費:2万

【資産状況】
・現在の貯金総額:1,000万
・毎月の貯蓄額:10万
・ボーナスからの貯蓄額:30万
・現在の投資額:0円

今から15年後の55歳で退職して海外で暮らしたら

まずは、海外で生活する場合の費用を考えてみましょう。滞在場所や過ごし方によっても大きく異なりますが、海外に長期滞在するには、現地での医療保険料や家賃などを含む生活費のほか、ビザ申請費用、航空券代が必要です。

Aさんが長期滞在先として希望しているカナダは、地域によってかなり差はありますが、日本より物価が約3割高いといわれています。中でも、家賃と食費は高い傾向があります。カナダで暮らす場合、1年間に400~500万円、2年間で800~1,000万円程度の費用を見込んでおく必要があるでしょう。

必要な額を踏まえて、現状通り貯金のみの資産形成で、55歳で退職し2年間をカナダで生活するシミュレーションをしました。その結果、。現状の貯金だけを続ける方法で、カナダに2年間滞在することはできることがわかりました。ただし、日本に戻ってきた後の生活を見てみると、70歳でAさんの預金は-16万円となり、老後の生活資金がなくなってしまう試算でした。

残念ながら、現在の利率では貯金だけで大きく資産を増やすことは現実的ではありません。また、インフレの影響で将来的に現金の価値が下がってしまう可能性もあります。Aさんが夢の実現に近づくためには、資産運用を取り入れる必要があります。

投資原則を守ってリスクを最小限に

Aさんは投資に対して損をしてしまいそうで怖いという考えをお持ちです。理由を尋ねたところ、「せっかく貯めたお金がなくなってしまうことがあるかもしれないと思うと、なかなか踏み出せません」、「周りの友達から40代は積立を始めるには遅いからあまりよくないと聞きました」とのことでした。

確かに、投資には元本保証はありません。大きく資産を増やすことができる可能性もあれば、Aさんが心配されているように損をしてしまう可能性もあります。ただし、リスクをコントロールしながら資産を運用することは夢の実現に近づくための重要な手段です。

さらに周りのお友達は投資はされているのでしょうか?もしかしたらそのお友達自身も40代から積立投資を始めるには遅いのでは…という疑念の中に生きているのかもしれません。今回のケースでは自分の夢に関わる大きな決断です。お友達の意見やアドバイスは参考程度に留め、投資について自分で一歩踏み出す勇気も必要ではないかと筆者は思います。

投資には「長期・積立・分散」という資産運用の王道とされている原則があります。これに従うことで、リスクを抑えながら安定した運用が期待できるといわれています。

投資は複利の効果で運用期間が長ければ長いほどお金が増えていきます。Aさんが目標としている55歳までには15年あります。長期運用で複利の効果を得るために、40代は投資を始めるタイミングとして決して遅くありません。積立投資ではあらかじめ決まった金額を決まったタイミングで投資するので、購入価格のブレを抑え、リスクを軽減する効果があります。また、1つの投資先だけでなく、異なる値動きをする投資先に分散して投資することで値動きを小さくでき、リスクを分散することができます。

NISAのつみたて投資枠で投資できる商品(投資信託)は、金融庁が定める要件を満たす長期・積立・分散投資に適したものに限定されています。投資信託は、1つの銘柄がいくつもの投資先で構成されているので、自動的に分散投資していることになり、「つみたて投資枠」を利用すれば、王道に沿った安定的な運用を目指すことができます。

投資初心者にとって適正な投資割合とは?

Aさんは投資原則をきちんと理解した上で、夢を現実にするために、NISAでつみたて投資を始めることに決めました。

まずは、堅実な貯金の割合を大きくしたいというAさんの希望で、現状の毎月の貯金額10万円のうち、4万円を投資にまわすことにしてシミュレーションを行いました。毎月4万円を年利3%で積み立てると、80歳でAさんの資産は-1万円となることがわかりました。貯蓄のみの場合に比べると、資産を長くもたせることができるものの、老後の生活費は足りないままです。

では、Aさんの夢であるカナダでの長期滞在と老後資金の両方を確保するためには、どれくらいの投資が適切といえるのでしょうか。投資の割合を多くし、貯蓄を4割、投資を6割とすると、86歳で-8万円となり、85歳まで老後資金を保つことができるようになります。しかし、日本人女性の平均寿命が87.14歳であることを考慮すると、もう少し資金を確保しておきたいところです。投資割合を8割とぐっと大きくし、毎月8万円を投資すると、89歳まではプラスの状態で老後の生活を送ることができるシミュレーションとなりました。

貯金と投資の割合を決めるには、お金を貯める目的、必要な時期と額が重要です。Aさんの場合、15年の期間があるため、投資の割合を大きくして資産を増やすことに重点を置くようご提案しました。積極的な投資でたとえ損失が出たとしても、期間に余裕があることで運用の見直しを検討することもできます。

また、余力がある資産状況かどうかも大きなポイントです。Aさんには現時点で1,000万円の資産があり、資産のすべてを預貯金で保有しています。いざという時に備えて生活費の一年分以上の額をすでに確保できていること、1~2年以内の近い将来に使う予定のあるお金を準備できていることからも、積極的な運用を行うことが可能です。

夢の実現のためにまずは投資を始めてみる

夢や目標がある場合、必要な資金を準備するためには、現状を把握し、ゴールに到達できる具体的な資産運用が必要です。今回の相談者であるAさんと同じように、投資に対して不安を抱いている方もいらっしゃるかと思います。しかし、投資の基本原則を正しく理解すれば、リスクを抑えて安定した運用を行うことができます。

Aさんは、ご自身の心理的負担が少ない月4万円から投資を始めることになりました。慣れてきたら、段階的に投資額を増やしていく予定です。最初は少額でも、まずは始めることが大切です。ただし、夢実現の確率を高めるためには、実際に必要な投資額を常に意識しておく必要があります。そして、なるべく早くその投資額に近づけることで、夢が叶う可能性は高くなります。今回の相談をきっかけにAさんは夢の実現に向けて動き始めました。大きな一歩を踏み出した彼女を、FPとしてこれからも全力でサポートしたいと考えています。

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(阿部 瞳)

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