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もし自然災害で住宅ローンの返済が困難になったら?「自然災害の被災者の債務整理のガイドライン」と事前にとりたい対策

MONEYPLUS / 2024年9月19日 11時30分

もし自然災害で住宅ローンの返済が困難になったら?「自然災害の被災者の債務整理のガイドライン」と事前にとりたい対策

もし自然災害で住宅ローンの返済が困難になったら?「自然災害の被災者の債務整理のガイドライン」と事前にとりたい対策

厳しい暑さが続く一方、昨今では自然災害のニュースを聞くことが増えてきました。もし自然災害で自宅が被災してしまったら、どうなるのでしょうか。住宅ローンが残っている場合、既存の住宅ローンを抱えたまま新たなローンを組むことになる可能性もあります。そうなれば、これからの生活設計に大きな影響を与えることは明白ですから、事前の対策は不可欠です。ただ、もし対策をしていなかった場合でも、取りえる方法はあり、例えば「自然災害の被災者の債務整理のガイドライン」もその一つです。内容について詳しくみていきましょう。


自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインとは

既往の住宅ローンなどの借入がある人が、自然災害で被災し、住居・勤務先等の生活基盤や事業所等の事業基盤などが災害で影響を受けたとき、一定の要件を満たすと利用できる比較的ゆるやかな債務整理の方法です。個人の債務者の生活の再建またはその営む事業の再建・継続を目的として策定され、2016年4月から適用されています。

制度を利用することで、住宅ローン等の返済を減額あるいは免除したり、財産の一部をローンの返済にあてずに手元に残せたりすることが期待されます。まとめると、以下のような特長があります。

・弁護士等の登録支援専門家による手続支援が無料で受けられる
・財産の一部を手元に残せる
・信用情報に登録されないため、その後の新たな借入に影響がない

一般的な債務整理よりも有利となることが期待されるため、万が一のセーフティネットとして覚えておきたい制度ですが、利用には要件があり、さまざまなプロセスがあります。

ガイドラインの対象となる人

対象となるのは、災害救助法が適用された自然災害により被災し、生活基盤や事業基盤に影響を受け、既往の住宅ローンなどの借入金を返済できない、または近い将来返済できないことが確実と見込まれる人です。最も多額のローンを借りている金融機関等(いわゆるメインバンク※銀行に限らない)へ、ガイドラインの手続着手を希望することを申し出て、以下の手順で手続きを進めていきます。

制度利用の手順

画像:一般社団法人東日本大震災・自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関「手続の流れ

手続きを進めるにあたっては、すべてのローンの借入先の同意が必要となります。また、債務整理が成立する前に資産の処分を行ったり、災害復興住宅融資やリフォームローン含め、新たなローンを組んだりすると、債務整理修了となり、住宅ローン等の免除・減免は受けられなくなりますので、注意してください。これまでに返済を延滞したりして、期限の利益喪失事由にあてはまっているときも利用することはできません。

特定調停は簡易裁判所に申し立てます。さまざまな手続きにおいて、弁護士等の登録支援専門家による支援を受けることができますが、申立時は債務者本人の出頭が必要で、申立費用はご本人の負担となります。

最近の利用状況

2024年6月末時点で、ガイドラインの利用状況は以下のようになっています。

登録支援専門家に手続支援を委嘱した件数 1,354件
債務整理成立件数 596件
(出所:一般社団法人東日本大震災・自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関

一方、日本弁護士連合会災害復興支援委員会『「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に関するアンケート調査報告書』によれば、債務整理成立事案のうち、債務免除額が500万円以上となった事案は76.4%です。(回答総数123件)

ガイドライン利用により債務者には大きなメリットが期待される反面、債務整理が成立した割合は約44%です。債務整理として成立するには、一定の要件にくわえ、債務者の財産や収入、信用、債務総額、返済期間、利率といった支払条件、家計の状況等を総合的に考慮して判断され、支払不能と認められるには一定の基準もあります。ガイドライン利用のハードルは高いと言えそうです。

住宅ローン契約前の対策が大切

これまでに災害救助法が適用された自然災害は、例えば以下のようなものがあります。

・阪神・淡路大震災(1995年)
・東日本大震災(2011年)
・御嶽山噴火(2014年)
・新潟県糸魚川市大規模火災(2016年)
・熊本県熊本地方地震(2016年)
・西日本豪雨(2018年)
・東北・北陸4県令和3年1月7日からの大雪(2021年)
・長野県茅野市において発生した土石流(2021年)
・能登半島地震(2024年)

住宅ローンの返済は長期にわたるため、自然災害だけではなく、失業や家族の病気など、不測の事態も起こりえます。万一のとき、家計が重篤な状況に陥らないために、住宅ローンを組む前には以下のようなポイントを踏まえておきましょう。

・ハザードマップを確認し、明らかに災害リスクの大きい土地での住宅取得は避ける
・ゆとりを持って返せる住宅ローンを組む
・生活防衛資金(生活費の6カ月分程度)を準備しておく
・収入減に備えて保険に加入する
・繰上返済をしすぎない
・火災・地震保険(共済)に加入する。

そのうえで、万が一のときは早い段階で、金融機関等にためらわず相談にいきましょう。

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(内田英子)

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