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配当利回りだけを見て投資するのはNG? 時間をかけずに「高配当株」「増配株」を選ぶための3つのチェックポイント

MONEYPLUS / 2024年9月18日 7時30分

配当利回りだけを見て投資するのはNG? 時間をかけずに「高配当株」「増配株」を選ぶための3つのチェックポイント

配当利回りだけを見て投資するのはNG? 時間をかけずに「高配当株」「増配株」を選ぶための3つのチェックポイント

2024年から開始の「新NISA」では、一生涯、運用益にかかる税金がゼロになることから、旧NISAである「一般NISA」時代にはフォーカスされていなかった「高配当株」に注目が集まるようになりました。書店に行けば、「高配当株本」が売れ筋として平積みされています。

配当株投資とは、配当金を得ることを目的とした投資ということになります。この中で「高配当」と「増配」というキーワードが出てきますが、実際どのように違うのか、分かっていないという声をちらほら聞きます。

そこで今回は、配当に関連する用語を整理しながら、どのように銘柄を選んでいくべきか解説していきます。


そもそも「配当」「配当利回り」「増配」ってなに?

配当金は、株主に支払われる利益の一部です。配当金を支払うことを「配当」といいます。原則、企業の最終的な儲けである「当期純利益」から支払われます。配当金は、日本株の場合年に1~2回、米国の場合年に4回もらえるのが一般的です。1株の株主でももらえます。当然、保有株数が多い株主はそれに応じてもらえる金額も増えます。

株価に占める配当金の割合のことを「配当利回り」といいます。配当利回りの計算式は「年間配当金÷株価×100(%)」。配当利回りが高いほど、少ない投資金額でもらえる配当金の金額が多いことを表します。

配当利回りが高い銘柄を「高配当株」といいます。厳密な定義はないのですが、おおよそ3%を超えると高配当株と呼ばれます。

また、企業は業績好調なときなどに配当金を増やす「増配」を行うことがあります。継続的に業績好調な企業の場合は、増配を何度も繰り返すので、株価が安いうちに購入し、長期保有できれば、毎年10%以上の配当金がもらえるお宝銘柄になることも夢ではありません。

配当利回りの計算式は上で述べたとおりなのですが、投資家自身が保有する目線での実質的な配当利回りは、「年間配当金÷株価(購入時点)×100(%)」です。

例えば、以下の株を購入したとします。

株価:2000円
配当金:40円
配当利回り:2%

それが、現時点では以下の状態になったとします。

株価:4000円
配当金:80円
配当利回り:2%

現時点でこの株を購入する人にとっては配当利回りが2%ですが、自分の目線では、80円÷2000円×100=4%になるというわけです。

配当利回りは購入価格で計算するので、増配することによって実質的な配当利回りもアップしていきます。購入時は2%程度の配当利回りでも、企業が成長し配当金を増やせば場合によっては配当利回り10%を超える超高配当銘柄になる可能性もあります。長期保有を前提であれば、増配株に投資した方がベターであることがわかります。

「配当利回り」は高ければいいのか?

配当利回りは高ければ高いほどいいのでしょうか。結論からいうと、配当利回りは高ければいいわけではありません。

例えば、次の2つの銘柄があるとしたら、みなさんはどちらが欲しいでしょうか。

・A株

株価:2000円
配当金:100円
配当利回り:5%

・B株

株価:1000円
配当金:30円
配当利回り:3%

A株の配当利回りは5%なのに対して、B株の配当利回りは3%です。よって、配当利回りで選ぶならA株がよさそうです。しかし、A株とB株の1か月前の株価は次のようになっていました。

・A株(1か月前)
株価:3000円 年間予想配当金:100円 配当利回り:3%

・B株(1か月前)
株価:600円 年間予想配当金:30円 配当利回り:5%

A株もB株も、配当金は先ほどと同じです。しかし、1か月前のA株の株価は3000円、B株の株価は600円でした。そのため、配当利回りはA株が3%、B株が5%となっています。配当利回りの計算式には「株価」が含まれています。そのため、株価が下がることでも配当利回りは下がります。

B株が値上がりしていることを考えると、A株が値下がりした理由は、市場全体が暴落したからではなく、A株の業績がよくなかったり、不祥事があったりして不人気銘柄になってしまったからかもしれません。業績不調が続けば、減配になる可能性も高まります。減配になれば株価下落に拍車がかかります。

配当利回りだけを見て飛びついてしまうと資産を減らす可能性が高くなります。業績は好調なのか、財務は健全なのかの確認は必須です。

「配当性向」も合わせて押さえよう

配当株投資をするにあたり重要な指標のひとつに「配当性向」というものがあります。配当性向とは、当期純利益のうち、どれだけを配当金の支払いに向けたかを示す指標です。

配当性向が高ければ、株主に対して多くの利益を還元していることになります。しかし、だからといって配当性向が高いほど良いのかというとそういうわけではありません。利益は、設備や研究開発などに投資することで、企業の成長を促します。そのため、配当性向を高くしていても、研究開発や人材確保にコストをかけられず、事業拡大の好機を逃している可能性もあります。

逆に、配当性向が低いからといって、株主還元意識が低いとは限りません。企業が成長するには投資が必要であり、事業拡大のために投資を行えば、配当性向は低くなります。つまり、配当性向が低い企業は今後成長の余地があり、将来的に利益が増えれば増配にも期待できるわけです。また、配当性向が高ければ、配当金も高くなるというわけでもありません。

たとえば、発行株数が同じC 社とD 社があったとします。C社は配当性向が30%で純利益が4000万円。D社は配当性向が50%で純利益が2000万円の場合、C社の配当金支払総額は1200万円ですが、D社の配当金支払総額は1000万円になります。

発行株数が同じなので、同じ株数を持っていた場合、配当性向が低くてもC社のほうがもらえる配当金は大きくなります。このように、配当性向はあくまで純利益のうちどれくらいを配当金として配っているのかの目安です。

優良の「高配当株」「増配株」をサクッと選ぶ3つのポイント

日本の株式市場には約4000社が上場しています。その中から、配当利回りが高く、安定した配当を"継続的"に出せる優良な「高配当株」「増配株」を選びたいのですが、時間をかけたくない方は次の3つのチェックポイントで銘柄を絞っていくのがおすすめです。

①配当利回りは「2%以上」で検索

証券会社のスクリーニングや投資情報サイトの配当利回りランキングを利用すれば、配当利回りが3%以上の銘柄をすぐに見つけられます。

しかし、「3%以上」を条件に検索すると、3%に近い"優良"の銘柄が見つけられなくなってしまいます。人気が集まり、株価が高くなると配当利回りが低くなる仕組みですから、検索タイミングによっては、優良銘柄を見逃すことになります。

そこで「2%以上」で検索し、そのなかから優良銘柄を探しましょう。上述のとおり配当利回りだけで選ぶと不人気銘柄を選んでしまうかもしれません。配当利回りはあくまで最初のフィルターとして使い、他のポイントを確認します。

②「連続増配」「非減配」で抽出

「利益剰余金」から配当金が支払われることもあるので、必ずしも増配しているから業績が良いということではありません。しかし、少なくとも毎年増配している銘柄は、企業の業績が右肩上がりで成長している可能性が高いといえます。

また、増配はしていなくても減配していないかどうかも重要です。長期的に減配せず増配や配当金を維持する銘柄を「累進配当銘柄」といいます。たとえば、日清紡ホールディングス(3105)は40年以上累進配当を続けており、配当利回りも3%以上なので高配当狙いの投資対象として候補になります。

最近では累進配当を表明する企業もあります。数年先まで受け取れる最低限の配当金を予想することができるので、安心感があります。累進配当の継続は企業サイトの「株主・投資家向け情報」や「中期経営計画」などで表明されていることが多いので、気になる企業があった場合はチェックしておくといいでしょう。

③配当性向は30〜50%が目安

配当性向は業界によって平均値に差がありますが、長期的に、値上がり益を狙いつつ、配当金を得る投資戦略であるならば、30~50%くらいを目安にしておくとよいでしょう。

なお、配当性向が100%を超えている場合は要注意です。配当性向の計算式は「配当金総額÷当期純利益×100(%)」ですから、100%を超えるということは、当期純利益を超えて配当金を出しているからです。

高配当株、増配株、非減配株にはよくあることですが、その年の利益が少なくなった場合や損失になった場合でも、過去の利益を会社内で積み立てた「利益剰余金」から配当金が支払われることもあります。

なぜ、そうまでして企業は配当金を支払うかというと、配当株投資をする投資家の多くが、減配(配当金が減る)や無配(配当金がない)になると一気に株を売却する傾向にあるためです。つまり、株価急落を防ぐために支払うのです。

下図は、日本株の主な連続増配銘柄をまとめたものです。

(株)Money&You作成

上記3つのポイントでスクリーニングすると、三菱HCキャピタル(8593)、KDDI(9433)、サンドラッグ(9989)あたりは投資候補になってきそうです。

花王(4452)は、34年連続増配と日本株ナンバーワンの増配実績ですが、直近4期連続で営業減益が続いています。その結果が配当性向158.9%となっていて、このまま業績低迷が続くと、増配が止まる可能性もありそうです。

日本株約4000社全ての業績や財務の健全性を確認するには、いくら時間があっても足りません。ある程度銘柄を絞ってから、詳細に業績や財務の健全性のチェックを行い、最終的な投資決定に進めていくのが良いでしょう。

高配当株、連続増配株、累進配当株は、暴落中や下落相場でも、安定的に配当金を出す(増配・維持)傾向があるので、値下がり局面になると投資家からの需要が大きくなります。相場全体の下落に強く、また下落から一足早く抜け出す傾向にあります。暴落中や下落相場においても、定期的に配当金をもらうことができれば、回復を待ちやすいですよね。

値下がり耐性を高める目的や、下落相場中のメンタルケアの観点でも、高配当株や増配株をポートフォリオの一部に組み込んでいくのは面白いと思います。

※本記事で紹介した個別銘柄については、あくまでも参考として申し述べたものです。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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