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59歳会社員「退職金はありません、定年後の住宅ローンが不安です…」

MONEYPLUS / 2024年9月25日 7時30分

59歳会社員「退職金はありません、定年後の住宅ローンが不安です…」

59歳会社員「退職金はありません、定年後の住宅ローンが不安です…」

ライフステージの変わり目である50代後半から60代前半は、子育てにかかるお金も終盤を迎え、老後への準備にスパートをかけたい時期です。ただし、住宅ローンの返済が大きな負担になっている家計も多いようです。


50代・60代が抱えている住宅ローン残高どのくらい?

「知るぽると」の愛称で知られる金融広報中央委員会が行った「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)(令和5年)」には、年代や年間収入別の住宅ローン残高が示されています。

以下の図表は、「借入金がある」と回答した世帯主の年代のうち、50代と60代が抱える住宅ローン残高になります。平均値と中央値の金額に300万円-600万円ほどの大きな差が見られますが、外れた値の影響を受けにくい中央値を参考とするのが妥当でしょう。意外と少ない金額だと個人的に感じるところではありますが、住宅ローンの残債がある人はご自身の残債と比べていかがでしょうか?

次に世帯主の年齢の枠を外し、年収別の住宅ローン残高を見てみましょう。年収が上がるに応じて残高も多くなっています。日頃、筆者の元へ住宅ローンの相談に来られるのは50代後半から60代前半の方々ですが、以下図表内の平均値は肌感覚に近いところです。ローン残高に不安を抱え、誰かに相談したいという考えに至るのであろうことがデータ上から推察されます。

住宅ローンの返済負担を減らすにはどうすればいい?

退職金で住宅ローンの一括返済を考えている人もいるでしょうが、退職金がない場合はどうしたら良いのでしょうか。定年後の住宅ローン返済に不安を抱えているAさんの事例を元にお話ししたいと思います。

まもなく59歳になるAさんは会社員。60歳で定年後は65歳になるまでは継続雇用で働く予定ですが、年収は現在の600万円から2割減の480万円になりそう、とのこと。住宅ローンの残債は約1,400万円、返済は72歳まで、60歳からは固定期間の終了に伴い金利は3%に上がり、返済額は月1万円ほど多くなります。預貯金は200万円ほど、iDeCoとNISAで600万円ほどを運用、年間収支で余った分はすべてNISA口座に入れて老後資金の備えを加速させています。繰上げ返済に資金を当てるのは厳しい状況です。

Aさんに限らず、一般的に定年後に住宅ローンが残る場合、60歳時の残債を確認してから、以下の対策を検討するのが適切と筆者は考えています。

・全部or一部を繰り上げ返済
・低金利のローンへ借り換え
・売却益あれば持ち出しなしの買い替え
・なるべく長く働く
・リバース60など利用

「繰上げ返済以外で検討」することになったAさんですが、1ヶ月が経った頃に再び面談を行いました。

Aさんが下した決断は意外にも…

実は、筆者がまず助言したことは、住宅ローンの金利引き下げ交渉でした。他の金融機関で借り換えの審査をパスしたら、そのエビデンスを持って借入れ中の金融機関に金利引き下げを交渉するのです。手間はかかりますが、ノーコストですからトライする価値はあると思ったのですが、Aさんの考えは異なりました。

現在の住まいである戸建からマンションへの買い替えを検討しているというのです。理由はいくつかあるのですが、まず、買い替えて毎月の住宅ローンの返済額を減額したいこと、子供達は独立しており現在の戸建ては夫婦2人には広すぎること、戸建の修繕予定が近づいているのでこれから出費がかさむであろうこと、多発する自然災害にはマンションの方が安心できること、などです。

理由を聞くと、確かに妥当といえます。ただし、買い替え時には注意点がいくつかあります。今回のAさんのケースで重視して欲しい点に絞り、次の助言をしました。

・購入予算と諸費用について
戸建の売却益の見込みは600万円ほどということですが、売却と購入時に不動産会社への仲介手数料や税金、登記に係る費用などが諸々かかります。また、買い先行の場合は二重ローンとなる可能性があり、売り先行の場合は仮住まいが必要になる可能性がありますから、諸費用に加えスケジュール管理も重要です。

・修繕計画について
マンション暮らしは管理費と修繕積立金を毎月支払うことになります。特に、大規模修繕に備えている積立金が不足すると、足りない費用に対して一時金負担や修繕積立金の値上げなどが予想されます。修繕計画ならびに今後の値上げ予定について確認しておくべきです。

以上を留意した結果、マンションの購入予算を下げて再度検討しようという結論に至りました。Aさんの計画では、住宅ローンを新たに借り入れる予定でしたが、変動金利の場合、直近の借入れ金利は低いものの今後上がっていく可能性は見逃せません。その際、繰上げ返済できるくらい家計に余裕がないとオススメできません。なんとか行けると踏んでいたAさんでしたが、ここは安全第一に考えましょう、と納得していただきました。

金利やマンションの修繕積立金は自分でコントロールできないものです。自分でコントロールできる購入予算やローンの借入金については、妥協せずに安心できる決断をしたいものです。

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(三原由紀)

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