1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

利上げで株価はどうなる?いまさら聞けない金利・為替・株価の関係

MONEYPLUS / 2024年10月5日 7時30分

利上げで株価はどうなる?いまさら聞けない金利・為替・株価の関係

利上げで株価はどうなる?いまさら聞けない金利・為替・株価の関係

金利、為替、株価は相互に関係しており、どれか一つが動くと他の二つにも影響を与えます。投資家はこの関係を理解していると、金利が下がる局面で株を買う、為替が円安になるタイミングで輸出企業に投資する、といった判断が可能となるなど、理に適った投資タイミングを掴むことができます。また逆に、金利が上がりそうな時に株式を減らし、安全資産にシフトするなど、効果的で戦略的なリスク管理が可能になると考えられます。

そこで金利、為替、株価について3週連続で解説していきます。


第一回は投資を考える際にまず押さえておきたい「金利」です。金利は、日常生活の中でも耳にする言葉ですが、投資の世界では特に重要な役割を果たしています。この記事では、金利とは何か、その基本的な仕組みと、投資における金利の影響について解説します。専門的な言葉はわかりやすく解説していきますので、初心者の方も安心して読み進めてください。

金利とは?

金利とは、お金を貸す際に発生する「利子」の割合を指します。お金を借りるときは、貸した人(あるいは銀行などの金融機関)に借りた金額に対して「利息」を支払います。その利息を計算するための基準となるのが金利です。例えば、銀行から100万円を借りて金利が年5%の場合、1年後には借りた元金100万円に加えて、5万円(100万円の5%)の利息を支払うことになります。これが金利の基本的な考え方です。

金利の種類

金利にはいくつかの種類があり、それぞれが異なる場面で使われています。

●短期金利:1年未満の期間に適用される金利のことです。金融機関が銀行同士で資金を融通する(貸し借りする)際に使用される「無担保コールレート」などが代表的です。
●長期金利:1年以上の期間で適用される金利です。国債や住宅ローンなど、長期的な資金調達に関わる金利がこれに該当します。ニュースで「アメリカの長期金利」と言われる場合は10年物国債指標銘柄利回りのことを指します。10年物国債が最も流通量が多いので長期的な金利水準を示すのに適しているためです。
●名目金利:インフレ(物価の変動)を考慮しない金利です。単純に表示されている金利を指します。
●実質金利:名目金利からインフレ率を差し引いたものが実質金利です。例えば、名目金利が5%でインフレ率が2%の場合、実質金利は3%になります。つまり、インフレを考慮すると、実際に得られる利益はこの実質金利で計算する必要があります。

金利が上がるとどうなる? ーーその仕組みを理解する

次に、金利が上昇した場合、私たちの生活や経済、そして投資にどのような影響があるかを見ていきます。

金利が上昇すると、まず考えられる影響は借り入れコストの増加です。例えば、住宅ローンの金利が上がると、月々の返済額が増えるため、家計の負担が大きくなります。逆に、預金の金利も上がるため、銀行にお金を預けている人はその利息が増え、貯蓄が増えるというメリットもあります。

金利は経済全体にも大きな影響を与えます。金利が上がると、企業や個人はお金を借りるコストが増えるため、設備投資や消費が減少しやすくなります。これにより、経済活動が縮小する可能性があります。逆に金利が下がると、借り入れがしやすくなり、企業も個人も積極的に投資や消費を行うようになるため、経済が活発化します。

金利を操作することができるのは、中央銀行(日本では日本銀行)です。金利を操作することで、経済の景気をコントロールしようとします。例えば、景気が過熱してインフレが進んでいるときは、金利を上げて需要を抑える一方、景気が悪化しているときは金利を下げて投資や消費を促すことがあります。これを金融政策と呼びます。ちなみに日本銀行の目的は、「物価の安定」と「金融システムの安定」をはかることです。

金利と投資の関係

それでは、金利が投資にどのように影響するのかを見てみましょう。金利の動向は、特に株式市場や債券市場に大きな影響を与えます。
金利が上がると、株価に対してネガティブな影響を与えることが一般的です。その理由としてまず挙げられるのは企業の借り入れコストが増加すること。企業が事業拡大のためにお金を借りる場合、金利が上がるとそのコストが増えます。借り入れコストの増加により、企業の利益が減少するため、株価が下がることがあります。

次に金利が上がると、債券などの安全資産の利回りが良くなるため、リスクの高い株式よりも債券を選ぶ投資家が増える可能性があります。わざわざリスクを取らなくても…となるわけです。この結果、株式市場から資金が流出し、株価が下がることがあります。逆に、金利が低いときは、企業が資金調達をしやすくなるため、利益の増加が期待され、株価が上昇しやすくなります。

ちなみに安全資産と言われる債券は、固定された金利を受け取る投資商品です。金利が上昇すると、新規発行の債券の利回りが上がるため、既存の低金利の債券の価値が相対的に下がります。そのため、金利が上昇すると債券価格は下落し、逆に金利が下がると債券価格は上昇するという関係にあります。

各国の金利の状況

今年夏に各国の中央銀行は大きく転換したと言えます。

7月31日に日銀金融政策決定会合で日銀は政策金利を0.25%程度に引き上げる追加の利上げを決定。国債買入額は現在の月6兆円から26年1〜3月までに月3兆円程度へ減額したことに加え、植田総裁の記者会見ではさらなる利上げを否定しませんでした。追加利上げと発言によって、タカ派的(利上げに積極的、金融引き締め方向)な姿勢を示したと言えます。このことが日本株の暴落につながりました。

一方でアメリカの中央銀行であるFRBは、政策金利を決定する7月のFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利を8会合連続で5.25〜5.5%に据え置いたものの、パウエルFRB議長の発言で、早ければ次回の9月会合で利下げを行う可能性があると言明しました。そして9月のFOMCでは想定通り4年半ぶりとなる利下げが決定され、利下げ幅は通常の2倍である0.5%(政策金利4.75〜5.0%) で、年内にあと0.5%分の利下げがある見通しと、FRB高官のハト派的(利下げに積極的、金融緩和的)な発言が相場を支え、アメリカの代表的な株価指数である。ダウ平均は連日で過去最高値を更新しました。

また英中央銀行のイングランド銀行(BOE)は8月に利下げを発表。インフレが和らいだことなどから政策金利を0.25%引き下げ、5.0%にするとしました。2020年3月以来、4年5カ月ぶりに利下げです。日本を除く海外主要国は利下げ局面に移行しているといえます。逆に日本は海外主要国が2022年ごろに次々と利上げしていく中で、金利を上げなかった国であります。

このように金利は私たちの生活や経済、そして投資において非常に重要な要素です。

金利の動向によって、株価や債券価格が大きく変動するため、投資を行う際には金利の動きを常に注視することが重要です。また、金利の変動が経済全体に与える影響を理解することで、より賢い投資判断を下すことができるでしょう。

次回は為替についてお伝えします。お楽しみに。

投資管理もマネーフォワード MEで完結!複数の証券口座から配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward]

(三井 智映子)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください