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50代パート主婦「遺族年金が5年しかもらえなくなるって本当ですか?」

MONEYPLUS / 2024年10月9日 11時30分

50代パート主婦「遺族年金が5年しかもらえなくなるって本当ですか?」

50代パート主婦「遺族年金が5年しかもらえなくなるって本当ですか?」

公的年金財政の健康診断といわれる「財政検証」が5年ぶりに行われました。それを受けて、2025年に年金制度の改正が予定されています。2024年7月に厚生労働省が発表した改正内容の中でも「遺族年金の改正案」はSNSで大炎上しました。


遺族年金とは? 現在のルールを知っておこう

まず、遺族年金について簡単に説明しましょう。遺族年金は、家族を支えてきた人(多くの場合、夫)が亡くなったとき、残された家族の生活を支えるためのお金です。また、遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。

遺族基礎年金は、子どもがいる場合に配偶者や子どもを対象に子どもが18歳になる年度末まで定額支給されます。いっぽうで遺族厚生年金は、会社員が死亡した場合などに収入に応じて支給額が決まります。今回の改正は、遺族厚生年金が対象になることを知っておきましょう。

現在の制度下で、遺族厚生年金をもらえる配偶者(年収要件あり)の条件は以下の通りです。

・子どもがいない30歳未満の妻は5年間の支給
・子どもがいる妻、または30歳以上の妻は原則生涯支給
・55歳以上の夫(ただし、支給は60歳から)は原則一生涯支給

これらのルールは昭和型の家計「男は仕事、女は家庭」を前提に作られています。夫を亡くした妻の保障が、妻を亡くした夫に比べてとても手厚く、問題提起されてきました。

なぜ遺族厚生年金の改正が話題になっているの?

では、なぜ今、遺族年金の改正が検討されているのでしょうか。最大の理由として考えられるのは、 共働き世帯が増加し、昔のように「夫に養ってもらう」という社会ではなくなりつつあるからです。

こうした変化に合わせて、今回の改正案の目玉として「30歳以上で夫を亡くした妻の受給期間も5年間、妻を亡くした夫は55歳未満で5年間の受給」が示されたのです。夫の年齢制限が大きく解除されたことは喜ばしいものの、妻の受給期間が一生涯から5年に短縮されてしまう!これでは多くの女性が困窮する!といった批判や不安がSNS上で拡散されました。

実は、筆者のところにもお客様から不安な声が寄せられています。「50代夫婦です。夫はずっと会社員で厚生年金保険料を納めてきました。私は扶養内のパートで年収100万円ほどです。夫に万が一の時、私は遺族年金を5年間しかもらえなくなってしまい、しかも、夫の厚生年金保険料は払い損になってしまうのでしょうか?」

これには誤解されている部分も多いので、まずは改正案を正しくお伝えしたいと思います。

どんな改正が検討されているの?

7月30日時点で、検討されている遺族厚生年金の受給に関連する主な改正案は以下の通りです。

1)すでに遺族厚生年金をもらっている、または、60歳以上で配偶者と死別の場合は一生涯受け取れる
2)給付期間5年へのルール改正は、施行から20年ほどで段階的に適用する
3)給付有期化へは、次の配慮措置を検討する
  ・婚姻期間中の厚生年金加入実績をベースに、遺された配偶者の老齢厚生年金に上乗せ(上限あり)する「死亡時分割(仮称)」を導入
  ・現行ルールの収入要件を廃止
  ・現行ルールの遺族厚生年金の金額より有期給付額を増額
4)子育て中の世帯は現行通り、5年有期ではなく、子どもが18歳になるまで受け取れる

また、これらの改正案は、決定したわけではありません。でも、もし実施されれば、大きく影響を受けるのは、特に若い世代の女性になります。

現在の50代への影響は?

筆者が質問をいただいた50代夫婦への影響については、結論からいうと、現時点では大きな影響はないと考えられます。なぜなら、 改正案はまだ決まっていないこと。仮に改正されても、すぐに適用されるわけではないことと、 通常、大きな制度変更の際は経過措置が設けられ、徐々に変わっていくことが多いからです。

ちなみに、今後の遺族年金制度の改正は、以下のプロセスで進められていきます。

1.社会保障審議会での議論と提言
2.厚生労働省による法案作成
3.国会での審議と法改正
4.法律の施行

具体的な改正時期は未定ですが、早ければ数年内に施行(改正法が効力を生じる)となる可能性はあります。

信頼できる情報源で確認を

最後になりますが、正確な情報を得るためには、SNSで流れてくる情報に惑わされず、一次情報を参照することが重要です。具体的には、厚生労働省や日本年金機構の公式ウェブサイトをはじめとして、社会保険労務士など専門家による解説記事や相談サービスも信頼に足るといっていいでしょう。

また、今の50代には20代、30代のお子さんをお持ちの方も多いことと思います。筆者も20代後半の息子がいますが、今後、結婚するとしたら、以下のことを伝えておきたいと思います。

・夫婦で生活設計を見直し、リスクに備える
・私的年金や生命保険を活用し、保障を強化する
・夫婦それぞれの収入源の確保と能力開発
・制度改正の動向に関する継続的な情報収集
・変化に対応できる柔軟な姿勢と準備

今回の遺族年金制度の改正案は、それだけ私たちの働き方や生活に大きな影響を与える可能性があります。早めの情報収集と対策が個人にも求められるでしょう。

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(三原由紀)

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