「株価暴落のニュースで投資を躊躇」している45歳女性、1%のインフレで老後資金の寿命が10年縮まることが判明
MONEYPLUS / 2024年10月11日 7時30分
「株価暴落のニュースで投資を躊躇」している45歳女性、1%のインフレで老後資金の寿命が10年縮まることが判明
相談者の女性、Aさんは将来を考えて投資を始めたほうがいいのかと思っていたところ、株価暴落のニュースを見て不安が募り、今の時点で投資するのはやめておいた方がいいかと迷っているそうです。これから投資を始める方が注意するべき点を交えて分かりやすく解説していきます。
45歳になり、老後資金についてより具体的に考えたいと思うようになりました。2024年から“新NISA”という言葉をよく聞くようになり、周りで始める人も増えたので、とても気になっています。自分でも始めてみようと思い、色々と情報収集をしていた矢先、今回の株価暴落のニュースに不安が募ってしまい、投資を始めること自体に躊躇してしまいました。
老後の生活の希望としては、現在の生活水準を落とさず生活すること、そして毎年旅行に行くことの2つがあります。貯金だけで老後の生活を迎え、毎年旅行することは叶うのでしょうか。そして、こんな状況下でも今から投資をするべきでしょうか?
【相談者プロフィール】
性別:女性
年齢:45歳
職業:会社員
家族構成:独身
住居:実家
【収入】
・年間の手取収入合計:約402万円
・毎月の手取金額:約30万円
・年間の手取ボーナス額:約76万円
【毎月の支出の目安】
・生活費合計:15万円
生活費内訳
・住居・水道光熱費:3万円
・食費:5万円
・通信費:2万円
・雑貨・日用品費:2万円
・趣味・娯楽費:1万円
・被服費:2万円
・保険料:1万8千円
・車にかかる費用:3万2千円(2年後に車の買換えを予定)
・その他:年20万円
【資産状況】
・現在の貯金総額:1300万円
・毎月の貯蓄額:平均して月約10万円を貯金
・現在の投資額:0円
老後今までと同じ生活をすることは意外と難しい
「投資」を「お金を増やす」というイメージで捉えている投資初心者の方を多く見かけます。このイメージ自体、間違いではありませんが、今の日本の状況を考えると、将来のお金を減らさないために「投資」をする必要があります。
Aさんが老後に実現したいことは、現在の生活水準を落とさずに生活すること、そして毎年旅行に行くことです。ライフプランを作成した結果、具体的に準備したいお金は、毎月の生活費15万円と旅行費20万円、その他20万円の年間220万円ということが分かりました。
まずは現状通り貯金のみの資産形成で、Aさんの老後の生活を試算してみると、現預金は90歳でプラス99万円の残高となり、このまま貯金を続けることで安心して暮らせる結果のように思えました。
ただし、これはインフレ率0%で作成した場合です。インフレ率とは、物価が継続的に上昇する(インフレーション)を表す指数です。日銀の目標インフレ率は2%ということをご存じでしょうか? つまり私たちは物価を上げる政策の中で日々生活をしているということになります。
今度は社会全体の物価が徐々に上がっていくことを想定して、今度はインフレ率1%でAさんの老後の生活を試算してみました。その結果、80歳で現預金は-132万円となり、1%のインフレ率だけでAさんの老後資金が尽きるまでの期間が、約10年短くなることが分かりました。Aさんにとってもたった1%のインフレで、老後の資金寿命が10年縮むというのは衝撃だったようです。
生活水準を落とすことなく、安心して老後を過ごすためには、インフレに対応するための具体的な行動をしなければなりません。その1つの手段が「投資」ということになります。
実は怖いインフレリスク
これまでコツコツと貯金をしてきているAさんには1300万円の預貯金があります。ですが、物価が上昇するとお金の価値が実質的に目減りし、保有している預貯金の価値が下がってしまいます。
たとえば、10年後にインフレで物価が2倍になったとすると、「今100万円で買える車が10年後には200万円になっている」ということが起きます。同じ物を手に入れるのに必要なお金が2倍になったということは、お金の実質的な価値が半分になったことになります。
結果的に上記で試算したように、今と同じ生活をしているだけなのに、老後資金が不足することになってしまうのです。せっかく貯めてきたお金の価値が下がってしまうことだけは防ぎたいですよね。
インフレリスクに対応するために考えられる方法は、「収入を上げる」、「支出を減らす」、「投資をする」です。物価が上がってもそれに伴って収入が増えると問題はありませんが、必ずしも物価上昇と同時に給与も上がっていくとは限りません。支出を減らすには節約が有効ですが、それにも限りはあります。そして、Aさんの「現在の生活水準を落とさず生活すること」の希望に沿わなくなってしまいます。
つまり、将来のお金を減らさないために「投資」という選択肢があることはご理解いただけると思います。
投資でインフレリスク対策を
Aさんのように、今回の株価暴落をきっかけに、投資を始めることに躊躇している方も多いと思います。確かに預貯金とは違い投資には元本保証がありませんが、インフレに合わせて値上がりする可能性があるため、インフレリスク対策に有効な方法といえます。それでも怖いという方のために投資のリスクを少しでも抑える方法をこれからご紹介します。
長期積立分散を意識した投資で、リスクを最小限に
投資のリスクを減らすポイントは、「長期・積立・分散」を組み合わせることです。
長期間投資をすることで、複利の効果を活かすことができます。運用で得た利益を元本に加えて次の投資をすることで、投資の利益が投資に回り、さらに利益を生む効果があります。雪だるまを小さな雪玉から作るイメージを想像すると、分かりやすいのではないでしょうか。
一定金額を一定期間ごとに投資する「ドル・コスト平均法」を用いると、毎回の投資金額は定額なので、価格が低い時には投資商品の購入量が多くなり、価格が高い時には購入量が少なくなります。長い期間をかけて積立投資することで購入単価を平均化でき、価格変動のリスクを抑えられます。
さらに、1つの投資商品にだけ投資した場合、その商品の値動きの影響を大きく受けてしまうため、暴落すると資産が急激に減ってしまいます。いくつかの商品に投資しておくことで、1つの商品が暴落したとしても、他の商品の価格が上昇していれば、資産の減少を抑えることができます。
無理なく「長期・積立・分散」を組み合わせることができるのが、NISAのつみたて投資枠での投資です。つみたて投資枠では金融庁が定める基準を満たした長期・積立・分散に適した投資商品のみが購入できるので、投資初心者の方も始めやすいのではないでしょうか。
現役で仕事があるうちに投資を始める
「投資は怖いと感じていましたが、インフレも怖いとは考えていませんでした」、というAさん。預貯金だけで資産を形成するのもリスクだということに気づき、思い切って投資を始めることになりました。
Aさんは60歳まで働く予定のため、働いている間に約15年間の投資期間があります。現在月々の収入から約10万円を貯金しているAさんは、インフレと投資の両方のリスクを考慮し、NISAのつみたて投資枠で月4万円の積み立てを始めることにしました。15年間利率5%で運用できると仮定すると、試算の結果は84歳で-87万円、積み立てを行うことで4年間の老後資金を確保できる結果となりましたが、さらに準備する必要があります。
そのことを理解した上で、投資初心者で、投資に躊躇する気持ちがあったAさんに精神的な負担がかからないよう、まずは一年間毎月4万円を積み立てることから始め、一年後に増額を考えることになりました。
また、Aさんの勤務先では、希望すれば65歳まで現役を続行し、定年退職金を受け取る勤務形態を選ぶこともできます。その場合、月4万円の積み立てでも90歳の段階で資金不足に陥ることなく、老後を安心して過ごすことができそうです。
Aさんのように、インフレが老後の生活費に影響を与える可能性があることを理解し、現役時代でしっかり収入があるうちに投資という対策を取れるかどうかが重要です。なるべく早い段階で投資を始めることで、月々の積立金額や、将来の働き方の選択肢を増やすことができます。何より希望する生活がインフレに負けることなく叶えられる安心感は、投資のリスクと向き合うことより価値があると思うのですが、いかがでしょうか。
リスクを取らないことがリスク
前述した通り、国の方針としてインフレを推進している日本だからこそ、貯金だけではお金の価値が目減りする可能性があります。投資は怖いものと思い込んで、リスクを取らないこと自体がリスクであることに気付いていただければ嬉しいです。
目先の値動きより、長期的な視点でインフレリスクに備えることが重要です。その結果、インフレに負けることなく、希望する未来を手に入れることができるのではないでしょうか。
【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)
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(阿部 瞳)
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