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【プロは必ずここを見る!】不動産の価値が数倍も差がつく、「道路」の注意点

MONEYPLUS / 2024年10月20日 11時30分

【プロは必ずここを見る!】不動産の価値が数倍も差がつく、「道路」の注意点

【プロは必ずここを見る!】不動産の価値が数倍も差がつく、「道路」の注意点

都市部のマンションなど、不動産の取引相場は高値のまま、日に日に手を出しにくい金融資産と化しつつあり、一方で郊外の空き家などは、タダでも売れないケースもあるなど、不動産の価値は顕著な二極化が進行しています。

このように、不動産の価値の二極化が進行している背景には、そのエリアにおける不動産需要の多寡が大きく影響しています。しかし、このようなマクロ的観点を一旦置いておいて、ミクロ的観点でも不動産価値に大きく影響しうる要素はあります。つまり、ある2つの不動産があり、それらがまったく同じエリア、同じ土地面積、同じ築年数の建物がある場合でも、その価値が数倍にも変わってしまう場合があるのです。

もちろん、「一方がゴミ屋敷だったら」「一方が庭木の整備も放置していたら」「一方だけ急傾斜の土地だったら」など、人為的な価値減少や、誰がみても明らかな不動産の環境差など、不動産の価値を左右する要素は枚挙に暇がありません。

ただ、今回は、そんななかでも『道路』をテーマにご紹介します。一見すると、普通の道路に接していて、何ら問題がなさそうな不動産であっても、いくつかのポイントを満たしているか否かで、不可抗力的にその価値は数倍にも差が生じる場合があるのです。実際に、不動産会社の営業マンの多くは、「まずは道路がどうなっているかを調べる」といっても過言ではないほど、道路は不動産の価値を決める上で重要な要素になっています。


こんな道路は要注意!

「道路がどうなっているか」について、日常生活上で気になることは、車が通れるか否か、公道か私道かくらいだと思います。実際に、この違いだけでも、不動産の価値には大きく影響します。しかし、不動産取引上は、主に建築可否を決める建築基準法で、いろいろな制限を受けるため、道路について緻密に確認する必要があるのです。

ここからは、専門的な観点から、不動産の価値に影響を及ぼしうるものにはどんなものがあるか見ていきたいと思います。

①道路に接している土地の長さが2m未満

いわゆる「間口」といわれる、道路に接している土地の長さが2m未満の場合、その土地に建物を建てることが認められていません。イメージとして、敷地の入口が駐車スペース程度の細さで、その奥に広い敷地が広がっている旗のような形状の土地(旗竿地とも呼ばれています)です。

比較的最近になって新たに分譲された土地は、このような敷地形状であっても、このルールを意識して2m以上の間口が確保されていることがほとんどです。しかし、相応の築年数が経過している建物の中には、この間口が足りていないケースも珍しくありません。この場合、新築当時は許可基準が緩かった等で建築できたものの、今は建替えも認められないため、なんとか既存建物の修繕を重ねて延命しながら使用するか、解体してずっと更地として使用するしかなく、不動産の価値が著しく低下してしまうことになります。

②面している道路の幅が4m未満

上記は道路に面している長さ(間口)のお話でしたが、これは、面している道路そのものの幅(幅員)が4m未満の場合は、原則として建物を建てることができません。

尚、幅員4mといえば、車1台が通行できるものの、路上駐車があると通行に支障が生じる程度の幅であり、そう考えると「日本中、そんな場所は無数にあるし、そこにも建物は沢山建っているのでは?」と思ってしまいます。

これは、この法整備がなされる前に建築されているケースのほか、現在の幅員が4m未満の道路でも、行政が特別に指定した道路に面している場合には、一定の条件下で建築できるなど、例外的な規定がいくつか存在しているためです。

なお、その例外の中でも比較的有名なものが「セットバック」です。これは、面した道路幅員が狭いぶん、自分の敷地の一部を道路として提供することで、道路の幅員を確保するものです。これによって建築できないはずの土地に新築できるようになりますが、敷地が後退(セットバック)して、実際に使用できる敷地面積が減少するため、事実上の不動産価値が減少することとなります。

③面している私道の所有権がない

道路には必ず所有者が存在します。そして、例えば国や県、市町村が所有している国道、県道、市道などは公道、一般個人が所有している道路は私道(しどう・わたくしどう)と呼ばれます。

公道は名前の通り、公の道として、通常は誰でも自由に通行することができます。一方、私道の場合は、原則としてその道路所有者の許可がなければ、自由に通行することはできません。もちろん、日常生活で、いちいち通行する道路が公道か私道かを確認することはありませんし、無意識に私道を使っていることもあるでしょう。ただし、例えば「住民以外通行禁止」といった看板が立っていたりすれば、そこを通行することは許されません。

これを踏まえると、例えば所有している土地に面している道路が私道の場合で、その道路を近隣住民と共有して、自分も所有者の一人になっていれば、いうまでもなく自由に通行することができます。しかし、もし道路の所有者でない場合には、自分の敷地に往来するために、常に他人の道路を通行させてもらうことになるため、ある日突然「この私道は使用するな」といわれてしまう可能性もゼロではないのです。

なお、今挙げた例のケースで、私道の通行を禁止されることで、自分の敷地に往来することがまったくできなくなる場合も起こり得るため、民法では私道所有者にとっての損害が最少になる範囲で通行することができる、囲繞地通行権という権利があるため、直ちに八方塞がりになることはありません。ただし、その場合でも私道所有者へ償金を払う必要があるとされているほか、私道の通行禁止を通告されるような状況では、少なくとも良好な関係性を保てる状況とはいえず、民法上の権利があるにしても、自分の私道を通行する場合と同じ自由度が保証されているとはいえないでしょう。

また、私道の所有権がない場合のもう一つのリスクとして、通行だけでなく、水道などのライフラインにも大きく影響が生じる場合があります。例えば、敷地内に水道を引き込みたいとき、ほとんどの場合は道路の下に水道管が埋設されているため、その水道管から敷地内に水道管を引き込む工事が必要です。そうすると、その工事のために他人所有の道路を掘削する必要が生じるものの、所有者からその掘削の承諾が得られなければ、水道管を引き込めないことになってしまいます。

こういった諸リスクがある点で、私道の所有権のない道路に面している不動産も、その価値に大きく影響する場合があるのです。

道路は侮れない

いかがでしたか。ここで紹介した道路にまつわる注意点は、ほんの一部です。道路は、さまざまな法律や近隣関係等によって、不動産の利用に大きな制約が課される場合があり、不動産会社も、そのようなリスクがないか、慎重に調査をしたうえで取引をしています。そして、何らかのリスクがあると判断された場合には、不動産の利用価値が毀損しているとみなされ、”ほぼ同じ環境にある隣地と、数倍以上の価格差が生まれる”ようなことも起こりえるのです。

その意味で、不動産を売却する人は、今のうちにリスクがないかを点検し、それを解消できる策がないか検討することは、資産価値を大きく向上させることに繋がります。また、不動産を購入する人も、一見して何の変哲もない道路のように見えた場合でも、その道路によって思わぬ制約やリスクを負うことがないか、専門家の助言なども参考に、慎重に確認をしていくことが重要といえるでしょう。

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(小林弘典)

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