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年金は繰上げて早くもらった方が得ですか?

MONEYPLUS / 2024年10月20日 7時30分

年金は繰上げて早くもらった方が得ですか?

年金は繰上げて早くもらった方が得ですか?

年金は繰上げて早くもらった方が得なのでは?という話はよく耳にします。実際に私の周りでも、繰上げ受給をしている人が何人もいます。では、いったいどのくらいの人が繰上げ受給をしているのでしょうか?

厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況 (令和4年)」によると、2022年に国民年金を繰上げ受給している人は、約26%の160万人ほどです。また、厚生年金を繰り上げている人は約0.7%の約21万人です。

それに対して、国民年金を繰下げしている人は、約2%の12万人で、厚生年金を繰り下げている人は、約1.3%の約37万人です。年金の繰上げ受給と繰下げ受給とでは、繰上げ受給をしている人の方が圧倒的に多いことがわかります。

では、年金の繰上げ受給は正解なのでしょうか?


年金の繰上げ受給は減額になり、それが生涯続く

年金は、通常65歳から支給開始ですが、60歳から75歳の間ならばいつでも受け取ることができます。60歳から65歳の間に受け取るのを「繰上げ受給」といいます。66歳から75歳までの間に受け取るのを「繰下げ受給」といいます。

しかし、繰上げ受給をすると年金が年4.8%の減額になり、60歳から受給すると24%の減額になるのです。たとえば、65歳で年金が年額200万円の人は、60歳から受け取ると152万円です。

しかも、この減額された年金額が一生続くことになります。一方、繰下げ受給すると年金は、年8.4%増額されます。70歳まで繰り下げると42%の増額、75歳まで繰り下げると84%の増額になります。繰り下げて増額になった年金額は一生続くことになります。

60歳受給開始と70歳受給開始の差は、約1000万円

繰上げ受給をすると、年金を早く受け取ることができるので、最初の方は得になります。どのくらい得になるのか比べてみましょう。65歳の年金額が200万円だとしたら、60歳では152万円です。

70歳までの受取総額→60歳受給開始:1520万円 65歳受給開始:1000万円
80歳までの受取総額→60歳受給開始:3040万円 65歳受給開始:3000万円
90歳までの受取総額→60歳受給開始:4560万円 65歳受給開始:5000万円

60歳受給開始と65歳受給開始とでは、80歳でほぼ同じくらいです。81歳を越えると65歳から受給開始した総額の方が多くなります。それ以降は、ずっと引き離されます。90歳になったときには約500万円近い差がでます。

厚生労働省「令和5年簡易生命表」によると、2023(令和5)年の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.14歳です。また、60歳からの平均余命は男性23.68年、女性28.91年です。

つまり、平均して男性は約84歳、女性の半数は約89歳まで生きるということです。こう考えると、長寿時代ですので、繰上げ受給するのが、必ずしも得ではないことがわかります。

同じく年金額が65歳で200万円の人が70歳から受給開始をすると、70歳での年金額は284万円になり、90歳での受取総額は5680万円になります。すると、60歳受給開始と70歳受給開始では、90歳のときには、総額で約1000万円の差がつくことになります。

繰上げ受給のデメリットとは

繰上げ受給には、いくつかのデメリットがあります。まず、障害年金を請求することができなくなります。

たとえば、60歳以降にがんに罹患して、重い後遺症が残った場合でも、繰上げ受給をしているので65歳に到達したことになり、障害年金の申請ができなくなります。また、遺族年金を受け取っている場合には、受け取れなくなります。国民年金の寡婦年金を受け取る権利もなくなります。国民年金の任意加入や保険料の追納もできなくなります。

そして、繰上げ受給をする場合には、基礎年金と厚生年金のどちらかだけはできないので、両方を繰り上げる必要があります。

今が楽か、将来が楽な方がいいか

このように長生きをすると、受取総額がかなり減ってしまう可能性やデメリットが多いので、できれば繰上げ受給はしない方がベターです。それなのに、繰上げ受給をしている人が圧倒的に多いのはなぜでしょう。

繰上げ受給をしている人の理由は、「早くもらった方が得だから」「年金はあてにならないから」「どうせ長生きをしないから」です。でも、考えて見てください。たしかに早く受け取った方が最初は得かも知れませんが、後で損になります。

年金があてにならないといっても、年金をあてにしないと暮らしていけません。早死にをするかも知れませんが、長生きをしたときにどうしますか? そこは考えていただきたいと思います。

年金は、「長生きしたときの保険」です。そのためには、できるだけ増やすのが一番良いと考えます。今、楽をしても、80歳を超えて高齢になってから生活が苦しくなるなんて辛いと思いませんか。もし、100歳まで生きたとしたら…、それが20年近くも続くのは、避けたいですね。

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( 長尾義弘)

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