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【NISA】投資信託の運用会社が突然の業務終了…個人投資家はどのような不利益を被る?

MONEYPLUS / 2024年10月23日 7時30分

【NISA】投資信託の運用会社が突然の業務終了…個人投資家はどのような不利益を被る?

【NISA】投資信託の運用会社が突然の業務終了…個人投資家はどのような不利益を被る?

今月11日、PayPayアセットマネジメントが突然業務終了のお知らせを発表しました。NISAのつみたて投資枠でも購入できる投資信託の運用を手がけていた運用会社が業務を終えると個人投資家はどのような不利益を被るのでしょうか?


PayPayアセットマネジメントが2025年に業務を終了

2024年10月11日、LINEヤフー傘下のPayPayアセットマネジメントが2025年9月末をめどに業務を終了する旨発表がありました。報道によると運用資産の拡大が計画通りに進まず24年3月期まで5期連続で赤字が続いたため、持続的なサービス提供が難しくなったからとしています。

PayPayアセットマネジメントという会社は、投資信託の運用を行う会社です。特に個人投資家がここに直接口座を開設することはないので、ご存じない方も多いかも知れませんが、ここが運用する投資信託はNISAでも投資が可能なので、運用会社名までは知らなかったが、実は投資をしていたという方もいるかも知れません。

実際運用していた投資信託は全部で12本です。うち2本は、募集期間が限定されているソフトバンクグループ&日本企業厳選債券ファンドなので、今後の扱いが注目されるのは10本といえます。PayPay銀行やPayPay証券だけで取り扱われているものから、中にはSBI証券や楽天証券といったネット証券、あるいは地方銀行などで取り扱われているものもあります。

筆者は、PayPayアセットマネジメントの投資信託を扱っているネット証券あるいは地方銀行のホームページを複数確認してみましたが、運用会社の業務終了あるいはそのファンドの今後の取り扱いについて告知をしているところは10月20日時点ではPayPay証券しかありませんでした。

もしかしたら、該当する投資信託を購入している投資家に対して個別にお知らせが届けられているのかも知れませんが、恐らくそれさえもよほど注意を払っていない限りは、このような事情に気が付かない方が多いのではないでしょうか?

そこには、「お客様の資産(投資信託の信託財産)については、受託者である信託銀行で分別管理され、財産は適切に保全されておりますので、PayPayアセットマネジメント株式会社の事業終了・会社清算により、その財産が影響を受けることはありません。また、PayPayアセットマネジメント株式会社の事業終了について、弊社(PayPay証券)にとっての財務上の影響やビジネス戦略上の影響はなく、今後も従来どおり事業/サービスを継続してまいります」と書かれています。

ペイオフとはどう違う?「分別管理」

一般常識として私たちが知っておくべきこととしては、この「分別管理」という言葉です。これは投資信託の信託財産、つまり投資家のお金は、資金を預かる信託銀行で分別管理され適切に保全されているという意味です。分別というのは、自社の金庫に投資家のお金は入れない、別々に管理が行われているということです。

例えば、銀行にはペイオフ制度があります。これは預金保険制度と呼ばれるもので、銀行が万が一倒産しても一定の資金は保護される仕組みです。

具体的には、当座預金や利息の付かない決済用預金は、全額保護。また定期預金や利息の付く普通預金等(一般預金等)は、預金者1人当たり、1金融機関ごとに合算され、元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。それを超える部分は、破綻した金融機関の残余財産の状況に応じて支払われるため、一部支払われない可能性があります。

一方証券会社は預金保険制度の対象ではありません。その代わり、金融商品取引法で、投資家から預かったお金、例えば株を買うお金、投資信託を買うお金などは、証券会社自身の資産とは分別管理するように義務づけられているのです。

またその中でも投資信託は、販売をする証券会社、運用を行う運用会社、資金を管理する信託銀行と3つの機関が関係していますが、投資家のお金はすべて信託銀行で分別管理されているので、仮に運用会社が破綻(今回は事業の終了ですが)しても問題ないと説明しているのです。

運用期間満了の前に運用が終了するとどうなる?

さらにPayPay証券では以下のように続けています。

「弊社(PayPay証券)で取り扱っている投資信託のうち、PayPay投信 NASDAQ100インデックスとPayPay投信 NYダウインデックスについては、すでに運用会社から繰上げ償還をすることが発表されているので、10月31日15時にて新規買い付け・新規つみたて設定を終了、現在設定されている積立設定も解除する」としています。

繰上償還とは本来の運用期間満了の前に運用を終了し、その資金を投資家に返還することです。運用会社のホームページでは繰上げ償還の対象となっている投資信託はPayPay証券が扱う2本以外にもPayPay投信バランスライトと米国株式インデックスがありますが、具体的な償還のスケジュールには触れられておらず、運用が継続する限りにおいてはこれまで同様なので投資家は保有するか解約するかの判断をして下さいとの説明に留まっています。

一方ここについてPayPay証券では、今後は該当する投資信託については売却のみ可能となるため、代替えとして同証券会社で扱うそれぞれの投資信託とベンチマークを等しくするインデックスファンドを紹介しています。

とはいえ、NISAで投資可能枠上限まで消化している方については、代替えの投資信託を購入する際、非課税投資の枠はすでになくなっているので、売却のタイミングとは別に来年以降の新規買い付け時期も改めて検討するようになります。

同じ関連会社でもPayPay銀行では、アセットマネジメントの業務終了についてはなにも伝えていないようです。もちろん繰上げ償還が決定しているPayPay投信バランスライトと米国株式インデックスの個別のページも同様です。また扱いは異なりますが、運用が今後アセットマネジメントOneに引き継がれるPayPay投信AIプラスについても特段説明はありません。

一般的には運用会社に関する情報に意識を向けている人は多くはないでしょうから、販売会社である証券会社や銀行が何の情報発信もしないでいると、自分が投資している投資信託が繰上げ償還されることを知らないままの人も多いのではないでしょうか?

すると各々の償還スケジュールにのっとり投資信託が売却され資金が返還されることになります。利益がでているタイミングであれば問題はないのでしょうけれど、資金が流失したりして基準価格が低下したタイミングで売却されると思わぬ損失を被ることもあり得ます。

特にNISAで購入している投資信託の場合、特定口座での運用のように損益通算や損失の繰り越しができないので、さらにデメリットが拡大する可能性もあり注意が必要です。

PayPay証券のお知らせに戻りますが、ここで扱っている投資信託のうち以下の5本については、アセットマネジメントOne株式会社へ運用会社の変更が予定されています。

・PayPay投資信託インデックス先進国株式
・PayPay投資信託インデックス世界株式
・PayPay投資信託インデックスアメリカ株式
・PayPay投信 日経225インデックス
・LOSA長期保有型国際分散インデックスファンド

運用会社の変更とは、これまでの運用を別会社に移し継続するという意味です。すべてインデックスファンドなので、運用会社の変更により、運用の基本方針等が変わる可能性は低いといえますが、いずれにしろ詳細が発表されるのを待つしかありません。

上記5本の投資信託は、すべてNISAのつみたて投資枠で購入が可能な商品です。もともとつみたて投資枠での購入が認められる投資信託としては長期の運用を前提としているので繰上げ償還という選択肢はないのかも知れません。

例えば、PayPay投信 日経225インデックスは、つみたてNISAでの購入が可能で、信託報酬は0.143%と同じカテゴリーの中でも最安値です。運用を引き継ぐアセットマネジメントONEが運用するたわらノーロード日経225と信託報酬も同じですから、同様の運用が継続されるのかも知れません。

直接的不利益はないものの…

今回は運用会社PayPayアセットマネジメントが2025年9月を目処に業務を終了する旨をお伝えしました。運用会社が業務を終了するからといって、直接的に投資家が不利益を被ることはありませんが、やはり自身の意思に反し投資が中断されてしまう可能性があることは不利益と言わざるを得ないと思います。

しかし、筆者が見る限り今回の運用会社の業務終了のニュースはそれほど大きな関心事として捉まえられていないように感じますし、該当する投資信託を扱う金融機関の注意喚起も充分とは言えないように思います。

NISAやiDeCoが普及するにつれ、投資を始める方が増えている現在、様々な情報にアンテナをはり注意深く行動をすることは投資家の自己責任の範疇なのかも知れませんが、すべてを自己責任と押しつけてしまうのも違うのではないかとも感じます。

昨今は、投資ブームを背景に新興業者の算入も増え、競争も激化しています。信託報酬の引き下げ合戦は投資家にとってはメリットですが、それが運用会社の業績不振そして業務の終了等につながる可能性も否めません。

ぜひ読者の皆様におかれましては、今回の件をきっかけに投資信託の運用者リスクも知っていただくと共に、その対処法の理解と、今後の投資信託選びの選考にしていただければ幸いです。

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(山中 伸枝)

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