お札全体の表面がデコボコしている理由は? 新紙幣に使われている最新技術
MONEYPLUS / 2024年10月22日 11時30分
お札全体の表面がデコボコしている理由は? 新紙幣に使われている最新技術
2024年7月に、一万円札、五千円札、千円札の新紙幣が発行されました。日常生活でお金を扱うなかで、旧紙幣と新紙幣が混ざっていることも増えてきましたよね。
この新しい紙幣には、実はさまざまな工夫がなされ、初の最新技術も搭載されていることをご存じでしょうか。
今回は、国立印刷局の公表資料と政府広報オンラインの情報から、そのいくつかの例をご紹介します。
そもそも、お札を定期的に新しくする理由は?
お札が定期的に新しくするおもな理由は、「偽造対策の強化」と「ユニバーサルデザインの向上」の2つだそう。
新しいお札になるたびに、より偽造しにくい技術が搭載されたり、さまざまな人が使いやすいような工夫がされたりするのです。
特に今回、「偽造対策の強化」として、新たな技術として導入されたのが、「立体的な肖像が左右に回転するデザインの“3Dホログラム”」です。3種とも、お札を傾けると、肖像が左右に回転して、驚いた方も多いのではないでしょうか。このホログラムは、コピー機やプリンターを使って印刷しても再現できないため、偽造防止に有効だそう。
この技術が導入されたお札は、世界初! なんだか誇らしい気持ちにもなりますね。
また、ユニバーサルデザインの向上としては、新紙幣では、手で触るとざらざらした11本の斜線があり、その場所が、3種類それぞれで違います。一万円札は左右の中央に、五千円札は上下の中央に、千円札は左下と右上です。目で見るだけでなく、触ってもそのざらざら感がよくわかるので、ぜひ確かめてみてください。
ホログラムは、手で触るとつるつるしているため、掲載する位置を変えることで、偽造防止だけでなく、券面識別としても役立てられています。千万円札は左寄りに、五千円札はやや中央寄りにあります。これまで千円札にはホログラムが入っていませんでしたが、新紙幣では左下にホログラムがあります。
どれくらいご存じ? お札のトリビア
普段、お札を手元においてじっくり見たり、他のお札と比べたりすることはあまりないかと思います。意外な(?)「お札のトリビア」を見ていきましょう。
3種類の紙幣は「横」のサイズが違う
3種類のお札のサイズが、なんとなく違うと感じている人もいるでしょう。
3種類の新紙幣は、「縦」の長さは、3種類とも76ミリと、実はまったく同じです。横の長さが異なり、1万円札が160ミリ、五千円札が156ミリ、千円札が150ミリと、金額が大きいほど横の長さが長くなっています。
なぜ一万円札と千円札の「1」のフォントが違うの?
新紙幣が出たときに、SNSなどで「一万円札と千円札の“1”のフォントが違って、なんだか違和感がある」と話題になりました。千円札のほうは、まっすぐ棒のような「1」のデザインなんですよね。
これは、「識別性を高めるため」だそうで、あえて取り入れているデザインなのだそうです。ぱっと数字部分を見て、判断できるような工夫というわけですね。
お札全体の表面がデコボコ&ざらざらしている理由
お札を触ると、なんとなくデコボコ&ざらざらして、立体感があります。これは、おもにプリンターやコピー機での偽造防止のためでもあるそう。
深凸版印刷という特殊な方法で印刷することで、盛り上がったインキで線や点が印刷されています。このインキのために、触ったときに立体感を感じるのです。
旧紙幣はまだ使える? 新紙幣に交換するには?
新紙幣が出ると、「今までの紙幣が使えなくなるのか」と不安になる方もいます。
ですが、大丈夫。法律で「無制限の強制通用力」が定められているため、特別なことがなければ、定められているものはずっと使えるのです。例えば、五百円札、百円札、十円札など、今はほとんど見る機会のないお札でも、法律上では使えることになっています。
ただ、個人商店などでは、使うことをお断りされるケースがあるかもしれません。今後も現金として使いたい場合は、日本銀行で相談するとよいでしょう。日常生活ではあまりなじみのない日本銀行ですが、本店のほかに、全国に32店の支店と14の国内事務所があります。
ただ、日本銀行にもっていった場合は、100円札は100円に、10円札は10円になってしまいます。古銭買取業者にもっていくと、額面以上のプレミアム価格がついてお得かもしれません。一度相談してみるのもよいでしょう。
キャッシュレスが加速している時代ですが、自然災害が多い日本では、現金を使う機会もたくさんあります。身近な紙幣について、ある程度知識を持っておいて、上手に使っていきたいですね。
※参考情報
・日本銀行「本店・支店・国内事務所一覧」
・国立印刷局「新しい日本銀行券特設サイト」
・政府広報オンライン「2024年7月3日、新しいお札が発行!」
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(西山美紀)
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