【年末調整】iDeCoは所得控除を受けられる?いくら戻って来る?
MONEYPLUS / 2024年10月29日 11時30分
【年末調整】iDeCoは所得控除を受けられる?いくら戻って来る?
年末が近づいてくると勤め先で行われる年末調整。条件に当てはまる人は、所得控除の手続きをすることで所得税や住民税を安くできます。
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)を利用している場合、いくら所得控除を受けられるのでしょうか。その結果、税金はいくら安くできるのでしょうか。
iDeCoとは? 制度をおさらい
iDeCoは、自分で出した(拠出した)掛金を投資信託・定期預金・保険など、金融機関側であらかじめ用意された金融商品で運用し、その結果を60歳以降に受け取れる制度です。公的年金に上乗せする「自分年金」をお得に用意できます。なお、将来の受給額は運用次第で増えることもあれば減ることもあります。
iDeCoでは、掛金の「拠出時」「運用時」「給付時」の3つのタイミングで税制優遇が受けられるのが大きなメリットです。
・運用時…iDeCoの運用で得られた利益には税金が一切かからない
・給付時…iDeCoの資産を一時金で(まとめて)受け取る場合にも年金で(分割して)受け取る場合にも税制優遇が受けられる
iDeCoに加入している場合、掛金が全額「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象になるため、毎年の所得税や住民税が安くできます。会社員や公務員の方の場合、勤め先で年末調整をすることによって、所得控除を受けることができます。
iDeCoで所得税・住民税はいくら安くなる?
iDeCoの掛金の上限は、公的年金の種類や企業年金の有無により異なります。
【iDeCoの掛金の上限額】
●国民年金第1号被保険者
・自営業者・フリーランス・学生…月額6万8,000円・年額81万6,000円
●国民年金第2号被保険者
・会社員
企業年金がない場合…月額2万3,000円・年額27万6,000円
企業型確定拠出年金のみある場合…月額2万円・年額24万円
確定給付型企業年金がある場合…月額1万2,000円・年額14万4,000円※
・公務員…月額1万2,000円・年額14万4,000円※
※2024年12月より月額2万円・年額24万円
●国民年金第3号被保険者
・専業主婦(主夫)…月額2万3,000円・年額27万6,000円
会社員・公務員の掛金の上限は月額2万3,000円・年額27万6,000円となっています。2024年12月より、掛金の上限が月額1万2000円・年額14万4,000円の人は、月2万円・年額24万円に変更となります。
なお、自営業やフリーランスなどは月額6万8,000円・年額81万6,000円と上限が高く設定されています。自営業やフリーランスの人は厚生年金がありません。その分、iDeCoで手厚い準備ができるようになっています。
iDeCoで毎月の掛金をいくら出すと、いくらの節税効果が得られるかをまとめたのが次の表です。
<iDeCoの所得控除による節税効果>
(株)Money&You作成
所得税率は、税金の計算の元になる課税所得に応じて、5%〜45%までの7段階あります。住民税率は、課税所得にかかわらず一律10%です。年間の掛金額にこれらの税率をかけた金額が節税金額になります。したがって、課税所得が多いほど、掛金額が多いほど、節税効果が高くなります。
年収からみるiDeCoの節税効果の目安
もっとも、自分の課税所得がいくらかすぐにわかる人はあまりいないでしょう。そこで、年間の掛金が24万円だった場合にいくら節税できるのかの目安を年収別に紹介します。
なお、以下の試算は所得控除が基礎控除と社会保険料控除のみ、社会保険料は年収の15%と仮定していますので、あくまでも参考情報として確認ください
<iDeCoの節税効果(年収換算)>
(株)Money&You作成
年収500万円なら、所得税率10%・住民税率10%ですので、年間の節税額は4万8000円。これが30年続いたとすると、節税金額の合計は144万円になります。
そもそも年末調整はなぜするの?
年末調整とは、1年間に支払うべき正しい所得税の金額を計算して、過不足する金額を調整することです。
①給与年収から必要経費にあたる「給与所得控除」を引き、給与所得を計算する
②給与所得から個人の事情にあわせて「所得控除」を引き、課税所得を計算する
③課税所得の金額に応じた所得税率(5%~45%)をかけ、税率に対応する控除額を引き、所得税額を計算する
④税額控除(住宅ローン控除など)がある場合は、所得税額から直接差し引く
<所得税の算出ステップ>
(株)Money&You作成
iDeCoの掛金は②の所得控除に該当し、これにより課税所得を減らせるため、所得税額や住民税額を減らせるというわけです。
iDeCoの所得控除の手続きはどうすればいい?→年末調整しよう
iDeCoの所得控除は、勤め先の年末調整で手続きすることができます。具体的には、次のとおりです。
①小規模企業共済等掛金払込証明書を保管しておく
iDecCoの加入者には、毎年10月から11月に「小規模企業共済等掛金払込証明書」という書類が国民年金基金連合会から送付されます。小規模企業共済等掛金払込証明書は、iDeCoの掛金を拠出したことを証明する書類です。年末調整の手続きをする際に必要なので、なくさないように保管しておきましょう。
②「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を記入
「給与所得者の保険料控除申告書」は、年末調整をする際に勤め先に提出する書類です。多くは勤め先からもらえます。書類右下の「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」と書かれている部分に、iDeCoで積み立てた金額を年額で記します。
③期限内に勤め先の部署に提出
必要事項を記入した「給与所得者の保険料控除申告書」に「小規模共済等掛金払込証明書」を添えて、総務や経理といった所管部署に提出します。
年末調整が正しくできると、12月の給与で所得税が還付され、翌年度の住民税が安くなります。また、翌年1月ごろに、勤務先が支払った給与の合計額と、勤務先が納めた所得税の金額が記載された「源泉徴収票」が配布されます。
年末調整を忘れた場合はどうする?→確定申告しよう
年末調整の手続きの際にiDeCoの分を申請し忘れていたという人もいるかもしれません。でも大丈夫です。その場合は確定申告をすることで税金を取り返すことができます。
確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に得たすべての所得を計算し、申告・納税する手続きのことです。個人事業主・フリーランスの場合は毎年行いますが、会社員や公務員の方で、収入が勤め先の給与しかない場合は、基本的に確定申告は必要ありません。しかし、iDeCoの年末調整を忘れた場合は、年末調整をしていても確定申告をすることで税金を取り返せます。
確定申告は例年、2月16日〜3月15日の1か月間に行います。なお、2025年は土日に当たるため2月17日(月)〜3月17日(月)までとなっています。
今はスマホやパソコンなどを利用して確定申告ができるようになっています。直接税務署に出向いたり順番を待ったりする必要がないのでとても便利です。案内に合わせて手元にある源泉徴収票や小規模共済等掛金払込証明書の金額を記入すれば、確定申告が完了します。
小規模共済等掛金払込証明書の提出は不要ですが、国税庁から提示を求められた際に提示する必要があるので、5年間は保管しておきましょう。
また、確定申告書は国税庁のウェブサイトからダウンロードして手書きで作成することもできます。「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、金額を自動で計算してくれるので便利です。
もちろん、税務署などの窓口で担当者と相談しながら確定申告をすることもできます。源泉徴収票や小規模共済等掛金払込証明書に加え、マイナンバーがわかる書類(マイナンバーカードなど)、還付金を受け取る口座の情報がわかるもの(通帳など)を忘れずに持っていきましょう。
確定申告も忘れた場合はどうする?→還付申告しよう
確定申告の期間が過ぎてからiDeCoの分を申請し忘れていたことに気づく人もいるかもしれません。この記事を読んで「そういえば去年もおととしも手続きしていなかった」と気がついた人もいるかもしれません。これらの人は、せっかくiDeCoに加入しているにもかかわらず、掛金の所得控除の恩恵を受けられていません。
この場合も、「還付申告」という、納めすぎになっている所得税を還付してもらう手続きをすることで税金を取り返せます。
還付申告は、確定申告期間に関係なく、iDeCoの掛金を拠出した年の翌年1月1日から5年以内なら手続き可能。「所得税の更正の請求書」という書類に必要事項を記入し、該当年の証明書を添付して、所轄の税務署に提出すればOKです。詳しくは税務署や専門家にご相談ください。
せっかくiDeCoを利用しているのですから、所得控除の効果を生かさない手はありません。年末調整、確定申告、還付申告を適切に行って、減らせる税金を減らしていきましょう。
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(頼藤太希)
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