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日経平均株価の大暴落…ロボアドの運用実績はどうだった? 「ROBOPRO」で見る、メリットとデメリット

MONEYPLUS / 2024年10月30日 11時30分

日経平均株価の大暴落…ロボアドの運用実績はどうだった? 「ROBOPRO」で見る、メリットとデメリット

日経平均株価の大暴落…ロボアドの運用実績はどうだった? 「ROBOPRO」で見る、メリットとデメリット

2024年8月の日経平均株価大暴落。SNSでは「大きく損をしてしまった」という声もあり、投資をしている人は気が気ではない時間を過ごされていたのではないでしょうか。

では、近年利用者数を増やしている、自動で資産運用をしてくれるロボットアドバイザー(以下、ロボアド)投資はどのような運用実績だったのでしょうか? ロボアドの基礎や日経平均株価大暴落のとき、ロボアドの成績はどうだったのか、ロボアド「ROBOPRO」を例にファイナンシャル・プランナーが解説します。


押さえておきたいロボアドの種類

ロボアドとは、全自動で資産運用を行うサービスを指します。ロボアドには大きく分けて次の2つのタイプがあります。

  • 自動運用型(投資一任型):投資商品の構成や運用方針の提案を行い、運用を自動で行うタイプ
  • アドバイス型(助言型):金融商品の提案だけに留まるタイプ

ロボアドと聞くと、なんでもAIがやっているようなイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、顧客のリスクに合わせていくつかの資産配分コース(ポートフォリオ)を用意している一般的なロボアドの場合、実はAIは使っていません。

また、一般的なロボアドの投資一任運用サービスは、投資配分を一定に保つ特徴がある反面、機動的な資産配分が難しいケースがあります。

例えば組み入れ資産を定めた上で資産配分の組み入れ比率をかえることで、リターンは低いがリスクを押さえた「安定型」から、リスクを取りつつリターンを期待する「成長型」の5つの種類のポートフォリオ(資産配分パターン)を用意するとします。

この場合、まずリスクタイプの診断を行い、目標資産額や投資金額などを考慮した上で最適なポートフォリオの提案と設定を行う訳ですが、「安定型」「成長型」といった一定の組み入れ資産比率が決まっていることから、相場に合わせた臨機応変な対応には不向きと言えるでしょう。

2024年8月5日に日経平均の大暴落…そのときどうだったか

投資をされている方なら記憶に新しいと思いますが、2024年8月5日の日経平均はブラックマンデー越えの下落幅4,451円、下落率12%という大暴落となりました。その結果、パニック売りも多く発生していたようです。

2024年に入ってずっと堅調だった株式相場が大きく動いた8月は、東証株価指数(TOPIX)が前月末比で-2.92%と落ち込む中、ロボアドの「ROBOPRO」は+0.31%という成績を残しました。そこにはどんな要因があるのでしょうか?

ROBOPROの特徴のひとつに、AI予測があります。機関投資家もチェックしている先行指標である40種類以上のマーケットデータを参照し、その中から必要な情報を抽出してAIを使ってリターン予測を行います。それをAIスコア化し、翌月以降の資産配分に反映していくのです。

もう一つにダイナミックなリバランスが挙げられます。

ROBOPROは、主要な指数に連動するように設計された米国ETF(上場投資信託)への投資が中心。具体的な投資対象は米国株・先進国株・新興国株・米国債券・ハイイールド債券・新興国債券・不動産・金の最大8種類です。上述のとおり、AI予測に基づいて最適と思われる投資配分に月1回変更します。そのため「常に8種類すべてに投資する訳ではない」のがユニークな点です。毎月末に行われるリバランスとは別に、臨時リバランスも特徴の1つといえるでしょう。

例えば、上昇局面と予想したならば積極的な投資配分を選択し、反映します。反対に、下落局面では株式の組み入れ比率を0%にするなど、特徴的な資産配分に切り替えます。

では、日経平均の大暴落時の投資配分がどうなっていたのかというと、AI予測に基づいてドル建てでリターンが目立っていた不動産と金の比重を増やし、株式の組み入れ比率を0%にするなど、かなり特徴的な資産配分に振りきっていることが見て取れます。8月に関しても【不動産32%・金25%の合計約58%】を組み入れていました。

この資産配分が8月上旬の株式市場の下落による影響を抑制し、その後の株価回復局面でもプラスに働いたようです。

最近では新NISAの影響もあってか、株式資産に集中して投資をしている方も多く見かけますが、8月のような大暴落で慌てて資産を手放してしまっては元も子もありません。投資の基本は分散投資ですから、1つの資産に偏ることなく様々な資産に投資することを心掛けたいですね。

今後の市場はどのように予測されている?

10月は相対的に見通しが後退しなかった米国の資産を中心に保有し、その中でもより見通しの改善が大きい不動産と、金利低下時に相対的に魅力度が上昇するとされる金への投資配分を強め、より積極的な資産配分となっています。

機動的にダイナミックなリバランスを実行することで、株価の回復局面のリターンもきちんと投資成果に反映できているようです。

こちらは投資家だけでなく、一般の方にも公開されている資料なので、ぜひ気になった方はチェックしてみてはいかがでしょうか。

個人的にはAI予測で毎月の資産配分(ポートフォリオ)がダイナミックに変わる点が面白いので、それを見るだけでも投資の醍醐味を感じられるなと思いました。

直近6回の変更に伴う投資配分の推移をご覧いただくと分かるように、2024年8月の株価暴落時をうまく回避する資産配分(ポートフォリオ)が前々月の6月、7月頃から組まれていたことが分かります。これは相場の細かな動きをAIがうまく捉えたと言えるでしょう。

私達ファイナンシャル・プランナーも、お客様の資産配分の相談に乗らせていただくことがありますが、中長期を前提とした資産運用の場合、ここまでダイナミックに資産組み換えをすることはあまりありません。

では実際の業務ではどのようにしているのかというと、ライフプランを作成したお客様の目的や目標に合わせて、モデルの資産配分(ポートフォリオ)を作成します。そこから市況や運用状況をウォッチして、「〇%ずれたら見直しを検討する」などのルールを作り、その経過を見守ります。もちろんライフプランの修正なども、適宜行っていきます。

人かAIかという議論はさておき、両方の良いとこ取りをして資産形成していくのも楽しそうですね。

さて、ここまでROBOPROの実際のリバランスについてお伝えしましたが、メリットとデメリットについても整理しておきたいと思います。

ROBOPROのメリット・デメリット

ROBOPROはポイントで記載した通り、リターンの高さや下落抑制力を重視した「安定的かつ効率的な投資」をしたい人におすすめです。特に、資産配分(ポートフォリオ)へのAIの寄与度が高いため、これから説明するメリットとデメリットをしっかり把握した上で、始めることをおすすめします。

【メリット】
・お任せ運用が可能で、手間がかからない
・最低投資額は10万円から、最低積立1万円から。比較的少額から始められる
・毎月リバランスを行うため、市場の状況を気にしすぎることなく、タイミングを選ばずに始めやすい

【デメリット】
・機動的にリバランスを行うと売買によってNISA枠を消費してしまうため、現時点では特徴である機動的なリバランスを重視しNISA非対応
・手数料は資運用資産の1%と、より低いコストのインデックスファンドを使って自分で資産配分(ポートフォリオ)を考えて運用する場合に比べると高め
 ※運用額が3000万円を超える部分については0.55%(税込)の割引料率が適用

手軽に投資ができるため、投資に対して深く考えないままはじめてしまうと、8月の様な下落局面で平常心が保てないことも予想されます。

ROBOPROに限らず、投資全般に言えることですがあくまでも手堅い長期運用をベースとした取引を推奨している点を、忘れないでくださいね。

投資が怖い、商品が選べない

世界株式は過去30年で10倍になっています。つまりグローバルな資産に分散投資をすることは、資産形成にとって非常に有効です。

今回例に挙げたROBOPROを始め、ロボアドを利用する際は、サービスによって異なる利用方法や手数料、特徴を比較して、自分に合ったサービスを選ぶことが大切です。

ただしコストの低さが着目されるETFですが、ROBOPROを通じて購入することで、一定の手数料がかかってしまう点には注意が必要です。

投資経験者で、よりコストを抑えて運用したいなら、自身で資産配分(ポートフォリオ)を考えてみるのも1つの手でしょう。その場合、「どんな割合で保有するか」「どの銘柄を購入するか」などは自己責任で決めていく必要があります。また、ETFを使って同じ様なリバランスをしようとすると、売買時の取引手数料なども相応にかかってくる点には注意してください。

グローバル投資は時間を味方につけるのがポイントです。8月の株価暴落で投資が怖くなってしまった方や、どれを選べばいいか分からずなかなか始められない方は、ロボアド投資を検討してみてはいかがでしょうか。今日のコラムが、資産形成に取り組むきっかけになればとても嬉しいです。

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(伊達有希子)

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