猛暑で売り上げ爆増のアイスクリーム業界「森永乳業」「森永製菓」「井村屋」3社で好調なのはどこ?
MONEYPLUS / 2024年10月31日 7時30分
猛暑で売り上げ爆増のアイスクリーム業界「森永乳業」「森永製菓」「井村屋」3社で好調なのはどこ?
年々、夏の暑さが厳しくなり、さらに長くなっているような気がします。実際、2024年の東京の夏日の日数は、153日と観測市場最多を更新しています。また、東京の熱帯夜(日中の最低気温が25℃以上の日数)は、過去10年の平均と比べて大幅に増加し、60日以上となっています。
夏の長期化が業績に影響を及ぼす業界といえば、いちばんに思いつくのはアイスクリームではないでしょうか? わたしの娘は、学校帰りに必ずアイスをふたつ買ってきて、帰宅直後と、お風呂上がりに毎日食べています。わたしも2024年の夏は、いつも以上にアイスを食べたように思います。
アイスクリームの売り上げは過去最高に
総務省統計局家計調査(二人以上の世帯)によると、2023年の年間アイスクリーム支出金額は11,580円で、10年前の支出額8,006円と比べると144.6%に拡大しています。食料費全体の伸びは、113.7%なので、日々の喫食におけるアイスクリームの存在感が年々増していることが分かります。
日本アイスクリーム協会が23年10月に行った調査では、前年と比べアイスクリーム購入機会が「増えたと思う」と答えた人は41.4%で、「減ったと思う」の11.3%を大きく上回っています。やはり、暑いとアイスを食べたくなるのでしょう。
また、おもしろいことに、最近では、冬でもアイスを食べる人が増えており、自宅でのアイスクリームのストック状況では「1年中ストックしている」が33.8%と、ほぼ3人に1人。となれば、アイスクリーム販売会社の業績が悪いはずがありません。
同じく日本アイスクリーム協会の調査では、2023年度のアイスクリーム販売実績金額は、6,082億円と過去最高を記録しています。2010年度に4,063億円となり、7年後の2017年度には5,114億円まで拡大、それから僅か6年間で6,082億円と勢いが加速しています。おそらく2024年はさらに記録を更新するのではないでしょうか?
売り上げ急増の背景は、ここ数年の原材料高による販売価格の改定に加え、消費者が「ちょっとした贅沢」や「自分へのご褒美」として、高価格のアイスクリームを購入する傾向にあることが挙げられます。
画像:日本アイスクリーム協会「アイスクリーム類及び氷菓販売金額の推移」
「森永乳業」「森永製菓」「井村屋」3社の決算は?
というわけで、アイスクリーム関連銘柄を物色したいと思います。
まずは、コンビニのアイスコーナーには必ずといっていいほど置いてある「パルム」「MOW」「pino」を有する森永乳業(2264)です。当社の主力食品事業に占めるアイスクリームの売り上げ比率は、前年度の実績で25%ですが、今期の2Q予想では、28.5%に拡大する見込みで、アイスの存在感が増しています。
画像:森永乳業「2025年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」
しかし、直近2025年3月期第1四半期決算を見ると、①売上高は140,637(百万円)、②前年比+0.6%、③営業利益8,472(百万円)、④前年比-11.7%と、あまり芳しくありません。原料価格や物流費、人件費などの各種オペレーションコストが利益を圧迫しているとのこと。アイスの繁忙期間を含む第2四半期での追い上げに期待したいところです。
同じく森永つながりでは、森永製菓(2201)が挙げられます。こちらは、ハイチュウやチョコボール、森永ラムネ、小枝、DARSなど、スターお菓子が浮かびますが、忘れてはいけません。チョコモナカジャンボというビッグスターが在籍しています。主力事業である国内食料品製造事業の売り上げにおけるアイス事業の比率は、2025年3月期第1四半期実績で28%。前年比では115.2%で、菓子食品事業の前年比109.4%を上回っています。
画像:森永製菓「2025年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」
直近2025年3月期第1四半期決算を見ると、①売上高は56,928(百万円)、②前年比+11.4%、③営業利益6,741(百万円)、④前年比+16.2%とかなり順調です。第2四半期が1年間でもっとも稼ぐ期間なので、11月12日の決算発表が楽しみです。ちなみにアイスの中でもっとも前期比で売り上げが伸びたのは、ザ・クレープの+62%。残念ながらわたしは食べたことないはですが、もちもちのクレープ生地・ザクザクチョコ・なめらかクリーム・幸せホイップの変化する食感・風味で、幸せな気分にしてくれるデザートアイスという公式ホームページの商品紹介を読むと、試さずにはいられないですね。
そして、最後に、ここは外せません。あずきバーでお馴染みの井村屋グループ(2209)。当社の自慢の逸品・あずきバーは、原料が砂糖、小豆、水飴、塩のみで、あずき本来の風味が存分に味わえます。そのため、あずきバー=固い!というイメージですが、それがまたファンにはたまりません。じつは、消費者の嗜好の変化にあわせて、砂糖の量を減らすなどしており、その結果、昔のあずきバーより固さが増しているそうです。その固さゆえ、歯を痛めないようにという注意喚起が行われています。
また、冬にもあずきバーを食べてもらいたいということで、あずきバーをレンジでチンしてぜんざいにするレシピがSNSでバズり、あずきバーの人気をさらに高めました。
あずきバーを含む冷菓カテゴリーの売り上げ比率は、2025年3月期第1四半期実績で42%とほか2社に比べ高いため、アイスの売れ行きが与える業績の寄与は大きくなります。
画像:井村屋グループ「2025年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」
直近2025年3月期第1四半期決算は、①売上高は9,918(百万円)、②前年比+8.7%、③営業利益7(百万円)、前年は営業利益が-92(百万円)でしたので、黒字転換となります。通期予想では、売り上げ、営業利益とも、過去最高を更新予想で、あずきバーが着実に業績を牽引しています。
2024年に入ってからの株価を比較すると、スターアイスを数多く持つ森永乳業がもっとも上昇しています。各社とも第2四半期は稼ぎ時ですので、勝負は次回の決算発表になります。現在、出遅れている井村屋ですが、アイスの売り上げ比率がもっとも高いことを鑑みると、ここからぐいっと追い上げる可能性も充分あり、おもしろくなりそうです。
※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。
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(藤川 里絵)
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