冴えない決算の「オリエンタルランド」、過去最高売上の「サンリオ」株価はどう動いた?
MONEYPLUS / 2024年11月7日 7時30分
冴えない決算の「オリエンタルランド」、過去最高売上の「サンリオ」株価はどう動いた?
以前、猛暑によってダメージを受けているオリエンタルランド(4661)と、屋内テーマパークで涼しい顔のサンリオ(8136)を、第1四半期決算の結果を比較しつつ紹介しました。
上場来高値更新中の「サンリオ」、冴えない「オリエンタルランド」明暗を分けたのは猛暑の影響?
その後も、オリエンタルランドの株価は、年初来安値をだらだらと更新する展開。一方のサンリオは、年初来高値をぐいぐい更新するといった両極端となっています。
画像:TradingViewより
直近、両社がともに2025年3月期の第2四半期決算を発表しました。
オリエンタルランドは冴えない決算も、株価は上昇
まず10月30日に発表されたオリエンタルランドの第2四半期決算を見ます。
画像:オリエンタルランド「2025年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」
①売上高297,267(百万円)②前年同期比+4.5%、③営業利益63,198(百万円)、④前年同期比-17.7%と、売上も営業利益も上期予想を下回る着地です。
要因としては、6月に開業した東京ディズニーシーの新エリア「ファンタジースプリングス」の関連費用や、人件費の増加が重荷とのこと。また、予想通り、猛暑による入園者数が前年を下回ったことも影響しています。しかし、2023年の夏もそれなりに猛暑だったので、天候だけが要因じゃないのかもしれません。
じつは四半期ごとの営業利益の実績推移をみると、24年1-3月は前年同期比で-7%、4-6月は-13.8%、7-9月は-22.2%と3四半期連続で、前年割れしています。
一方、売上高は、1-3月前年比+15.2%、4-6月前年比+5.6%、7-9月前年比+3.6%で、前年割れとはなっていません。客数の減少を、客単価の上昇でカバーできていますが、伸び率の鈍化は気になります。
10月30日にフロリダ州のディズニーパークでは、最大449ドル(約6.9万円)で、待ち時間なくアトラクションに乗れるパスを導入し、「夢の国は、富裕層の国と化した」という嘆きがSNSで溢れました。カリフォルニア州のパークでは、クリスマスなど繁忙期の入園料が、一人206ドル(約3.1万円)と、気軽に家族で行ける場所ではなくなりつつあります。
東京ディズニーリゾートは、世界でいちばん入園料が安いとされていますが、日本の物価も上昇していますので、さらなる値上げもあるかもしれません。
さて、第1四半期決算に続き、冴えない数字のオリエンタルランドですが、意外なことに、株価は翌日+1.1%と小幅ですが上昇しました。そこから3営業日連続上昇していますので、決算を好感したといえます。
もともと7-9月期が、猛暑の影響を受けるのは予想されており、株価はそれを先に織り込んで下げていたとも考えられます。いわゆる悪材料出尽くしの反転なのかもしれません。
また、1年の中でもクリスマスについでのビッグイベント「ディズニーハロウィン(通称・Dハロ)」は相当賑わっているようで、わたしの娘は10月1日から11月7日の期間中、なんと4回も通っています。そういった下期回復への期待も株価の押し上げ要因でしょう。
今後、株価が戻り売りをこなして、上昇トレンドへと転換するかは、下期でどれだけ挽回できるかにかかっています。
サンリオの決算はポジティブサプライズ
画像:サンリオ「2025年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」
では、11月1日に発表されたサンリオの第2四半期決算を見ます。
①売上高62,807(百万円)②前年同期比+43.0%、③営業利益23,591(百万円)、④前年同期比+77.3%の大幅増収増益。当初の上半期予想と比べると、売上高は+10.2%、営業利益は+28.9%の上振れ着地です。同時に通期予想も売上高、営業利益ともに上方修正。3ヶ月推移でみても、24年7-9月は、過去最高の売上高、営業利益となっています。
2024年11月1日は、キティちゃん50歳の誕生日ということで、生誕50周年を祝う施策が功を奏しています。11月1日から東京国立博物館で開催されているハローキティ展は大盛況で、グッズが猛烈に売れていると、SNSでも騒がれていました。
第二四半期の営業利益の進捗率は、通期予想に対して57.5%と、前期の49.3%と比べても高く、この調子でいくとさらなる上方修正もありえます。そんな期待もあって、翌営業日の株価は、14%も上昇。期待以上の業績がポジティブサプライズとなりました。
2020年7月、コロナの真っ只中に、先代の孫である辻朋邦氏がわずか31歳で社長に就任したときは、世間がざわつきました。当初、海外でのキティちゃん人気に頼りっきりだったことから、その陰りとともに業績が低迷しており、けしてよいタイミングでの社長交代ではありません。そんな逆境の中、辻氏は、キティちゃん以外のキャラクターを海外で押し出し、いまでは、複数キャラクターが稼げる体制になっています。
じつは、辻社長の誕生日は、キティちゃんと同じ11月1日。2024年に36歳と、上場企業の中でも最年少クラスに入ります。ちなみに、オリエンタルランドの吉田謙次社長は、1960年生まれの64歳。上場企業の中では、まだまだお若いほうではありますが、辻社長と比べてしまうとなんとも。
勢いづいて上値を追っていくサンリオと、いよいよ底値をつけたかと期待をもたせるオリエンタルランド。下期は、テーマパークにとっても稼ぎ期となります。通期を終えたときにどうなっているか、引き続き2社の株価の動きに注目です!
※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。
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(藤川 里絵)
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