老後資金700万円、年金14万円…65歳からの老後生活はどう過ごす?
MONEYPLUS / 2024年11月10日 7時30分
老後資金700万円、年金14万円…65歳からの老後生活はどう過ごす?
定年後の生活を具体的にイメージしたことはありますか? 多くの方が、定年後の生活に何らかの不安を抱きながらも、問題を先送りにしているのではないでしょうか。
今回紹介するのは、定年を目前に控え不安を感じているAさんのケースです。Aさんは現在55歳で独身、あと5年で定年を迎えます。老後資金はわずか200万円で、退職金は500万円ほどしか見込めません。つまり、老後資金は700万円です。
定年後も再雇用で働く予定ですが、65歳からの公的年金は月額約14万円(年間約170万円)です。このままでは、Aさんの老後はどうなってしまうのでしょうか? 不安でいっぱいですが、どうすればよいのか分からず、考えても仕方ないと諦めている状態です。
定年間近の多くの方が、同じような悩みを抱えているのではないでしょうか? 今回は、シミュレーションをまじえてお答えしましょう(ただし、最終的にはご自身でしっかりと考えることが大切です)。
このままでは厳しい老後が待っている…?
Aさんの65歳からの年金は年間170万円、老後資金は退職金を含めて700万円です。まず、老後の収入と資産がわかりましたので、次に支出を見てみましょう。
総務省の「家計調査(2023年)」によると、65歳以上の単身無職世帯の平均的な月の支出は約15万7,673円です。
これを基に計算すると、Aさんの年金収入(約14万円/月)では毎月約2万円、年間で36万円の赤字が発生します。老後資金700万円で赤字を補填すると、約20年は持ちます(700万円 ÷ 36万円 = 約19.4年)。つまり、65歳から赤字を補填し続けると、85歳で老後資金は底をつきます。その後は年金だけで生活しなければならず、かなり厳しい生活が予想されます。Aさんの不安は現実となるかもしれません。
定年後も働くのが一般的な時代に
一見、悲観的な見通しに思えますが、実際にはそうとも限りません。現在では、定年退職後も再雇用で働くのが一般的になってきているからです。総務省「高齢者の就業」によると、2023年の65歳以上の就業者数は、914万人と過去最多で、20年連続で増加しているといいます。同じく公表された就業率も、65~69歳は52.0%、70~74歳は34.0%、75歳以上は11.4%と、65歳を超えても働く方は多くいます。2021年には70歳までの雇用継続が努力義務化されており、今後70歳まで働く人も増えていくでしょう。
再雇用で働いている間は収入があり、老後資金を取り崩さずに生活できます。これによって老後資金の寿命を延ばすことができます。また、厚生年金に加入することで、働き続けることで年金受給額も増えます。
65歳まで働いた場合と70歳まで働いた場合の違い
仮にAさんが再雇用で年収300万円を得ながら65歳まで働くとしましょう。この場合、65歳からの年金は「公的年金シミュレーター」によると、年間188万円(月額約15.7万円)に増えます。少し年金が増えますが、生活は依然として厳しいかもしれません。
Aさんが70歳まで年収300万円で働いた場合、65歳からの年金額が段階的に増え、70歳からは年間206万円(月額約17.2万円)になります。これで、家計調査の平均生活費に近づけますが、賃貸の住居費があると依然として余裕のない生活が続く可能性があります。
年金の繰下げ受給でさらに豊かな老後を
年金は通常65歳から受給できますが、60歳から75歳までの間で受け取る時期を自由に選べます。
65歳よりも前に受け取るのを繰上げ受給といいます。繰り上げ受給をすると0.4%の減額になり60歳まで繰り上げると24%の減額になります。
66歳以降に受け取るのを「繰下げ受給」といいます。年金額が毎年8.4%増額されます。もしAさんが70歳まで働き、その間に年金受給を繰り下げると、42%の増額になります。
65歳時点の年金は年間170万円だったのが、70歳まで働き、繰下げ受給することで年間285万円(月額約23.8万円)まで年金額が増額します。
これで70歳以降は生活に余裕ができ、老後資金も減らさずにすむため、この700万円を介護や医療、あるいは住み替えの資金に充てることが可能になります。繰下げ受給によって、より安心で豊かな老後が実現できるのです。このように、計画的に働きながら年金を活用することで、老後の不安を軽減する方法もあります。
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( 長尾義弘)
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