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有望銘柄を意外な安値で仕込めるチャンス? 2024年末のIPOラッシュがバーゲンセール状態と考えられる理由

MONEYPLUS / 2024年11月15日 7時30分

有望銘柄を意外な安値で仕込めるチャンス? 2024年末のIPOラッシュがバーゲンセール状態と考えられる理由

有望銘柄を意外な安値で仕込めるチャンス? 2024年末のIPOラッシュがバーゲンセール状態と考えられる理由

2024年も年の瀬が近付き、「IPO(株式の新規上場)ラッシュ」の季節がやってきました。今年のIPO市場はいま一つ盛り上がりに欠ける状況が続いています。しかし、今年のIPOラッシュでは、有望なIPO銘柄をバーゲン価格で仕込む千載一遇のチャンスとなるかもしれません。今回は、その理由をお話しましょう。


連続の大型新規上場で他のIPO銘柄に資金が回らない可能性

例年、12月はIPOが多いことで知られています。その理由は、「日本は3月に通期決算、5月頃に株主総会が行われるケースが多く、株主総会を終えてからIPO申請を行うスケジュールでは、審査の期間を経て12月にIPOが集中しやすくなる」ため。ほかに、「年末年始は休業する企業が多く、IPOの事務手続きの関係から年内中に上場したいという意図が企業側に働きやすい」ことなどが挙げられます。

IPOの手続きには時間と手間がかかるため、企業としても年末年始をまたぐのは避けたいところ。実際、2014年以降、1年間の総数に占める12月IPOの比率は、新興市場の下落など特殊な要因で件数が少なかった年を除くと、おおむね1年間の総数の2~3割程度と高くなっています。母数が多い分、他の月より株価の大化けが期待される銘柄が散見されるため、個人投資家のIPOに対する注目度も上昇する傾向があるのです。その時期は「IPO祭り」などと呼ばれ、賑わいを見せることもしばしばです。

もしかしたら、2024年はそうしたIPO株を安く買うチャンスかもしれません。というのも、2024年10月~2025年3月にかけて大規模なIPO案件が相次ぐため、1つのIPO銘柄に十分な資金が向かわなくなる可能性があるからです。

IPOへの投資は、将来の大化け株への期待が高まる分野です。それは、将来有望であるにも関わらず、まだ知名度が低く、買おうと考える投資家が少ないため。初値を付けた後に株価が急落する、いわゆる「初値天井」となるケースが少なくないことや、上場後しばらくは株価の値動きが荒くなりがちであることなどから、ハイリスクな投資としても知られています。

IPOによる資金調達額の合計を見ると、日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険という大規模上場があった2015年と、ソフトバンク(※携帯電話事業)が上場した2018年を除くと、おおむね500~1400億円程度にとどまります(年間で数百億円程度の少ない年も珍しくありません)。要は、IPO市場に流れるお金の上限が、だいたい決まっているということ。経済・金融情報大手の米ブルームバーグの集計によると、2014年以降、1000件以上のIPOが行われ、そのうちの90%近くが資金調達額ベースで1億ドル(約150億円)未満にとどまったそうです。小粒な銘柄が多い一方、その年のトレンドに乗っている銘柄に人気が集中するケースも珍しくありません。

有望株を望外の安値で仕込めるかも!?


2024年10月23日に東証プライム市場に上場を果たした東京地下鉄(東京メトロ)の資金調達額は約3500億円と、大規模なIPO案件になりました。10月25日に同じく東証プライム市場に上場した理学機器メーカーのリガク・ホールディングスの資金調達額も、約1300億円と規模が大きくなっています。さらに、2025年3月頃に非鉄大手のJX金属が新規上場を予定しており、こちらも時価総額ベースで7000億円程度、資金調達額も数千億円レベルになることが見込まれています。これに加え、11月8日には半導体大手キオクシアホールディングスも東証に上場申請を行ったと報道されました。こちらも、時価総額ベースで1兆円近い大型IPOになることが予想されます。

この10月以降、大規模なIPOが続くため、IPO市場に出回る資金の多くは、それらの銘柄に吸収されているということです。先ほど述べたように、IPO市場に出回る資金はある程度決まっているため、他のIPO銘柄に向かう資金はかなり削られるでしょう。

仮に、直近上場の東京地下鉄やリガクの株価が上場後も上昇を続け、購入した個人投資家の懐に余裕が生まれる状況になれば、他のIPO銘柄にも資金が回るはずです。しかし、肝心の大型IPO2銘柄の株価動向はいまのところ冴えません。東京地下鉄の株価は、初値こそ公開価格を41.7%上回る1700円とまずまずのスタートとなりましたが、10月25日には1605円まで下落。リガクについても、初値が公開価格を割り込んで始まるなど、やはりいい船出とは言えない状況です。

直近IPOの中では、9月27日上場のAiロボティクスが現在でも公開価格を大幅に上回る株価水準を維持していますが、10月以降は大半の銘柄の株価が低迷を余儀なくされています。これも、東京地下鉄とリガクの2銘柄が他の銘柄への投資資金を吸収した影響が少なからず関係していそうです。12月のIPOラッシュでも、通常ならもっと資金が向かって(買われて)も不思議はないのに、大型IPOの影響によって資金が回らず、株価が評価不足に陥る会社が続出する可能性があります。

上場後しばらくすれば、中長期の業績見通しや会社計画など、ある程度株価を判断する材料が出そろうことで、その会社の実力や将来性に株価が追い付いてくるでしょう。そう考えると、年末のIPOラッシュでは、将来の大化け候補銘柄の「年末大バーゲンセール」開催となるかもしれません。

この原稿を書いている10月末時点では、12月のIPO銘柄は判明していません。ある程度、銘柄が出そろってきた11月中旬~下旬にかけて、有望なIPO銘柄に唾を付けておき、上場後も株価が急騰しない局面が続けば、株価が下落した隙を見計らって押し目買いを狙ってみてはいかがでしょうか。

株価の大化けを1銘柄ピンポイントで的中させるのは困難です。しかし、その「バーゲンセール」中に資金を数銘柄に分散しておくことで、将来の大化け株を“望外の安値”で拾うことができるかもしれません。IPO市場の需給が悪いいま、爪を研いでおくべき期間でしょう。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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(新井奈央)

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