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西の「京阪」東の「相鉄」、インバウンドで好調な中堅鉄道会社の決算&株価騰落率を比較

MONEYPLUS / 2024年11月14日 7時30分

西の「京阪」東の「相鉄」、インバウンドで好調な中堅鉄道会社の決算&株価騰落率を比較

西の「京阪」東の「相鉄」、インバウンドで好調な中堅鉄道会社の決算&株価騰落率を比較

2024年は、3月、6月、11月と3度、関西方面へ出かけ、その都度、大阪・京都の外国人観光客密度の高まりを感じました。株式市場の投資テーマとしてのインバウンド銘柄は、散々物色されており、いっときの熱狂は若干落ち着いた感があります。

とはいえ、国を問わず世界各国から訪れる人たちを見ていると、今後もじりじりと海外旅行者数は増え続けるであろうと確信を持っています。観光地の賑わいを見るたび、やはりインバウンド銘柄は、何か長期保有しておきたいという投資家魂がうずうずします。

直近11月に関西を訪れたときは、大阪から京都まで京阪電車で移動しました。というのも、極めて個人的な事情ですが、京阪電車を借り切って行われるイベントに参加したためです。そこで初めて乗車したのですが、地元の友人曰く、京阪ではよくそういったイベントが行われているとのこと。大阪から京都までは貸切でしたが、復路は一般車両に乗車。そこで感じたのは、私鉄にもかかわらず外国人が多いこと。

JR各社はインバウンド銘柄として早くから目をつけられていましたが、私鉄となるとそこまで規模が大きくないため、案外見過ごされているように思います。考えてみれば、インバウンド客は、せっかく日本に来たからには、大阪と京都、どちらも訪れたいと思うでしょう。大阪と京都を結ぶ京阪電車を利用する人が多いのも納得です。

そこで、さっそく京阪電車を調べてみました。


京阪ホールディングスの決算は?

運営するのは京阪ホールディングス(9045)、時価総額3,800億円の中型株になります。京阪電車を含む運輸業の売上比率は、前年度実績で27.7%。当社の稼ぎ頭は、売上比率43.3%を占める不動産業です。関西圏を中心としたマンションや戸建の販売、「OMM」「京阪淀屋橋ビル」などの賃貸用オフィスビルの運営管理、さらに沿線を中心に商業施設や物流施設「淀ロジスティクスヤード」の賃貸を手がけています。

そのほか京阪百貨店や、京阪モールなどのショッピングセンターを運営する流通業、大阪・京都・滋賀を中心としたホテル、琵琶湖のクルーズ船、ニデック京都タワーなどのレジャー施設を提供するレジャー・サービス業、それらに含まれないその他を合わせて5事業部からなっています。

コロナ以降、伸び率を上げているのは、やはりインバウンドの影響が濃いレジャー・サービス業と運輸業です。とくにレジャー・サービス業においては、2021年3月期の売上高約97億円に対して、24年3月期は約350億円まで拡大しており、コロナ前を上回っています。運輸業に関しては、2020年3月期が約933億円で、24年3月期は890億円ですので、もう少しといったところ。

ちなみに会社四季報秋号の記事欄には「訪日客需要でホテルは稼働率・客室単価の上昇続く。鉄道はレジャーなど定期外堅調、バスも観光利用伸びる」とあります。

11月8日に発表された2025年3月期第2四半期の決算を見てみましょう。

画像:京阪ホールディングス「2025年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)

①売上高158,374(百万円)②前年同期比+18.3%、③営業利益22,757(百万円)、④前年同期比+32.5%。営業利益の中間予想は20,100(百万円)でしたから、13%以上の上振れ着地となります。

決算説明資料によると、運輸業の営業利益は前年比+16.1%、レジャー・サービス業は前年比+52.5%と、やはりインバウンドパワーが強いようです。そういえば大阪・京都ともに宿泊したホテルは、見かけた限りは、わたし以外、全員外国人客でした。

決算発表と同時に、通期予想の上方修正をし、過去最高益予想を上乗せ、さらに株主優待制度の拡充、自己株式の取得、加えて配当性向30%程度とし、持続的な増配をめざすという資本政策の見直しを発表し、株式市場へサプライズを与えました。

翌営業日の株価は、14%と大きく上昇しています。営業利益の通期予想に対する進捗率は58%と、前年の50.6%を上回っていることを考慮すると、さらなる上方修正期待もでき、なかなか魅力的です。

東の相鉄ホールディングスの決算は?

せっかくなので、関東圏で比較できる銘柄はないかと調べたところ、神奈川地盤の相鉄ホールディングス(9003)がよいライバルとなりそうです。

時価総額は、2,470億円と京阪ホールディングスよりやや小粒ですが、不動産業、運輸業、流通業、ホテル業と事業部の構成がほぼ同じです。中核となるのは、横浜ー海老名間を結ぶ相鉄線で、横浜市民の足として重要な役割を担っており、運輸セクターの売上高は、2020年3月期の数字まですでに回復しています。また、ホテルセクターも、インバウンド客需要で、客室単価、稼働率ともに上昇しており、こちらもコロナ前の売上高を超過。

画像:相鉄ホールディングス「2025年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)

10月31日に発表された2025年3月期の第2四半期決算は、①売上高148,374(百万円)②前年同期比+19.4%、③営業利益21,862(百万円)、④前年同期比+67.1%と、売上、営業利益とも、京阪ホールディングスと非常に近い数字です。

内訳をみると運輸業の営業利益は、前年比+28.5%、ホテル業が前年比+53.7%とやはりインバウンドパワーがみなぎっています。こちらも同時に通期予想の上方修正と増配を発表しており、大手だけでなく、中堅どころの鉄道会社も潤っていることがわかります。

株価騰落率は両社ともに同じ

画像:Trading Viewより

業績好調ではありますが、2024年に入ってからの株価騰落率は、両社ともほぼ同じ-8%です。直近の決算後に、株価が急上昇し、今後そのまま上向きのトレンドを維持できるかが注目ポイント。騰落率では、つねに相鉄HDのほうが上回っていましたが、直近で、逆転しそうなのも見どころです。

個人的には、乗り心地まで体感した京阪電車を推したいところですが、身近な相鉄電車も捨てがたい。商業施設でのイベントが盛り上がる下期でどちらが優位にたつか、見極めたいと思います。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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(藤川 里絵)

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