「変動ではなく固定」「借り換えは早いと不利」 金利と住宅価格が上昇する今、知っておきたい住宅ローンの新常識
MONEYPLUS / 2024年11月20日 11時30分
「変動ではなく固定」「借り換えは早いと不利」 金利と住宅価格が上昇する今、知っておきたい住宅ローンの新常識
国土交通省が公表した不動産価格指数 によれば、2024年7月分は前月比で0.4%下落したものの、前年同月比では3.3% 上昇しており、住宅価格は高い水準で推移しています。
加えて最近では金利も上昇しており、住宅を取り巻く環境はさまざまな変化を迎えています。これまでの考え方を変えるタイミングにあると言えるでしょう。今変化している住宅ローンに関する常識を3つあげ、ご紹介します。
1. 住宅ローン減税は全面的に新築有利→環境性能を満たさない新築住宅は不利
住宅ローンを利用して住まいを取得した場合に一定の要件を満たすことで利用できる住宅ローン減税ですが、2022年の税制改正により新築住宅に適用される要件が大きく変更されました。
2021年までは新築住宅であれば、認定住宅を除き一律の住宅ローン残高限度額(4,000万円※認定住宅は5,000万円)と13年の控除期間が設けられていました。しかし2022年以降は以下のとおり、主に環境性能によってカテゴリが細分化され、残高限度額が徐々に減額、控除期間にも差が設けられました。
画像:国土交通省、国税庁タックスアンサーを参考に著者作成
背景には、法改正により、2025年4月以降すべての新築住宅へ省エネ基準適合が義務化されることや、さらに2030年までにはZEH水準まで適合基準が引き上げられることがあります。
出典:国土交通省「家選びの基準が変わります」
2025年以降は2023年末までに建築確認を受けたことを証明できる場合や、2024年6月末までに竣工済みであることを確認できる新築住宅のみが住宅ローン減税の適用対象となります。
なお、一定の要件を満たす子育て世帯・若者夫婦世帯が2024年に入居する場合には、一般住宅を除き、引き続き2022・2023年入居の場合と同様の借入限度額が適用されますが、2025年に入居する場合は、2025年入居の限度額が適用される見込みです。※今後の税制改正によっては、内容が変更になる可能性があります。
2. 住宅ローン借り換えは早いほど有利→早いと不利
これまでの住宅ローンの借り換えであれば、住宅ローンの残高が大きい早期のタイミングほど有利とされていました。しかし、最近では住宅ローン契約の構造が変化しており、早期の借り換えは不利となるケースが出てきました。
民間住宅ローンを利用して住宅を取得する際、以下のような諸費用が必要となります。
・保証料
・印紙税
・団信保険料
・火災保険料
・地震保険料
最近の変動金利型住宅ローンでは、契約当初の保証料の支払いを不要とし、代わりに借入金額に応じた融資事務手数料を契約時に支払ういわゆる「事務手数料型」のものが増えてきています。住宅ローンを契約するのは初めて、という方は多いので、気にされる方は少ないのですが、保証料と融資事務手数料は立て付けが異なるため、その違いを理解しておくことが大切です。
まず保証料は、融資にあたって金融機関を通じて保証会社に支払う費用で、万が一住宅ローン返済が滞った場合に備えて、保証会社で管理されます。保証料を契約当初に支払う「保証料型」では「事務手数料型」よりも金利が高くなるのが一般的ですが、保証料は借入金額と期間、金融機関や保証会社、人によって金額が変わりますし、もし繰上げ返済をした場合には、保証会社所定の利率・計算方法により計算された保証料の返戻を受けることができます(※保証料を前払いした場合)。
一方、融資事務手数料は、文字どおり、融資にあたって金融機関等に支払う事務手数料です。借入金額に定率でかかるのが一般的で、いわば掛け捨てのお金となります。つなぎ融資を利用する場合、二回に渉って必要になる可能性がありますし、審査によっては事務手数料型であっても、保証料の支払いが必要になるケースもあります。
もし事務手数料型の住宅ローンを選択しているのであれば、短期間で乗り換えをする際には、その構造上、支払う融資事務手数料の分、総返済コストがかさむ可能性があります。早期のタイミングでの借り換えは、利息負担額のほかのコストも含めた総返済負担額でみると、損となる可能性があります。
3. 金利タイプは変動金利型→固定金利型
住宅金融支援機構「2024年4月住宅ローン利用者実態調査」によれば、最近では約7割超の方が変動型住宅ローンを選択しているといいます。これまでは低金利が約20年にわたって継続していましたから、金利は当分上がらないだろうという安心感を持てていました。また、それぞれの構造的な理由から利息額には差がありましたから、住宅ローンの正解は、と問われれば変動型というのが答えだったでしょう。
しかし、金利が着実に上昇している今のタイミングであれば、固定金利型が正解だと言えます。なぜなら、金利上昇局面にある今は、経済が通常モードに戻りつつある時、原点に立ち返るべき時だからです。
住宅ローンを利用することは、お金を借りて家を調達するともいえます。お金を借りる際には必ず利息が必要であり、利払いはいうなれば住宅ローンを利用する際の必要経費です。変動型と固定型の違いは、利払い負担額の決定を先送りするのか、前もって決めるのか、という点です。金利が今後どのような動きをするのか、どの程度上がるのかは誰にもわかりません。金利上昇局面では、利息負担が想定よりも増す可能性があり、利払い負担額の決定を先送りすることはリスクです。
もちろん、さまざまな対策を講じた結果、最終的に変動金利型を選択することは個人の自由です。しかし、変動金利型のリスクも理解しておくべきです。固定金利型だと返済が苦しくなる、という理由で変動金利型を選択するのは、もってのほかです。これから住宅ローンを検討するなら、まずは全期間固定金利型での契約が基本です。
あなたの収入の適正ローンはいくら? お金のプロが家計を無料診断[by MoneyForward]
(内田英子)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
住宅ローンで「元利均等返済」を選ぶと大損する…FPが断言「中古マンション購入でやってはいけないこと」
プレジデントオンライン / 2024年11月14日 15時15分
-
今年ようやく「住宅ローン」を完済! ローンを組んだ頃は「利率4%」でしたが、最近は「1%」ですよね? 3000万円を借りた場合、利息はどれだけ差が出たでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月1日 5時10分
-
45歳会社員、住宅ローンを「変動金利」で返済中です。“短期金利”が上がると聞きましたが、固定金利に借り換えるべきですか?「残高1500万円」ですが、影響はあるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年10月28日 5時10分
-
ここがヘンだよ(!?)日本の住宅ローン 国際比較から見る日本特有の事情とは…メリットと注意点を専門家が解説
まいどなニュース / 2024年10月23日 19時50分
-
財形住宅融資とは?一般の住宅ローンと何が違うの?
オールアバウト / 2024年10月23日 19時30分
ランキング
-
1「漢字で『既に』と書くのはマナー違反」SNSに蔓延する“謎マナー”を専門家がジャッジ
週刊女性PRIME / 2024年11月20日 7時0分
-
2「納豆」の食べ方を、もっと“スマート”に! フィルムの取り方3選をJA全農が紹介
オトナンサー / 2024年11月19日 19時10分
-
3カップヌードル、約1割が“アレ”を入れて食べがちと判明 ギャル曽根も「すごい好き」
Sirabee / 2024年11月19日 4時30分
-
4“執事”が明かす、超富裕層たちの意外すぎる日常。一般人との出会いは皆無、結婚相手で多いのは
日刊SPA! / 2024年11月19日 15時53分
-
560歳代おひとりさまの「平均貯蓄額」はいくら?
オールアバウト / 2024年11月19日 21時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください