「インデックスファンドはどの運用会社のファンドを買っても大差はない」は誤解
MONEYPLUS / 2024年11月20日 7時30分
「インデックスファンドはどの運用会社のファンドを買っても大差はない」は誤解
「インデックスファンドなら、どの運用会社のファンドを買っても大差はない」と思っている方は多いと思います。でも、決してそんなことはありません。インデックスファンドでも、運用会社を選ぶことは大切です。その理由をご説明しましょう。
100%連動するわけではない
まず運用成績について考えてみたいと思います。
インデックスファンドは、日経平均株価やTOPIX、あるいはS&P500といったインデックスに対して高い連動を目指し、運用する投資信託のことです。そのため、連動させる指標が同じなら、運用会社が違ったとしても、運用成績に差は生じないと言われています。
運用成績は高いに越したことはありません。が、インデックスファンドの場合、アクティブファンドとはかなり事情が違います。
アクティブファンドであれば、運用哲学や、それに基づいて選別した投資先企業の違いによって運用成績には差が生じますし、運用哲学の正しさを証明するうえで、運用成績は重要な意味を持ちます。
つまり運用成績は、アクティブファンドの良し悪しを判断するうえで、重要なファクターになり得るわけですが、インデックスファンドの運用哲学は、運用会社が違ったとしても同じです。それは、「連動目標とするインデックスに対して、運用成績を限りなく近づけること」です。
こうしてインデックスファンドを運用する運用会社は、連動目標とする指標に対して、運用成績を限りなく近づけるための努力をするわけですが、いくつかの事情があり、必ず100%連動するとは限りません。インデックスファンドで運用する人は、この点に留意しておく必要があります。
インデックスファンドでもコストはかかる
なぜ100%連動しないのでしょうか。
まずコストの問題です。「インデックスファンドは運用の手間暇がかからないからコストがかからない」などと言われますが、コストゼロというわけにはいきません。インデックスファンドにも運用者はいますし、資金の流出入に応じて組入銘柄を売買する際の手数料もかかります。海外のインデックスに連動するタイプなら、組入有価証券等を海外に保管するための保管料、さらに連動目標となるインデックスを算出しているインデックスハウスに対して支払うライセンス・フィーもかかります。
次に、コストと関わってくる問題ですが、インデックスファンドは常時、連動目標となるインデックスの採用銘柄と同一のポートフォリオで運用されるわけではありません。全銘柄を購入するには相応の資金が必要であり、かつ売買頻度が多くなることから、結果的に運用コストが高くなってしまいます。
そのため、少ない銘柄数で連動目標となるインデックスとほぼ同じ動きをするポートフォリオのモデルを組んで運用するのが一般的です。このモデルの出来、不出来によって、インデックスファンドといえども、リターンに差が生じてくるのです。
つまり、同一のインデックスに連動することを目指しているインデックスファンドでも、運用会社が違えば、リターンに差が生じることもある、ということです。
運用の継続性に注意
もう1点、注意しなければならないのは、運用の継続性の問題です。インデックスファンドも、その運用によって運用会社は収益を得ていますから、儲からなくなったものをいつまでも運用し続ける理由はありません。当然、儲からないとなれば、繰上償還の措置を取ります。
簡単にいえば、残高の小さいインデックスファンドは早晩、繰上償還されるリスクがある、ということです。特に長期投資を前提にしてインデックスファンドを購入する人は、純資産総額の小さいインデックスファンドは避けるのが無難です。
それと同時に、これから問題化するのが運用会社自体の経営の継続性でしょう。先日、PayPayアセットマネジメントが、2025年9月に事業を終了させると発表しました。理由は、運用資産が順調に積み上がらず、5期連続で赤字を計上することになったからです。
現時点でも、PayPayアセットマネジメントより運用資産の少ない運用会社は結構存在します。長期投資を前提にするのであれば、ファンドの運用資産規模だけでなく、運用会社の経営の継続性にも配慮する必要があります。
ファンド自体の運用の継続性、そして運用会社の経営の継続性という点を考えると、どの運用会社のインデックスファンドを買っても同じ、とはなかなか言いにくいところがあります。やはり運用会社は選ぶ必要があります。
ただ、救いなのはインデックスファンドだという点でしょう。仮に自分の持っているファンドが繰上償還、あるいは運用会社が事業を終了させることになったとしても、他の運用会社でほぼ必ずといっても良いと思いますが、同一のインデックスに連動するインデックスファンドを運用しています。それに乗り換えれば良いのです。
アクティブファンドだとそうはいきませんが、このように、いざと言う時の乗り換えが効くという点でも、インデックスファンドは使い勝手が良いと考えられます。
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(鈴木雅光)
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