次の食品ブームは「焼き芋」? 個人投資家が【ドンキ】に目を付けた理由
MONEYPLUS / 2024年11月21日 7時30分
次の食品ブームは「焼き芋」? 個人投資家が【ドンキ】に目を付けた理由
グラノーラ、タピオカ、高級食パン…。こういった食品ブームが起こったときには、必ずといっていいほど株価が暴騰する銘柄があります。
グラノーラはカルビー(2229)、タピオカは神戸物産(3038)、高級食パンは、OSGコーポレーション(6757)。ブームの恩恵を受ける銘柄をいち早く見つけた先回り投資は、投資家冥利につきます。
じつは今、次の食品ブームがじわじわと起きています。それに気づいたのは、6月に発売された四季報夏号のイーサポートリンク(2493)の記事欄でした。「【開拓】農業支援は東南アジアの焼き芋ブームでサツマイモ販売に注目」とあり、「焼き芋ブーム?」とページをめくる手が止まりました。
アジアに広がる焼き芋ブーム
イーサポートリンクは、生鮮青果の流通業界向けに生産物のデータ管理、受注、売り掛け・買い掛け管理等の業務代行システムを行う開発会社で、イオングループ向けに強いのが特長です。メインの事業はオペレーション支援ですが、サブの農業支援事業で、焼き芋ブームに目をつけたようです。ただ、当社は時価総額50億円に満たない企業なので「へぇ~」程度で流していたのですが、最近、ドン・キホーテの焼き芋がめちゃくちゃ売れてる!というYouTube動画を発見し、やっぱり来てるのか!!と慌てて調べてみました。
じつはドン・キホーテは、10年以上前から焼き芋の販売をしていますが、最近は、10分に100本ベースで売れ、年間約12.3億円(2023年1~12月国内実績)売れるヒット商品となっています。その理由は、海外旅行者の焼き芋ラブ!があるようです。ドン・キホーテで扱っている焼き芋は、ねっとりと甘い「紅はるか」を使用していますが、海外ではこれほど甘いさつまいもはないため、その甘さに驚きを感じるようです。
さらにドン・キホーテでは、焼き芋関連のPB商品として、「焼き芋のお酒」「焼き芋アイス」「焼き芋大福」「焼き芋スプレッド」などを投入。2024年9月には、「紅はるか」をペースト状にし、タルト型の乗せた「焼き芋タルト」を発売し、大人気となっています。
焼き芋ブームは、日本だけではなく、タイやシンガポールなどアジアにも広がっています。その火付け役は、やはりドン・キホーテ! 海外では「DON DON DONKI」という名前で展開しており、シンガポールでは行列ができるほどで、国内の1店舗あたりの平均の15倍の本数を売り上げたこともあるそうです。
日本では焼き芋といえば、寒い季節に食べるイメージなので、タイやシンガポールなど暑い国でも人気なのは不思議な気がしますが、そんな常識にとらわれずヒットさせるドンキはさすがです。
余談ですが、現在の焼き芋ブームは、なんと第4次ブームで、第1次ブームは、文化・文政期(1804年)から明治維新(1868年)まで、第2次ブームは、明治時代~関東大震災(1923年)まで、第3次ブームは、第2次世界大戦後1951年に石焼き芋の「引き売り屋台」が考案されたところから、ファーストフードが登場する1970年まで。そして、現在の第4次ブームに至ります。このブームが、どこまで拡大するか。わたしの肌感では、原宿の竹下通りに焼き芋専門店ができたら、ですが、今のところまだ、のようです。
ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナル(7532)は、年間売上高が2兆円を超す大企業ですので、焼き芋のヒットが全体に及ぼす影響はそれほど大きくありません。株価が、焼き芋ブームで10倍になるかといわれれば、さすがにそれはイメージしづらいというのが本音です。ただ、焼き芋を目当てに店舗を訪れた人が、ついでにいろいろ買っていくことで、全体の売り上げが伸びるということは十分に考えられそうです。
上場以来、右肩上がりの「ドンキ」
パン・パシフィック・インターナショナル(7532)の業績の推移を確認すると、なんと驚いたことに、2024年6月期で、35期連続増収続増益です。今期25年6月も、予想では前年を超えますので、36期連続で過去最高の数字を更新することになります。コロナ禍ですら減益していないなんて、恐ろしい実力の持ち主です。
あらためてドンキの魅力を考えてみると、逆張り経営にあることが分かります。まず、他の小売店が閉店する時間帯に営業をするナイトマーケットを導入していること。これは、夜のエンタメが少ないといわれる日本において、インバウンド客が遊べる数少ない場所となり、優位性があります。
そして、敢えてお客さんが、商品を発見しづらいようにぎゅうぎゅうに陳列し、宝物さがしのようなワクワク感を与え、衝動買いしやすい仕掛けとなっているのも中毒性があります。
国内では、2025年1月に高知店をオープン予定で、それによりドン・キホーテの全都道府県制覇が達成されます。となると国内よりも海外での展開が期待されますが、現状、当社の海外売上比率は16%程度ですので、拡大余地はまだまだありそうです。
焼き芋のみならず、細かいヒット商品をたくさん生み出すことで、リスク分散をしながらトータルで成長してきた当社が、今後、どこまで連続で拡大していけるのか興味深いです。
株価は1996年の上場以来、株価は上げ下げをしながらも右肩上がりを続けています。TVCMに世界的スターのブルーノ・マーズを起用したことからも、当社の世界進出への野望が見え隠れします。なんとかショックといった相場全体が大きく下がったときには、つかさず拾ってホールドしておきたい銘柄です。
※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。
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(藤川 里絵)
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