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iDeCoの掛金拠出限度額が20,000円に引き上げ 年収600万円の場合どのくらい節税になる?

MONEYPLUS / 2024年12月3日 7時30分

iDeCoの掛金拠出限度額が20,000円に引き上げ 年収600万円の場合どのくらい節税になる?

iDeCoの掛金拠出限度額が20,000円に引き上げ 年収600万円の場合どのくらい節税になる?

2024年12月より、iDeCoの掛金拠出限度額が12,000円から20,000円に引き上げられます。この月々8,000円の拠出額の上限引き上げは年間96,000円の控除額の増となり大きな節税効果が期待できます。今回は、対象となる方、掛金増額のメリットと留意点を解説します。


掛け金増額の対象となるのは?

iDeCoの月々の掛金上限額は年金の被保険者区分によって異なります。さらに第2号被保険者である会社員、公務員については、勤め先に企業年金があるのかないのか、またある場合企業年金の種類によっても掛金が異なります。

今回、掛金上限額が引き上げられるのは、企業型確定拠出年金以外の「確定給付型の他制度」がある方でiDeCoに加入している方です。これまでの掛金上限が12,000円だった方となります。

公務員や私学共済に加入している方の場合、平成27年の被用者年金の一元化の際に、職域部分が廃止され、退職等年金給付制度が創設されました。この退職等年金給付制度がいわゆる「確定給付型の他制度」です。

会社員であれば、厚生年金基金やDBと呼ばれる確定給付企業年金が「確定給付型の他制度」にあたります。

厚生年金基金は2014年以降新設が認められていませんし、多くの基金が解散や確定給付企業年金(DB)あるいは企業型確定拠出年金(DC)に移行しましたので、会社勤めの方の場合今回の改正はDBに加入している人と理解しても良いでしょう。

勤め先に「確定給付型の他制度」がある方は、以前よりiDeCoの併用加入も可能でしたが月の掛金上限額は12,000円でした。「確定給付型の他制度」のない会社にお勤めの会社員の月の上限額は23,000円ですからずいぶんと少ない印象だったでしょう。以降は、「確定給付型の他制度」をDBと表記しその理由を解説します。公務員、私学共済の方もDBを参考に読み進めてください。

単純にiDeCoの掛金を20,000円にできるわけではない

これまでの12,000円という掛金は、DB制度があるような恵まれた会社に勤めているのだから、節税ができるiDeCoの枠は小さくても良いでしょうという解釈のもと設定されていました。DBは、確定給付企業年金、つまり将来の給付額が確定している企業年金です。掛金を加入者が運用し、その運用成果によって将来の金額が変動する確定拠出年金とはそもそも考え方が異なる制度です。このように会社が予め準備してくれている企業年金があるのであれば、自助努力としての税制優遇制度はそれほど必要がないだろうというのが、iDeCoの拠出限度額が少額に設定された理由でした。

それがこの数年、「DBって本当に充分な額が用意されているのだろうか?」といったような疑問がなげかけられるようになり、議論が進められました。

例えば企業型確定拠出年金制度において、企業が従業員に対し拠出できる掛金上限は法律により月55,000円までと設定されています。一方DBとDCが併用されている会社では、企業型確定拠出年金(DC)の掛金拠出上限は27,500円と半分になります。これはすなわちDBに27,500円分の価値があるから、併用した場合は単独の場合より少なくしないとバランスが悪いという判断だったのです。

しかし、実態はというと、会社によりずいぶんと事情が異なり、必ずしも27,500円分もの拠出が行われているところばかりではないことが分りました。そのため、企業年金としての全体枠を55,000円とし、その内訳を実態に即したものとしようという考えが進み、今回の改正となったのです。

つまり、今回20,000円に増額というのは、単純にiDeCoの掛金を20,000円までできるということではなく、月額55,000円 – 他制度掛金相当額 – 企業型DCの掛金額 (ただし、上限20,000円)となります。

では、この「他制度掛金相当額」とはなんでしょうか? 恐らく初めて聞いた方が多いのではないでしょうか。厚生労働省では、これを「DB等の給付水準から企業型DCの事業主掛金に相当する額として算定したもの」と説明しています。なんだかわかりにくいですね。

もう少しかみ砕いていうと、今回の制度変更にともない、DBの掛金をDCの掛金に置き換えたらいくらになるのかを定められたルールにのっとり算出したものとなります。

DBは、大きな集団として管理運用しています。そのためひとりひとりの掛金がいくらなのかという概念はあまりないのだそうです。一方、企業型DCは掛金を会社が拠出した段階で加入者の口座に移され運用されるので個別に掛金もわかれば残高もわかります。

今回の改正では、iDeCoの掛金はDCとDBの掛金に影響されます。そのため、これまで個別に提示する必要がなかったDBの「掛金相当額」を、ルールを決めて算出したのです。DBは会社毎に異なる制度ですから、この他制度掛金相当額も会社毎に異なります。恐らく現時点で、該当する皆さんには「他制度掛金相当額」が提示されていることでしょう。

この金額は、一旦決まったらずっとそのままではなく、DB事態が実施する財政検証、つまり財政状況の定期チェックの際に変わることもあるようなので、会社からの通知は注意しておくようにすると良いかも知れません。

このような場合はどうなる? iDeCoの拠出可能額を検証

では、他制度掛金相当額が15,000円のケースでは、iDeCoで拠出できる金額はいくらになるでしょうか?

55,000円-15,000円=40,000円 ただし20,000円が上限ですからこの場合20,000円となります。

ちなみに、国家公務員共済組合・地方公務員共済組合の場合、他制度掛金相当額は8,000円と発表されているので、2024年12月以降の掛金拠出限度額は、55,000円 – 8,000円=47,000円ですから、2万円までiDeCoの掛金拠出が可能だとなります。

DBとDCどちらにも加入している場合はどうでしょうか? 今度はDBの他制度掛金を14,000円、企業型DCの掛金を8,000円としてみましょう。計算式は、55,000円-14,000円-8,000円=33,000円 ただし20,000円が上限ですから、この場合もやはりiDeCoの掛金は20,000円となります。

いずれも最大で拠出できる額は8,000円の増額ですから、年収600万円くらいの方であれば、年間96,000円が新たに控除額増額となり、おおよそ所得税で9,800円、住民税で9,800円、合計19,200円の節税額の増額となります。資産形成を拡大しつつ、さらに節税も、となるとこれはダブルでうれしいですね。

企業型DCに加入している場合は、会社にマッチング拠出制度がある場合もあるでしょう。その場合、iDeCoを併用するのか、マッチング制度を活用するのかどちらか一方を選ぶ必要があります。例えば上記の例であれば、マッチングを選ぶと個人が拠出できる金額は会社からの掛金額を上回ることができず、8,000円が上限となります。もしご自身の掛金をもっと増やしたいという方であれば、マッチングではなくiDeCo併用を選んだ方がご自身のニーズに合っています。

今回の制度改正を機に、あらたにiDeCoへの加入を検討される方もいるでしょう。会社員の場合、iDeCoへ新規加入するときに会社から証明書をもらわなければならないなど、その事務手続きが煩雑だと不評の声がありました。しかし、ここでも改善がすすみ、事業主証明書が2024年12月より廃止されることになりましたので、以前より手続きが簡単になっているはずです。

iDeCoへの拠出ができなくなる場合も…

ここまででお伝えしたように、12月のDC制度改正は多くの方に、歓迎すべき展開となっています。しかし、まれに他制度掛金相当額が高額でiDeCoの掛金が増額できないばかりか、iDeCoへの拠出ができなくなる方がいるので最後にご紹介します。

例えば、DBの掛金相当額が51,000円だったとしましょう。すると、55,000円-51,000円=4,000円となり、iDeCoの最低掛金の5,000円を下回ってしまいます。すると、たとえこれまでiDeCoに併用加入していたとしても新規の積立はできなくなります。iDeCoの資産残高が25万円以下であるなど要件を満たした場合は脱退一時金が認められますので、運営管理機関に相談してみましょう。

2024年1月にはNISAが改正され、同年12月にはiDeCoの改正が実施され、私たちの資産形成を応援する仕組みがどんどん拡大しています。ご自身の将来設計を改めて考え、上手に制度を活用するようにしていきましょう。参考になりましたら幸いです。

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(山中 伸枝)

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