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都内で暮らす60代夫婦の平均年収や貯蓄額、生活費はいくら?【2024年版】

MONEYPLUS / 2024年12月24日 7時30分

都内で暮らす60代夫婦の平均年収や貯蓄額、生活費はいくら?【2024年版】

都内で暮らす60代夫婦の平均年収や貯蓄額、生活費はいくら?【2024年版】

60代は他の世代と打って変わり、生活スタイルが人によって多様化していきます。仕事では、現役でバリバリ働く人もいれば、ペースをおさえて働く人、またリタイアする人もいるでしょう。

プライベートでは、子どもが大学院に進学するなど教育費がかかる家庭もあれば、就職して家にお金を入れる家庭もあります。あるいは、医療費や介護費がかかる家庭もあるでしょう。

今回は、都内で暮らす60代夫婦の平均年収や貯蓄額、生活費について見ていきます。60代夫婦の暮らしは多様ですから、どの家庭も平均値のとおりとはいきません。ただ、平均値との違いから、家庭ごとのバランスが見えてくるのではないでしょうか。


東京都60代夫婦、世帯年収の平均は約244万~731万円まで幅広い

都内に住む60代世帯の年収は、世帯主が働いているかどうかで大きな違いがあります。また、公的年金の受け取りは基本的に65歳からなので、60代前半と後半の違いも小さくありません。

60代前半・勤労世帯の平均年収は、約731万円

まず、世帯主が働いている、勤労世帯から見ていきましょう。東京都の「都民のくらしむき」(東京都生計分析調査報告2023年)によれば、60代前半の勤労世帯の1カ月の収入は、世帯主が月約44万9000円、配偶者が月約7万7000円、その他が月約4万6000円、社会保障給付が月約3万7000円、合計で月約60万9000円。年収にして約730万8000円です。

<世帯主が60~64歳の1カ月の収入(東京都・勤労世帯)>

画像:「都民のくらしむき」東京都生計分析調査報告(2023年)より筆者作成

世帯主の収入は、役職などについている現役世代としての収入と思われる金額です。配偶者も働いていますが、金額は補助的なものです。その他の収入は、配偶者以外の家族の収入、保有している不動産の家賃収入、副業収入などです。

60代は、子どもが成長し就職する年代になります。生活費としてお金を入れるようになると、家計にも余裕が生まれます。

60代後半・勤労世帯の平均年収は、約547万円

会社員の場合、定年退職後に再雇用制度などで慣れた職場で働き続けることができます。とはいえ、収入の減額は避けられません。それは、転職をしても同様でしょう。

世帯主が65歳以上になると、世帯全体の収入が大きく減少します。内訳は、世帯主が月約23万5000円、配偶者が月約4万4000円、その他が月約4万円、社会保障給付が月約13万7000円、合計で月約45万6000円。年収にして約547万2000円と、60代前半の年収と比べると25%減です。

<世帯主が65〜69歳の1カ月の収入(東京都・勤労世帯)>

画像:「都民のくらしむき」東京都生計分析調査報告(2023年)より筆者作成

60代後半になって、収入が一気に減ると家計のバランスも崩れがちです。世帯主の減収分を配偶者が補う、といったスタイルは平均値からは読み取れません。世帯主同様、配偶者も年齢を重ねますので、無理なく続けられる働き方を選ぶようになるのかもしれません。

そのかわり、社会保障給付が増えています。仕事をしていても「在職老齢年金」は受け取れます。老齢年金は最大75歳まで繰り下げられますが、家計のバランスを総合的に考えて受け取り方を決めるといいでしょう。

在職老齢年金とは、給与や賞与の金額に応じて、厚生年金額が減額されたり、ゼロになったりする、厚生年金の制度です。対象は、老齢厚生年金の月額と月給・賞与(直近1年間の賞与の1/12)の合計が50万円を超える人です。

なお、在職老齢年金は減額となる基準額を引き上げか、制度の廃止が検討されています。従来より働きやすくなれば、もっと働いて収入をあげたいと思う人も増えるのではないでしょうか。

勤務先からの収入が多ければ、老齢年金の必要性は小さくなるかもしれませんが、たくさん働いたらかえって損だと感じて、あまり働がないように調整する人も少なくありません。
しかし、見直しがされて働きやすくなったら、収入アップにつながりそうです。

65歳未満・無職世帯の平均年収は、約244万円

早期リタイアなどで、60代前半で無職世帯の家庭もありますが、老齢年金の給付を受ける場合、減額されての受け取りになりますので収入面では厳しい面があります。

つまり、世帯主が無職の場合、老齢年金を受けとっても家計は厳しくなりがちということです。
世帯主の勤労収入はありませんが、配偶者の収入が月約6万2000円、その他が月約9万3000円、社会保障給付が月約9万3000円、合計で月約20万3000円。年収にして約243万6000円、60代前半・勤労世帯の3分の1です。

<世帯主が60~64歳の1カ月の収入(東京都・無職世帯)>

画像:「都民のくらしむき」東京都生計分析調査報告(2023年)より筆者作成

65歳以上・無職世帯の平均年収は、約286万円

60代後半になると老齢年金を受け取る人が増えますので、社会保障給付は60代前半と比べると増えます。ただし、配偶者の収入やその他の収入は減っていて、全体としての収入は少し増える程度にとどまります。

65歳以上・無職世帯の収入は、配偶者の収入が月約1万2000円、その他が月約3万4000円、社会保障給付が月約19万2000円、合計で月約23万8000円。年収にして約285万6000円です。

<世帯主が65〜69歳の1カ月の収入(東京都・無職世帯)>

画像:「都民のくらしむき」東京都生計分析調査報告(2023年)より筆者作成

長く働き続けることは、さまざまな面でメリットがあります。60代後半・勤労世帯と比べると、社会保障給付は月約5万5000円も多く受け取っていますが、夫婦の収入には大きな違いがあります。

世帯主の収入が無いだけではなく、配偶者の収入も約4分の1に減っています。そのため、月の収入合計では、60代後半の勤労世帯と比べて約半分になります。

働かない選択をする場合には、年金と預貯金による準備がどのくらいできているか、しっかり確認する必要があるでしょう。このタイプの家計では、月あたりの収支では赤字です。赤字分は預貯金の取り崩しなどで補う必要があります。

無職世帯の赤字は、65歳未満で約11万8000円、65歳以上で約5万2000円です。

60代世帯の平均貯蓄額は2026万円

次に、60代の平均貯蓄額を見てみましょう。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)2023年」によれば、平均貯蓄額は、約2026万円です。

<60歳代の平均貯蓄額>

画像:「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)2023年」より筆者作成

ただし、平均値は単純な合計金額をデータ数で割った数値です。より実態に近いと言われる中央値では、700万円です。平均値とかなりの差がありますが、これは貯蓄のない「金融資産非保有」の世帯と、高額な貯蓄を持つ世帯の二極化が進んでいるためと考えられるでしょう。

リタイア後の生活を安心しておくるためにも貯蓄は大切です。前述のように、無職世帯の月あたりの収支は赤字です。働きたくても、健康や家庭の事情などにより、仕事から離れざるを得ない場合も考えられます。もしもの時の備えとして、貯蓄の習慣はコツコツと続けていきたいですね。

生活費は1カ月平均約26万3000円~35万円

老齢年金を受け取るのは基本的に65歳なので、収入面では60代前半と後半で大きな差がありました。また、仕事をしているかどうかも大きく影響しました。働く60代前半世帯の収入に比べると、無職世帯は3分の1の収入でした。しかし、生活費を見てみると、そこまで大きな差は見られませんでした。

60〜64歳・勤労世帯の生活費は、平均で約35万円

東京都の「都民のくらしむき」(東京都生計分析調査報告2023年)によれば都内で暮らす60代前半・勤労世帯の生活費は、月約35万円です。

<東京都勤労世帯の生活費(世帯主60~64歳)>

画像:「都民のくらしむき」東京都生計分析調査報告(2023年)より筆者作成

60〜64歳・無職世帯の生活費は、平均で約30万2000円

一方、無職世帯はどうでしょうか。65歳未満の無職世帯の生活費は月約30万2000円。これは、同世代の勤労世帯より少ないものの、その差は約5万円です。毎月の収入がなくても貯蓄などでしっかり生活できている、そんな暮らしぶりが見えてくるようです。

<東京都無職世帯の生活費(世帯主60~64歳)>

画像:「都民のくらしむき」東京都生計分析調査報告(2023年)より筆者作成

65~69歳・勤労世帯の生活費は平均で約33万2000円

東京都の勤労世帯の生活費は、約33万2000円です。60~64歳の勤労世帯よりは少なくなっていますが、65~69歳無職世帯よりは高い金額です。働いていると、お金を使うことに抵抗感は感じにくくなりますが、それでも70代以降の暮らしを考えると、もう少しサイズダウンした家計にしたいところではないでしょうか。

<東京都勤労世帯の生活費(世帯主65~69歳)>

画像:「都民のくらしむき」東京都生計分析調査報告(2023年)より筆者作成

65〜69歳・無職世帯の生活費は、平均で約26万3000円

65歳以上の無職世帯の生活費は、月約26万3000円です。食費は少なめ、教養娯楽費も少なめ、子どもが成長して教育費はかからず、全体的にコンパクトな家計です。60代は仕事や家庭の状況が大きく変化する時期ですが、行きつく先はこのような家計バランスになっていくのではないでしょうか。

<東京都無職世帯の生活費(世帯主65〜69歳)>

画像:「都民のくらしむき」東京都生計分析調査報告(2023年)より筆者作成

60代は、それまでの暮らしが大きく変わる節目の時期です。仕事、家計、自分や家族の健康など、自分の意志で決められることばかりではありませんが、それまでの人生で培ってきた知見をいかし、乗り切っていただきたいと思います。より自分たちらしい暮らしの実現のため、収入、貯蓄、生活費を改めて見直してみてはいかがでしょうか。

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(タケイ啓子)

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