2025年相場で人気化必至!? 超有望の5大テーマを探る
MONEYPLUS / 2024年12月30日 17時0分
2025年相場で人気化必至!? 超有望の5大テーマを探る
2024年は、年初から半導体関連株が相場を牽引しました。しかし、夏以降はその半導体株が息切れしたことで、日経平均株価の上昇もストップします。その後は、日米の選挙や中央銀行による金融政策が全体相場を翻弄。年後半は、中東での地政学リスクの高まりや世界各国の政変など相場の波乱要因が多く、日本の株価も不安定な動きが続きました。しかし、1年を通してみると、日経平均株価は年初の3万3000円から4万円を大きく超える水準まで上昇するなど、総じて好調といえる年でした。
当然ですが、株式相場は2025年も動きを止めることはありません。その動きの中で、数多くの注目テーマが生まれ、そして消えていくことになるでしょう。それでは、2025年はどんな相場テーマが人気化するのでしょうか。今回は「2025年注目の相場テーマ」を探っていきたいと思います。
2025年注目の相場テーマを列挙
この原稿を書いている時点で、すでに「2025年の注目テーマ」という表題のレポートや記事などが多数出ています。まずは、それらで挙げられている数多くのテーマを列挙してみましょう。
②地方創生(+インバウンド)
③軍事・防衛
④データセンター→電力・エネルギー
⑤内需関連株
⑥半導体
⑦ペロブスカイト型太陽電池
⑧暗号資産
⑨自動運転
⑩宇宙開発
⑪インフレ・利上げ
⑫円安メリット
⑬量子コンピューター
⑭生成AI
⑮東証改革・市場再編
これらの15のテーマの中には、2024年(あるいはそれ以前)から有望テーマとして関連株が人気化したテーマや、一時下火になったものの、2025年に再び脚光を浴びそうなテーマが少なくありません。もっとも、すべてのテーマについて注目理由や有望度などを一つ一つ解説していくと、いくら筆を動かしても足りないので、今回は上記①~⑤の「個人的に注目度の高いテーマ5つ」に絞り、その注目理由と有望度を簡潔に述べたいと思います。
注目は「メインテーマ+α」
①利上げ関連
まずは、利上げ関連。2024年は、3月に日銀が政策金利の引き上げ(利上げ)を行い、日本経済は17年ぶりに「金利のある世界」に復帰しました。これをきっかけに、金利を上乗せして貸し出すことで稼ぐ、いわゆる「利ザヤビジネス」が復活するとの見方から、メガバンクを中心に銀行株が人気化。年央は、日銀の利上げに対する慎重姿勢と、8月5日の大暴落「令和のブラックマンデー」によって、銀行株も調整を余儀なくされました。しかし、年後半は再び追加利上げへの期待が高まり、メガバンクは軒並み年初来高値を更新しています。
2025年も、この流れが続く可能性が高いでしょう。ゼロ金利政策という収益の重石がなくなることで、銀行株は上昇基調が続きそうです。ただ、地銀に関しては、再編の思惑で株価が大きく上昇する銘柄が出てくる一方、金利上昇を背景とした債券価格の下落による特別損失発生で株価が下落する銘柄が出てくるかもしれません。要は、地銀に関しては「地銀再編+利ザヤビジネスの復活で株価が大きく上昇する銘柄群」と、「債券の評価損による特別損失を理由に売られる銘柄群」に二極化することが予想されます。メインバンクについては、株価の調整局面は押し目買いの好機でしょう。
②地方創生+インバウンド
石破首相は2014年、“初代”の地方創生担当大臣に就任したことが影響しているのか、地方創生にこだわりを持っているようです。すでに「地方交付金の倍増」を表明しています。ただ、このテーマ自体に目新しさはまったくありません。これまでの経緯から考えても、「地方創生」という単一テーマだけで株価が大きく押し上げられる可能性は低いでしょう。
もっとも、地方創生に「インバウンド」というテーマが合わさることで、一大相場テーマに昇格するかもしれません。2024年の訪日外国人客は、11月時点で、すでに過去最高だった2019年の数字を突破しました。足元で円安が続いていることもあり、2025年も引き続き、高水準の訪日客が期待できます。
インバウンド需要を呼び込むことに予算を注ぎ込む自治体・地域には、大きなお金が落ちるでしょう。それによって、交通や観光、小売、外食といった、その地域と関連が深い企業の業績も押し上げられるはずです。インバウンド関連株については、すでに人気化している銘柄が少なくありませんが、2025年は、まだ買われていない銘柄にも買いの手が伸びることが予想されます。有名観光地の一部では「オーバーツーリズム」が問題となっていますが、個別企業に関しては、インバウンド需要拡大のプラス面のみフォーカスされることになるでしょう。
③軍事・防衛
軍事・防衛という相場テーマでは、2024年、三菱重工、川崎重工、IHIの3社を筆頭に大きく買われました。つまり、かなり“手アカ”が付いたテーマといえます。注目は、2023年10月に施行された「防衛生産基盤強化法」。この法律によって、軍事・防衛関連機器の想定営業利益率が、従来の目安である8%から15%へと倍増近く引き上げられました。もともと、軍事・防衛関連機器は、その特性(機密性の高さ)によって関連企業が限られていたため、利益率が低く、あまり“オイシイ”事業ではありませんでした。しかし、この法律が施行されたことによって、関連事業の利益率は飛躍的に高まるでしょう。
前述の3社を筆頭とした主力銘柄については、業容が多業種に渡っているケースが多く、軍事・防衛向けだけで業績が劇的に拡大するとは思えません。もちろん、同事業の拡大が好感され、引き続き買われる公算はありますが、2025年は、海自向けに船舶用システムを手掛ける企業など、これまであまり買われてこなかった銘柄の人気化局面が予想されます。もちろん、「防衛費の増額」という、強烈な国策の追い風が吹き続けるテーマでもあります。
④データセンター→電力・エネルギー
データセンター(DC)については、グーグル(アルファベット)やアマゾン、マイクロソフト、オラクルの米4社が日本国内のDC整備に約4兆円の巨額投資を計画するなど、首都圏や近畿、北海道を中心に建設計画が目白押し状態です。DCの建設・運営を手掛ける企業や関連機器メーカーには、すでに特需が発生しています。
ポイントは、データセンターの運営には膨大な電力が必要になること。すでにDC関連企業は電力確保に躍起となっていて、需要は電力工事などの関連企業に広がりつつあります。また、DCの乱立を背景に、今後は原発再稼働や再生可能エネルギーの拡大も大きな焦点になることが予想されます。この過程で、大きく値を上げる銘柄が相次ぐのではないでしょうか。
⑤内需関連株
2025年は「内需関連株」が買われる年になるかもしれません。2025年以降は米トランプ大統領の関税引き上げ策によって、外需(輸出)関連株を積極的に買いづらい局面が訪れる可能性があるからです。自動車や精密機械、半導体といった日本の得意分野には、折に触れて関税引き上げの影がつきまとうはず。そうなると、投資家の目は消去法的に内需関連株に向くことになります。
注目したいのは、「内需関連」だけではなく、やはりプラスアルファの材料やテーマを持つ銘柄でしょう。具体的には、インバウンド需要による業績押し上げが期待できる消費(小売りや食品など)関連や、電力需要の増加や国土強靭化政策を背景とした建設、エネルギー関連、利上げによる利ザヤビジネスの復活が期待できる、銀行を中心とした金融関連株注目しています。
人気テーマは誕生→消滅を繰り返すもの
もちろん、ここで取り上げた5テーマ以外にも、株式市場で人気化する可能性が高いテーマはまだまだあります。たとえば、暗号資産は今後のトランプ大統領の動き次第で、足元の人気がさらに加速する可能性があるでしょう。他にも、関連ベンチャーの上場が相次ぐ「宇宙開発」や、商用化成功の可能性を帯びてきた「量子コンピューター」や「自動運転」なども、折に触れて人気化するかもしれません。
ただし、その人気が一過性のものではなく、息の長いテーマになるためには、「そのテーマを背景とした特需で業績が急拡大したり、業容が一変したりする企業が“続出する”」必要があります。相場テーマは、「理想買い」から「現実買い」に至るまで、浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返すものです。今回の5テーマ以外についても、そのテーマの魅力度が今以上に高まった際には、改めてこのコラムで取り上げようと考えています。
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(新井奈央)
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