社会保険料改定、年末調整、ふるさと納税…2025年下半期の【お金のイベントカレンダー】
MONEYPLUS / 2025年1月2日 7時30分
社会保険料改定、年末調整、ふるさと納税…2025年下半期の【お金のイベントカレンダー】
2025年の下半期は家計を整える大切な時期です。年初に立てた貯蓄や家計計画を振り返ったとき、「予定通りに進んでいる!」という方もいれば、「計画からずれてしまった…」という方もいるかもしれません。特に7月以降は、夏休みやシルバーウイークなどイベントが多く、出費が増えがちな時期。先々のことをイメージして、月ごとに使う金額をしっかり予算立てしておくことが重要です。
この記事では、後半の家計管理に役立つポイントをわかりやすくまとめました。
下上半期(7月~12月)のお金のイベントを一覧表で確認してみましょう。
2025年7~12月までのイベントをカレンダーにまとめました。
画像:筆者作成
なお、税制改正大綱は現時点では案であり、国会で審議されたのちに法制化されます。上記から変更に可能性があることを踏まえて、お読みください。
9月に社会保険料の改定があり、10月の給与から反映
給与から天引きされる社会保険には、健康保険、厚生年金保険、介護保険(40歳以上の方のみ対象)、雇用保険の4つがあります。このうち、健康保険、厚生年金保険、介護保険は、毎年7月に「定時決定」があります。
定時決定というのは、直近の4月・5月・6月の給与や各種手当をもとに「標準報酬月額」を計算し、「算定基礎届」を年金事務所または健康保険組合へ提出することです。
これにより決定した社会保険料は9月1日から適用され、10月支給の給与から反映されます。
もし、4~6月が繁忙期で残業代が多く支払われていれば、その間給与としての支給が増えますが、標準報酬月額の等級も上がります。結果、控除される社会保険料が多くなり、手取りが減る可能性があります。標準報酬月額に含める報酬には、残業代以外に通勤手当、住宅手当、家族手当、役職手当、資格手当などが含まれます。
仮に、子どもが生まれて家族手当が増えた、引っ越しなどで通勤手当が増えたなどがあれば、社会保険料が上がる要因となります。
社会保険料の負担が上がったことは「損」と思うかもしれませんが、これにはメリットもあります。
たとえば、将来受け取る厚生年金の額が増えるほか、病気やケガで仕事を休む際の「傷病手当金」も高くなる可能性があります。このように社会保険料は、将来の保障やセーフティーネットとして役立つ仕組みです。
11月は年末調整に向けての準備
11月になると、1年間に納めるべき所得税と仮に引かれていた税金の差額を調整する「年末調整」の準備が始まります。勤務先から必要な書類の提出を求められるので、早めに準備を進めておくと安心です。必要となる書類と準備物は次のとおりです。
① 扶養控除等(異動)申告書
扶養者控除や障害者控除など、税金の控除を受けるための申告書です。扶養家族がいる場合に記入します。
② 保険料控除申告書と控除証明書
生命保険、地震保険、社会保険などの保険料を支払っている場合、控除を受けるための申告書と証明書が必要です。忘れがちなのが、親が子どもの国民年金保険料を支払った場合です。もし、子どもと「生計を一にしている」のであれば、その支払った全額が社会保険料控除の対象になります。
<準備するもの>
・加入している生命保険や地震保険の「控除証明書」
・iDeCo(イデコ)加入者は「小規模企業共済掛金等控除証明書」
③ 給与所得者の配偶者控除等申告書
配偶者控除を受ける場合に必要な書類です。扶養している配偶者がいる人が対象になります。
④ 住宅借入金等特別控除申告書
住宅ローンを利用してマイホームを購入し、要件を満たしている場合に提出します。初めて住宅ローン控除を申請する際は確定申告が必要です。年末調整に含まれるのは2年目以降です。
<準備するもの>
・住宅ローンの「年末残高等証明書」
年末調整でより多くの所得税が還付されるためには、必要書類を早い段階から整理しておくことが大切です。9月下旬ごろから必要書類が手元に届くことが多いので、見落としがないよう余裕を持って確認しましょう。
12月末までに、ふるさと納税を利用しよう
ふるさと納税は、応援したい都道府県や市町村への「寄附」をする制度です。原則として自己負担額は2000円だけ、それを超えた寄附は、所得税・個人住民税から控除されます。寄附する自治体は、自由に選ぶことができ、その自治体からは、地域に貢献したお礼として、名産品や特産品をもらうことができます。なお、ふるさと納税の上限は、ふるさと納税を行う本人の給与収入、家族構成などにより限度額が決まっています。
この限度額は、2025年分の年収が対象になります。年末ギリギリにならないと正確な年収を確定することは難しいかもしれませんが、前年の概算などを参考に、ポータルサイトなどで上限額をシミュレーションしておきましょう。
また、2025年10月からはふるさと納税の「ポイント還元」が廃止されます。これまで楽天ふるさと納税やさとふる、ふるさとチョイスなどのポータルサイト経由で寄附をするとポイントがもらえましたが、総務省の見直しにより、この仕組みが終了します。ポイント還元を活用するなら、10月までに上限額の6~7割を利用しておくのも一つの方法です。
なお、ふるさと納税をした後、寄附金控除を受けるには確定申告が必要です。しかし、確定申告が面倒という方は「ワンストップ特例制度」を利用すれば、ふるさと納税をした後に確定申告をしなくても寄附金控除が受けられます。ワンストップ特例制度は、1年間の寄附先が5自治体以内という条件があるので注意しましょう。
ワンストップ特例制度を受けるには、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入して、期限までに寄附する自治体に提出する必要があります。
12月末までに、NISA利用者やった方がいい3つのポイント
NISA口座を利用している人は、年末までに以下の3つのポイントをチェックしましょう。
①12月末までに、NISA(少額投資非課税制度)枠を使い切る
NISAは、投資の利益を非課税にできる制度です。2024年からの新しいNISAは非課税期間が無期限となりましたが、年間投資枠は次のとおり決まっています。
・「つみたて投資枠」であれば年間120万円
・「成長投資枠」であれば年間240万円
2つを合計すると年間360万円もの投資枠があります。ただし、年間投資枠については利用期限が1年間と決まっており、翌年に繰り越せません。資金に余裕がある方は、計画的に利用して、非課税メリットを最大限に活用しましょう。
②NISA口座でも「損切り」
NISA口座は、損益通算(他の投資での利益や損失と相殺すること)や繰越控除(損失を翌年に持ち越して控除すること)はできません。
しかし、保有している銘柄の業績が悪化したり、ネガティブなニュースが広まったりすると、先々において株価が下がる可能性があります。もし、中長期で利益を狙うのが難しいと判断するものがあれば、早めに売却(損切り)して、有望な銘柄に資金を移すことを検討しましょう。これにより、「早く乗り換えていれば得られたはずの利益を逃す」といった機会損失を防げます。
非課税投資枠の計算は取引の「受渡日ベース」で行われます。年末までに売却を検討する場合、取引が年内に完了するよう注意してください。
③旧NISAの非課税期間が終わる場合の対策
旧NISA制度(2023年まで)では「非課税保有期間」がありました。一般NISAでは「5年」、つみたてNISAでは「20年間」です。2024年以降も旧NISAで購入した商品は、非課税保有期間中は引き続き非課税で保有できますが、期間が終了すると課税口座(特定口座や一般口座)に移されます。このとき、移されるまでの運用利益には税金はかかりませんが、移された後に得た利益には課税されます。そのため、旧NISAの非課税保有期間が終了する前に売却して、改めてNISAで買い直すことを検討しましょう。
【令和7年度税制改正】子育て世帯の「生命保険料控除」拡充
令和6年12月20日に「令和7年度税制改正大綱」が公表され、「生命保険料控除」の一般生命保険料控除において2026(令和8)年より上限額を拡充する改正案が示されました。
生命保険料控除には、以下の3種類がありそれぞれ一定の金額の所得控除を受けることができます。
・介護医療保険料控除:介護保障保険・医療保障保険が対象(最高4万円)
・個人年金料控除:個人年金保険が対象(最高4万円)
このうち、遺族保障保険が対象になる「一般生命保険料控除」において、子育て世帯の支援策として、2026(令和8)年より上限額を今までの「4万円」から「6万円」に拡充することが盛り込まれています。子育て世帯として対象になる23歳未満の子どもを扶養する方は、生命保険の死亡保障の見直しを検討するとよいでしょう。
12月~1月に「源泉徴収票」が手元に届く
年末調整が終わる12月~1月には、源泉徴収票が手元に届くはずです。会社員や公務員の中にも、確定申告をする人があるかもしれません。「源泉徴収票」を受け取ったら、きちんと保管しておきましょう。
まとめ
2025年の下半期は、家計を見直し、節税や資産形成のチャンスを最大限に活かす時期です。社会保険料の改定やふるさと納税、新NISAなどを上手に活用しましょう。
少しの工夫や早めの対策が、家計を楽にし、豊かな暮らしにつながります。2025年下半期をしっかりと計画的に乗り切りましょう。
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(舟本美子)
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