会社員が副業でいくら稼ぐと確定申告が必要?
MONEYPLUS / 2025年1月21日 11時30分
会社員が副業でいくら稼ぐと確定申告が必要?
副業を始める会社員が増えている昨今。副業による収入がある場合、確定申告が必要かどうか迷う方も多いのではないでしょうか。本業に加えて副業から収入を得ることは家計の助けになるだけでなく、新たなスキルを習得できる良い機会でもあります。
しかし、副業収入には税金がかかる場合があり、適切な知識を身に付けておくことが、副業をする上でも非常に有益です。今回は、会社員が副業収入を得た場合に確定申告が必要になるケースや注意点についてファイナンシャルプランナーが解説します。
そもそも副業とは?
副業とは、本業以外で収入を得るために行う仕事のことです。本業の所定時間外に働いて収入を得る副業ですが、法律による明確な定義はありません。また、法律で副業は禁止されていません。さらに、厚生労働省が平成30年1月作成(令和4年7月改定)した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」において、原則副業・兼業を認める方向が適当であるとの考え方が示されています。
ただし、会社の就業規則で副業が禁止されている場合があります。就業規則とは、会社が従業員に対して守るべきルールや働き方の基準を定めた文書のことです。副業を禁止する理由としては、労務提供上の支障があることや情報漏洩の可能性があること、競業により自社の利益が害されることなどが挙げられます。そのため会社員が副業を始めるなら、まずは就業規則をしっかり確認するようにしましょう。
副業で確定申告が必要な場合とは?
会社などに雇用されている従業員(会社員)は、年末調整をします。年末調整とは、会社が従業員(会社員)に変わって1年間に支払われた給与から計算された所得税の精算手続きを行うことです。これによって従業員は自ら確定申告をする手間を省くことができます。しかし、会社員であっても、確定申告が必要な場合があります。
・副業の所得が20万円を超える人
・給与所得を2か所以上からもらっている人
・年の途中で退職して再就職してない人
などが該当します。
上記に示したように、副業所得が20万円を超える人は確定申告が必要になります。副業で20万円を超える場合の20万円は、必要経費を差し引いた金額です。必要経費とは交通費や通信費等、副業をする上で必要になる支出のことです。例えば、収入(=売り上げ)が30万円で経費がかからなければ、所得は30万円となり確定申告が必要になります。しかし、経費が15万円であれば、所得は15万円のため確定申告は不要です。
ここで「収入」と「所得」の違いを説明しておきます。この違いを知ることは、副業で収入を得た場合に、確定申告が必要かどうかの判断基準に役立ちます。
会社員である給与所得者の「収入」とは、会社が支払う総額の給与を指します。残業代やボーナスも含めた額面の金額であり、税金や社会保険料が差し引かれる前の金額です。
一方、「所得」とは、収入から給与所得控除を差し引いた金額で、所得税や住民税といった税金は所得を基準に計算されます。給与所得控除とは、必要経費のようなものだと考えるとわかりやすいでしょう。会社員も収入を得るために、仕事用の服や靴、鞄、筆記用具など自己負担している場合もあるため、給与所得控除が認められており、1年間の給与収入に応じて控除額が変わります。
このように、収入と所得の違いや副業所得がいくらになるのかを理解することは、副業をする上で大変重要です。確定申告が必要であるにも関わらず手続きをしなければ、加算税や延滞税等ペナルティが課されてしまうため、この点はしっかりと押さえておいてくださいね。
副業所得が20万円以下でも確定申告した方がいいケース
副業所得が20万円以下であっても確定申告をした方がいいケースがあります。適切に確定申告をすることで納め過ぎた所得税が還付される場合があります。以下、2点解説していきます
①住宅ローン控除や医療費控除などを受ける場合
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入・リフォームした際に、所得税や住民税が減額される制度です。初年度は必ず確定申告する必要があります。また、医療費控除とは1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合、その超過分を所得から差し引くことで、所得税や住民税が軽減されます。
その他、ふるさと納税でワンストップ特例制度を利用していない場合にも確定申告が必要です。これらの控除を受けるなら、副業所得が20万円以下であっても確定申告することで所得税が還付される場合があります。詳しくは最寄りの税務署か税理士に確認するようにしましょう。
②副業収入があらかじめ源泉徴収されている場合
副業の収入が源泉徴収の対象で、あらかじめ源泉徴収額が差し引かれて税務署に支払われていれば、所得税を納め過ぎている可能性があります。源泉徴収は所得が確定する前にあらかじめ天引きされています。そのため確定申告によって正しい所得税を申告すれば、税金が還付されることがあります。
副業所得が20万円以下であっても住民税は申告が必要
副業で得た所得が20万円以下で、所得税の確定申告の必要がなくても、住民税の申告は必要です。住民税は市区町村に納める税金で、自治体が提供する公共サービスの財源となります。また所得税は、国に納める税金であり、国の財源として社会保障や公共インフラの整備といった国全体の運営のために使われる税金です。所得税は、その年の1月1日から12月31日までの所得に対して課される税金に対して、住人税は前年の所得に対して課される税金です。
副業で20万円以上所得があり、確定申告をすれば、申告した内容が税務署から各市町村に通知され、住民税が決定します。しかし、確定申告をしない場合には、正確な所得額を各市区町村の役所に申告し、住民税の手続きをしなければなりません。住民税の申告を忘れると、延滞税が課される可能性があるため注意しましょう。
副業で収入を得るなら税金のことを知っておこう
副業を始めると、所得に応じて確定申告が必要です。20万円以上の副業所得があれば、確定申告は義務ですが、20万円以下でも控除等を活用した税金の還付を適切に行うことでメリットを得られることもあります。
確定申告を正しく行うことは、法を守るという観点からも大変重要です。副業をすることで、生活の質を向上でき、ご自身のスキルアップにもつながります。そのためにも正しい税金の知識を持っていることは、副業を安心して続けられる基盤となります。適切な税務知識を持ち、行動をすることで、副業をより充実したものにしていきましょう。
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(南真理)
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