パン、冷凍食品、お酒…2025年に値上げされるのはどんな食品?
MONEYPLUS / 2025年1月24日 7時30分
パン、冷凍食品、お酒…2025年に値上げされるのはどんな食品?
帝国データバンクの調査では、2025年の1月~4月にかけて食品の値上げが相次ぐ見通しです。多くの家庭にとって家計への影響が気になる年になりそうです。さまざまな食品の価格改定のニュースを見て「この値上げ、どうしよう。毎日の食事考えなくては…」と不安を感じる方も少なくないでしょう。
本記事では、月ごとに値上げが予定されている食品ジャンルやその背景についてわかりやすく解説します。また、値上げラッシュの中でも家計の負担を少しでも和らげるための「節約対策」もご紹介します。
2025年の食品値上げの傾向は?
帝国データバンクの調査によると、2025年には主要な食品メーカー195社が値上げを予定しており、その品目数は約4000にも上る見通しです。気になる商品の値上げ率は平均で約17%。その多くの商品が1~4月にかけて価格改定となる予定であり、2025年を通じて、食品の「値上げラッシュ」が再燃する見通しです。
食品値上げの背景には、以下のような理由が挙げられます。
・原材料費の高騰(94.6%):小麦や油脂などの輸入価格の上昇が影響しています。
・物流費の増加(89.9%):ドライバーの時間外労働規制や燃料費の高騰が主な原因です。
・包装資材費の増加(63.4%):紙やプラスチックの価格上昇が影響しています。
・人件費の上昇(47.9%):最低賃金の引き上げにより、製造・物流の人件費が増えています。
これらの要因が重なり、食品メーカーにとってコスト負担が増大していることが、値上げの大きな原因といえそうです。次は、2025年1~4月に値上げとなるものはどんなものがあるのか見ていきましょう。
参照:(月例定期調査)「食品主要195社」価格改定動向調査
1月に値上げされる食品:「パン類」が約5~7%値上げ、「米」が15.6~16.5%
1月からの値上げとして目立つのは、パン類・業務用小麦粉です。
各メーカーをみてみると、山崎製パンでは、パン製品だけでなく洋菓子や和菓子など計290品目が値上げされます。それぞれの値上げ割合率は、食パンが「平均5%」、菓子パンが「平均5.3%」、「串だんご、豆大福」などの和菓子、「まるごとバナナ」などの洋菓子などは「平均7.3%」となります。
フジパンにおいても、食パン、食卓、菓子パン、惣菜パン、和洋菓子などの製品において「平均4.7%」が値上げとなります。
敷島製パン(Pasco)は、食パン、食卓パンなどが、「約1~5%」、菓子パン、和洋菓子が「約2~5%」値上げされます。
いずれも、原材料価格である包装材料やカカオ豆等の価格の高騰、油脂、砂糖、乳製品等の価格が高止まりした状態が続いていることが理由です。
食パンは主食として多くの家庭で日常的に消費される商品です。その値上げは家計にとっても与える影響が大きいでしょう。
業務用小麦粉を提供している日清製粉、昭和産業株式会社、株式会社ニップンにおいても「中力系・薄力系小麦粉」が約25㎏あたり65~70円値上げされます。
パン類以外では、はごろもフーズのパックごはん「ぱぱっとライス こしひかり」など計10品目で「15.6~16.5%」の大幅値上げとなります。お米の価格が2024年あたりから上昇していること、包材等の価格高騰などが大きく影響しています。
参照:山崎製パン株式会社「製品価格一部改定のお知らせ」
フジパン株式会社「価格改定のお知らせ」
敷島製パン株式会社「商品価格改定のお知らせ」
日清製粉グループ本社「日清製粉 小麦粉価格改定のお知らせ」
昭和産業株式会社「業務用小麦粉価格改定のお知らせ」
株式会社ニップン「業務用小麦粉価格改定のお知らせ」
はごろもフーズ株式会社「製品の価格改定のお知らせ」
2月に値上げされる食品:「菓子類」で約2~31%、「加工食品等」が約2~16%の値上げ
2月は、ホットケーキミックス、天ぷら粉、お好み焼きの粉などの小麦加工品、パスタ、菓子類など幅広い加工食品においても相次ぐ値上げが予定されています。
主なものを挙げると、以下のとおりです。
昭和産業においては、「天ぷら粉黄金」、「SHOWAホットケーキミックス」が「2~3%」値上げとなります。エバラ食品では、「プチっとうどん」シリーズ、「横濱舶来亭」シリーズなど家庭用商品が計17品目で「最大15%」値上げされます。
永谷園では「生みそタイプみそ汁 あさげ 徳用10食入」などに代表されるみそ汁、ふりかけなどを含めた26品が「6~18%」値上げされます。
マルハニチロでは「さけ水煮」、「フルティシエ ちょっと贅沢 みかん」などに代表される缶詰69品目が「約1~15%」、その他食品ではカップゼリー18品が「約5~6%」値上げされます。
菓子類では、森永製菓のチョコレートやスナックなどが30品目で「約5~21%」値上げされます(一部3月に出荷分からのものあり)。江崎グリコでは、「ポッキー」各種などを含め81品目において「約2~32%」も値上げとなります。不二家においても、各種チョコレートや「ホームパイミニ」など54品目で「4~31%」の大幅値上げとなっています。
お菓子といえば、コーヒーなどの温かい飲み物も欠かせません。残念ながら、コーヒー等飲料製品で有名なネスレ日本でも「ネスカフェ エクセラ」など80品目で「約6~28%」と大きく値上げされます。
お菓子や関連する飲み物は日常のちょっとした楽しみや贈り物としても人気です。チョコレートやスナック菓子など手軽に購入できる商品が大きく値上げされることで、「ちょっとした贅沢」が少し手の届きにくいものになるかもしれません。
参照:昭和産業株式会社「家庭用小麦粉、プレミックス、パスタ製品の価格改定について」
エバラ食品株式会社「一部家庭用商品の価格改定について」
株式会社永谷園「商品価格改定に関するお知らせ」
マルハニチロ株式会社「家庭用食品 価格改定のお知らせ」
森永製菓株式会社「森永製菓商品 価格改定のお知らせ」
江崎グリコ株式会社「一部商品の価格改定のお知らせ」
株式会社不二家「菓子商品の価格改定及び内容量変更のお知らせ」
ネスレ日本株式会社「飲料製品/菓子製品の価格改定ならびに内容量変更について」
3月に値上げされる食品:「冷凍食品等」で約3~30%、「菓子類」で約10~20%の値上げ
3月は冷凍食品等、そして菓子類も2月に続いて値上げが予定されています。
冷凍食品では、味の素冷凍食品では、家庭用製品の54品が「約3~10%」、業務用製品395品においては「約3~20%」が値上げとなります。
また、ニッスイでも、家庭用冷凍食品33品が「約3~30%」の値上げとなります。家庭用常温食品でも、缶詰・びん詰・レトルト食品など 47品が「約3~15%」の値上げとなります。業務用冷凍食品については、125品において「約5~30%」の値上げが予定されていますが、こちらは4月1日からの納品分からとなります。
ニップンにおいても対象となる家庭用冷凍食品が「約8~13%」値上げされます。
お弁当やお手軽調理のレトルト商品などの値上げは、忙しい日常で冷凍食品やレトルト食品を活用している家庭の家計への負担が増えそうです。
ネスレ日本では、2月に行われる飲み物の値上げに加え、お菓子の「キットカット等」の7商品でも一袋あたりの内容量を少なくするなどの改定を行います。
参照:味の素冷凍食品株式会社「家庭用・業務用冷凍食品 出荷価格改定のお知らせ」
株式会社ニッスイ「ニッスイ家庭用冷凍食品・業務用冷凍食品・家庭用常温食品の出荷価格改定」
株式会社ニップン「家庭用冷凍食品価格改定のお知らせ」
ネスレ日本株式会社「飲料製品/菓子製品の価格改定ならびに内容量変更について」
4月に値上げされる食品:「酒類・飲料」で一斉値上げ
4月になると、アルコールメーカーであるアサヒ、キリン、サントリー、サッポロにおいて、ビール類・RTD・輸入洋酒・輸入ワイン・その他樽詰酒類・ノンアルコール飲料などの一部商品が一斉値上げされる予定です。
参照:サントリー株式会社「ビール類・RTD・国産ワイン等の価格改定について」
アサヒビール株式会社「ビール類・RTD・輸入洋酒・輸入ワイン・その他樽詰酒類・ノンアルコール飲料などの価格改定について」
キリンビール株式会社「ビール類・RTD・その他樽詰商品・ノンアルコール飲料 一部商品の価格改定について」
サッポロビール株式会社「ビール類・酒類テイスト飲料・RTD その他樽詰酒類・輸入ワイン・焼酎などの 一部商品の価格改定について」
家計への影響を和らげるための「節約対策」4選
家計への影響を少しでも和らげるための節約について4つご紹介します。
節約対策1:賢くまとめ買いを活用する
値上げ前には、スーパーやドラッグストアで特売やポイントアップのセールが行われることが多いです。これを活用して、値上がり予定の食品を少し多めに購入しておくと、家計の負担を軽減できます。ただし、賞味期限や保存スペースを考えながら計画的に買い置きしましょう。
節約対策2:代替品を探してみる
値上げの影響が大きい商品に代わるコストパフォーマンスの良い代替品を探すのもおすすめです。例えば、パン類が値上げされるなら、ご飯や自家製の手作りパンで対応するなど、家庭でできる工夫を試してみましょう。
節約対策3:節約レシピを取り入れる
値上げの影響を受けやすい食材を減らし、コストの低い旬の食材を使った節約レシピを取り入れましょう。たとえば、冷凍食品や加工食品を減らし、野菜や豆類を活用した手作り料理を増やすことで、食費を抑えながら健康的な食事も実現できます。野菜もキャベツや小松菜等は天候の影響で高騰することも多くあります。そのため、特売日や直売所を利用して安く新鮮な野菜を手に入れる工夫をするとよいでしょう。
節約対策4:家計管理アプリ、家計簿などで予算を見える化する
毎月の食品予算を決め、家計管理アプリ等を使って支出を「見える化」することで、どのカテゴリーにどれだけ使っているかを把握できます。これにより、無駄な出費を減らし、計画的な買い物ができるようになります。
食品の値上げが続く中でも、日々の工夫や少しの心がけで家計の負担を和らげることは可能です。まとめ買いや節約レシピの活用、代替品の検討など、できることから始めてみてはいかがでしょうか?
(舟本美子)
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