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【子育てステージ別】年々拡充する子育て世帯がもらえるお金

MONEYPLUS / 2025年2月4日 11時30分

【子育てステージ別】年々拡充する子育て世帯がもらえるお金

【子育てステージ別】年々拡充する子育て世帯がもらえるお金

最近は、物価高で家計が苦しくなっているご家庭が多いようです。その影響で、経済的な理由から子ども持つのを諦めたり、お子さんをお持ちのご家庭でも子どもの人数が増えることに躊躇したりしている様子が見てとれます。でも朗報なのは、以前より、国も自治体も本格的な少子化対策に取り組み始め、子育て世帯への経済的な支援を拡充していることです。そこで、今回は子育て世帯向けの主な経済的支援制度について解説します。


妊娠から出産までに使える主な制度は?

まず、妊娠から出産までに使える主な制度を見てみましょう。

妊婦健診費用助成

■制度概要
妊娠すると、母体に異常はないか、赤ちゃんは順調に育っているかどうかを確認するために定期的に病院に通って「妊婦健診」を受けることになります。厚生労働省が提示する「標準的な”妊婦健診”の例」では、妊娠初期から出産まで14回程度となっています。

妊娠では健康保険が適用にならず、健診費用は各医療機関が自由に決めて良いことになっていますが、1回の健診費用は、5,000円〜1万円程度と、決して安くありません。一般的には、14回の健診で10万円程度かかるようです。そこで、妊婦健診にかかる費用負担を減らすため、各自治体で妊婦健診の費用を一部助成するために「妊婦健康診査受診票(補助券)を妊婦さんに配布しています。

ただし、14回を超える健診や、基本的な内容を超える検査については実費負担となることが多いようです。このあたりは、お住まいの自治体によって助成の内容が異なりますので、各自治体に確認しましょう。

■得するお金はどれくらい?
妊婦健診の1回の健診費用は、5,000円〜1万円程度で、14回の健診でトータルにかかる費用は10万円程度です。厚生労働省によると、令和4年4月の全国の自治体における妊婦健康診査の公費負担の平均は10万6211円。つまり、助成によりほぼ妊婦健診の費用を賄うことができます。

出産育児一時金

■制度概要
出産育児一時金は健康保険や国民健康保険に加入していて、妊娠4ヶ月(85日)以上で出産する人が受け取れるお金です。妻自身が健康保険に加入している場合には妻自身の健康保険から支給され、妻が夫の扶養に入っている場合は、夫の加入する健康保険から支給されます。支給金額は基本的に「50万円(利用している医療機関が産科医療補償制度を導入していない場合は48万8,000円)」です。出産費用が50万円以上になった場合は、差額を負担する必要があります。反対に50万円未満だった場合、差額分はもらうことができます。

■得するお金はどれくらい?
例えば、産科医療補償制度に加入している医療機関で子供1人出産して分娩費用が45万円だった場合、50万円支給され、差額の5万円はもらえます。

産休から育休中に使える主な制度は?

次に産休、育休中に使える主な制度を見てみましょう。

出産手当金

■制度概要
働く女性が妊娠した場合、産前・産後休暇を取得することができます。出産予定日の6週間前(42日前)からが産前休暇、出産日から8週間後(56日後)までが産後休暇です。ちなみに、産前休暇は本人の申請により取得する休暇ですが、産後休暇は強制的に休まなければならない休暇です。

とはいえ、約3カ月間、勤務先からの給料が支給されなければ家計は苦しくなります。こうしたときに受け取れるのが「出産手当金」です。正社員でもパート・アルバイトでも、勤務先の健康保険に加入していれば受け取れます。出産手当金で受け取れる金額は、「支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2×産休日数」で計算します。なお、国民健康保険には出産手当金の制度はありません。

■得するお金はどれくらい?
例えば、12カ月間の各月の標準報酬月額を平均した額が20万円だった場合
・1日あたりの出産手当金=20万円÷30日×2/3=4,444円(小数点第1位四捨五入)
・産休日数=出産日前42日+産後56日=98日
・出産手当金=4,444円×98日分=43万5,512円となります。

出生時育児休業給付金(産後パパ育休)

■制度概要
出生時育児休業とは、父親が子どもの出生後8週間以内(母親の産後休業中)に、最長4週間(28日)まで取得できる制度です。産後パパ育休とも呼ばれており、育休とは別に取得できます。通常の育児休業と同じく、産後パパ育休を取得すると給付金が支給されます。支給額は、「休業開始時賃金日額×休業期間の日数× 67%」です。給付金に対して税金はかからず、社会保険料も免除されるため、手取り額の8割相当が給付されることとなります。産後パパ育休の特徴は、出生後8 週間以内であれば、2回に分けて取得できるところです。「4週間まるまる職場を離れることが難しい」といった場合でも、分割取得をすることで、育休の取得をあきらめなくてすみます。また、労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲(10日以下または10日を超える場合は80時間以下)で休業中の就業も可能です。

■得するお金はどれくらい?
例えば、休業開始前6カ月で180万円(月30万円)の賃金を得ていた場合に
・産後パパ育休を28日取得
・育児休業前1日あたりの賃金:180万円÷180日=1万円
・1万円×28日×67%=18万7,600円となります。

出産後から一定年齢まで使える制度は?

次に出産後から一定年齢まで使える主な制度を見てみましょう。

乳幼児医療費助成制度

■制度概要
乳幼児医療費助成制度とは、子育て世帯の負担を軽減し、子供たちが安心して必要な治療を受けられるようにと、各自治体が医療費を助成してくれる制度です。子供が医療機関を受診する際、通常は2割(義務教育就学前)または3割の医療費の自己負担が発生します。しかし、乳幼児医療費助成制度があるおかげで、医療費が完全に無償となったり、医療費の負担割合が下がったりします。

乳幼児医療費助成制度は、国が一律で決めているものではなく、自治体ごとに対象となる子供の年齢や条件など、助成内容は様々です。基本的に自治体に申請後発行される「乳幼児医療証」と「健康保険証」を診察時に医療機関の窓口に提示すれば、医療費の助成を受けられます。

■得するお金はどれくらい?
例えば、3歳の子が医療機関で受診した場合、通常、自己負担は2割です。ですから、医療費が総額1万円の場合、自己負担金額は、本来であれば2,000円になります。

自治体の助成内容が医療費の全額負担の場合、自己負担金額2,000円が助成され、医療費は無料になります。

児童手当

■制度概要
2024年10月から児童手当が拡充されました。児童手当は、高校生年代(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)までの子供がいる世帯に対して支給されます。

支給される金額は、子供の年齢や人数によって異なりますが、3歳未満は月額1万5,000円、3歳〜高校生年代は月額1万円、第3子以降の子供には3万円が支給されます。第3子以降にカウントされる対象の年齢がこれまでは18歳年度末でしたが、22歳年度末までに延長されています。また、これまでの児童手当では、所得制限限度額以上の所得がある世帯には「一律5,000円/月」しか支給されず、所得上限限度額以上になると支給が止められていましたが、2024年10月から所得制限が撤廃されました。支給方法も変更になり、2月・4月・6月・8月・10月・12月に、それぞれの前月分までの2ヶ月分が支給されます。

■得するお金はどれくらい?
例えば、中学生の子ども1人と高校生の子どもが2人いる世帯の場合、
・高校生の子どもの支給額:月額1万円×2人=2万円
・中学生の子どもの支給額:第3子に当たるので月額3万円
・合計:月額5万円
・2カ月分が振り込まれるので、10万円振り込まれます。

高校学校等就学支援金制度

■制度概要
高等学校等就学支援金制度は国公立私立を問わず、日本国内に住所を有する高等学校等に通う生徒を養育する、一定要件を満たす世帯に対して、国が支援金を支給する制度です。支給要件の中には「保護者の所得要件」があり、一定以上の所得がある場合には、就学支援金の受給対象から外れ、授業料は家庭の全額負担になります。支給金額は、国公立高校は年11万8,800円(世帯の年収の目安:910万円まで)、私立高校は年39万6,000円(世帯の年収の目安:590万円まで)または年11万8,800円(世帯の年収の目安:910万円まで)です。

東京都の場合は都内在住であれば所得制限なく国公立、私立高校の授業料が無料になります。

■得するお金はどれくらい?
全日制の国立・公立高等学校等に通う生徒には、片働きの場合は世帯年収が910万円未満であれば、年間11万8800円(月額9,900円)を上限に支給されます。

例えば、両親のうち一方が働いていて、公立高校に通う高校生の子ども1人、世帯年収910万円未満の場合
・高等学校等就学支援金の対象となり、年間の支援金:11万8,800円
・高校3年間でもらえる支援金:35万6,400円となります。

第3子大学無償化

■制度概要
2025年4月から始まる予定の大学無償化制度は、3人以上の子供を扶養する「多子世帯」を対象として、所得制限を設けずに、大学、短大、専門学校等の授業料や入学金を無償にする制度です。制度を利用する上で注意したいのは「3人以上が同時に扶養されている必要がある」「対象校以外への進学では制度は利用できない」「支給額には上限がある」点です。

3 人以上が同時に扶養されているという点ですが、例えば、子供が3人いて、第1子が大学に進学した場合、第1子は支給対象です。また、第1子に加えて第2子も大学に進学した場合、第2子も支給対象になります。ただし、第1子が大学を卒業して扶養から外れた場合、扶養される子どもが3人という利用条件を満たさなくなります。支給対象であった第2子だけでなく、第3子も支給対象外となります。また、対象校以外への進学では制度を利用できません。文部科学省のHPで確認しましょう。さらに、支給金額には上限があるので、無償化という言葉がついているものの、完全無償化というわけではありません。

■得するお金はどれくらい?
例えば、私立大学(昼間制)に4年間通った場合
・入学金:約26万円支給
・授業料:年額約70万円支給
・大学4年間の支援金:約306万円となります。
※進学先の入学金や授業料が支給上限金額を上回っている場合、差額を支
払う必要があります。

以上、今回は子育て世帯向けの経済的支援制度について見てきました。国の制度の他にも、各自治体独自で行なっている制度もあります。特に東京は子育て世帯の支援に力を入れており、最近は、無痛分娩や留学費用の助成なども打ち出してきています。今後も子育て世帯の経済的支援は拡充していくと予想されるので、こまめに情報を収集していきましょう。

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