インバウンド再加速! 「三越伊勢丹・大丸松坂屋・阪急」百貨店ビッグ3の復活なるか?
MONEYPLUS / 2025年2月6日 7時30分
インバウンド再加速! 「三越伊勢丹・大丸松坂屋・阪急」百貨店ビッグ3の復活なるか?
コロナ明け以降、インバウンドは何度も浮かび上がる投資テーマです。
コロナで消滅した外国人観光客は、渡航制限解除によって戻ってくるのは当たり前といえば当たり前。そのため、わりとアフターコロナの早い段階で株式市場でもインバウンド銘柄は物色されました。 その代表格が百貨店界隈です。
2025年訪日外国人客は過去最高予想
コロナ前から、中国人観光客による爆買いが話題になっていましたので、ふたたびその需要が戻ってくるとの期待もありました。実際には、団体客の渡航制限がなかなか解除されなかった中国観光客よりも、ほか地域からの観光客の訪日が多く、その点はある意味、予想外ではありましたが、円安効果もあり、長く低迷していた百貨店の業績は改善傾向にあります。
株価はつねに実態を先読みしますので、百貨店の株価は、2022年の前半から上昇しはじめ、2024年7月にいったん天井をつけたような形になっていました。そろそろ訪日客の伸び率も鈍化してくるとの警戒があったのかもしれません。また、投資家としては、インバウンド=百貨店という王道のテーマに飽きたのもありそうです。わたし自身、いまさら百貨店?という気持ちがあることは否めません。
ところが、日に日に増す観光客の多さに、やはり王道の百貨店銘柄は抑えておくべきではないかと思い始めました。JTB「2025年(1月~12月)の旅行動向見通し」によると、2025年訪日外国人旅行者数の予測は4,020万人で、2024年の過去最高をさらに更新します。日本の魅力が世界にバレてしまった以上、ここから先は、真の観光立国としてますます発展していくでしょう。その波に投資家として乗らないわけにはいきません。
百貨店ビッグ3の株価は?
百貨店ビッグ3といえば、三越伊勢丹ホールディングス(3099)、阪急うめだ本店を運営するエイチ・ツー・オーリテイリング(8242)、大丸松坂屋を運営するJ.フロントリテイリング(3086)です。
3社とも2024年の7月に高値をつけて、その後株価は調整していましたが、じつは、J.フロントリテイリングは、そこから株価は回復し、高値を更新しています。3社のうち当社だけが、2月決算のため12月25日に第3四半期決算を発表しており、その結果、ほか2社より先んじて株価が上昇しているのかもしれません。
では、実際にJ.フロントリテイリングの決算を見てみましょう。
営業利益は51,142(百万円)、前年比66.7%増で、通期予想に対してはすでに98%に達しています。この勢いが続けば、おそらく予想を達成して着地するでしょう。
当社は、とくにインバウンド需要を意識し、免税対応や多言語サービスを強化しています。大丸は大阪・神戸などの関西圏、松坂屋は名古屋を中心に歴史ある店舗を持っており、都市型と地域密着型をバランスよく展開しています。また、パルコを傘下にもち、若者向けのファッションやカルチャーにも強いのが特徴です。
ほか2社については、どちらも52週移動平均線で押し目をつけて、ふたたび上昇しそうな形を描いています。
この原稿を書いている時点では、両社ともまだ決算発表が行われていないため、決算内容次第では、ふたたび2024年7月の高値を更新してくる可能性は十分あります。
三越伊勢丹と大丸松坂屋はどちらが魅力的?
今から百貨店株を買うなら、3社のうちどこがよいかを決めるのはなかなか悩ましい状況です。すでに高値を更新しているJ.フロントリテイリングは、いったん置いといて、ここから上昇しそうな三越伊勢丹と大丸松坂屋を比べてみましょう。
株価の割安さを測るPERで見ると、三越伊勢丹は17倍、エイチ・ツー・オーリテイリング9.3倍とかなり差があります。これだけみるとエイチ・ツー・オーリテイリングのほうが、だいぶ割安に感じますが、3年間の平均PERは三越伊勢丹が22.6倍、エイチ・ツー・オーリテイリングは13.8倍なので、平均値からみた割安さは、同じくらいのレベルです。
ちなみに、PERは、株価の割安さを測ると同時に、投資家からの評価や期待という側面もあります。高ければ高いほど、投資家からの評価や期待が高いともいえるのです。そういう一面から見ると、エイチ・ツー・オーリテイリングより、三越伊勢丹のほうが、投資家からの評価はそもそも高く、魅力的だと考えられます。
2社を代表する百貨店は、新宿伊勢丹と阪急うめだ本店で、まさにこれは東西対決! どちらも「ラグジュアリーの聖地」として人気が高く、甲乙つけるのは至難の業です。ただ、PERでこれだけ差がついているのは、営業利益率の差かもしれません。
三越伊勢丹の今期予想での営業利益率は12.9%、それに対して、エイチ・ツー・オーリテイリングは4.55%。この差の要因は、三越伊勢丹が、利益率の高い百貨店事業が売上の75%程度を占めているのに対し、エイチ・ツー・オーリテイリングは、25%程度です。その代わり、利益率の低いスーパーなどの食品事業が売上の60%近くを占めているため、全体の利益率を押し下げています。食品は値上げも難しいため、利益率の改善には限度があります。その点を考慮すると、PERが高くても三越伊勢丹のほうが有望に感じます。
日本百貨店協会によると、百貨店の面積あたりの売上高は、百貨店全盛期だった20年前のレベルまで戻りつつあります。これは、高額品の売上が購買単価を押し上げているおかげで、高級品に力を入れている三越伊勢丹には好材料です。
2月4日に三越伊勢丹、5日にエイチ・ツー・オーリテイリングが決算を発表します。決算内容を確認し、百貨店株の今後の動きを見極めていきましょう。
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(藤川 里絵)
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